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第1話 自由奔放な主
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貴族の三男である、ダレス・フロートは毎日、女遊びに明け暮れていた。フロート家の後継ぎである長男でもなく、その右腕となる優秀な次男でもないダレスは恋愛ごとに自由であった。故に家を継ぐことや令嬢との政略結婚など、フロート家に関する重責のないダレスは母に溺愛されながら人懐っこく気ままに育った。
そんなお坊ちゃんに愛想を尽かすものは多く。ダレスのいたずらや不真面目な態度、不埒でふしだらな生活に今や従者ですら彼から離れた。父は飽きれ、ダレスに別宅を与えると隠すようにそこへ押し込んだ。しかし、別宅を持ったダレスは更に自由奔放になってしまった。
この別宅に来るのは、何人かの(ダレス好みの)メイドかお友だち、もしくはダレスを溺愛する母ヘレン、そして護身だけでなく身の回りの世話まで担っている専属騎士のウルソンくらいだ。
∇
「ふふ、きゃっ!もぉ~、ダレス様ったら! 私のスカートを返してくださいましっ」
下着だけを身に付けたメイドがスカートを掴み高く持ち上げたダレスに言う。この別宅には、ダレスの専属騎士であるウルソン以外に男はいない。
「なんだ、いいだろう? 君たちは僕のメイドなんだよ。これも全部、僕のものだ。」
「まあ! なんて傲慢なんですの、ダレス様っ…!」
うっとりと、もう一人のメイドがダレスを見ながら言う。少し長めの前髪が彼の自由さを表している、目鼻立ちの整った顔立ちに、艶のある美しい金髪。一目見れば、貴族だとわかる優雅さがある。
「だって、君たちは僕のものだろう?」
きゃ~! と楽しげでわざとらしい悲鳴がダレスの部屋の扉から漏れ聞こえる。聞こえてくるそんな声に、専属騎士であるウルソンは羨ましさを感じながら、汚れてしまったであろうシーツの替えや、湯浴びの準備をしていた。
騎士らしく、引き締まった筋肉質な体に短く切り揃えられた黒髪の大男が羨ましさを感じているのは、“貴族で遊び人のダレス” ではない。これからダレスに抱かれるのであろう、女たちの方だ。こんな男に惚れるなんて、馬鹿だと世間は言うかもしれない。
すーはー、と深呼吸をして部屋の扉をノックする。楽しげなお坊ちゃまやメイドの女性たちがいるなかに入り込むのは、いつも緊張する。坊ちゃま…、何よりも女性たちの機嫌を損ねるのが怖い。コンコンコンと数回ノックをする。
「お坊ちゃま、失礼いたします」
「ああ、ウルソンか。入っていいよ。」
ダレスの了承を得た専属騎士は、重たい扉を引き開ける。ベッドの上で半裸になる女たちとダレスを見ないように視線を伏せ、膝を付く。
「いいって、ウルソン。いつも言ってるだろう? 僕には、そんなことしなくて良いんだよ。」
「いえ…、私は騎士として、ダレス様に仕える身ですので」
「相変わらず、真面目だね。まぁ、そこがウルソンの良い所だけど。」
ダレス様は、いつも俺を甘やかそうとする…。
頑固で馬鹿真面目な専属騎士にダレスは、やれやれと苦笑いをした。今だって、女の裸を見ないように視線を落としている。短すぎる黒髪、モテそうな顔してるんだから伸ばせば良いのに、とダレスは思う。
「それで、最中に君が部屋に来るなんて珍しいね、どうしたのかな。もしかして、一緒に遊びたくなった?」
坊っちゃんはウルソンを少しからかった。そんなダレスに専属騎士はため息を吐くこともなく、受け答えをする。
「いえ。ヘレン奥様がこちらに御出向きになるようなので、ご準備をとのご報告に参りました。」
「母上が!! 久しぶりだ、君たち今すぐ準備をしてくれ。君、この間買ってきてくれた、あの美味しい苺のケーキをまたお願いしたい!母上は苺がお好きだからね」
母ヘレンがダレスを溺愛するように、ダレスもまた母が大好きだ。今の今まで行っていた不埒な行為の影はどこへやら…、ダレスは無邪気な笑顔で母を招く準備をはじめた。
そんなお坊ちゃんに愛想を尽かすものは多く。ダレスのいたずらや不真面目な態度、不埒でふしだらな生活に今や従者ですら彼から離れた。父は飽きれ、ダレスに別宅を与えると隠すようにそこへ押し込んだ。しかし、別宅を持ったダレスは更に自由奔放になってしまった。
この別宅に来るのは、何人かの(ダレス好みの)メイドかお友だち、もしくはダレスを溺愛する母ヘレン、そして護身だけでなく身の回りの世話まで担っている専属騎士のウルソンくらいだ。
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「ふふ、きゃっ!もぉ~、ダレス様ったら! 私のスカートを返してくださいましっ」
下着だけを身に付けたメイドがスカートを掴み高く持ち上げたダレスに言う。この別宅には、ダレスの専属騎士であるウルソン以外に男はいない。
「なんだ、いいだろう? 君たちは僕のメイドなんだよ。これも全部、僕のものだ。」
「まあ! なんて傲慢なんですの、ダレス様っ…!」
うっとりと、もう一人のメイドがダレスを見ながら言う。少し長めの前髪が彼の自由さを表している、目鼻立ちの整った顔立ちに、艶のある美しい金髪。一目見れば、貴族だとわかる優雅さがある。
「だって、君たちは僕のものだろう?」
きゃ~! と楽しげでわざとらしい悲鳴がダレスの部屋の扉から漏れ聞こえる。聞こえてくるそんな声に、専属騎士であるウルソンは羨ましさを感じながら、汚れてしまったであろうシーツの替えや、湯浴びの準備をしていた。
騎士らしく、引き締まった筋肉質な体に短く切り揃えられた黒髪の大男が羨ましさを感じているのは、“貴族で遊び人のダレス” ではない。これからダレスに抱かれるのであろう、女たちの方だ。こんな男に惚れるなんて、馬鹿だと世間は言うかもしれない。
すーはー、と深呼吸をして部屋の扉をノックする。楽しげなお坊ちゃまやメイドの女性たちがいるなかに入り込むのは、いつも緊張する。坊ちゃま…、何よりも女性たちの機嫌を損ねるのが怖い。コンコンコンと数回ノックをする。
「お坊ちゃま、失礼いたします」
「ああ、ウルソンか。入っていいよ。」
ダレスの了承を得た専属騎士は、重たい扉を引き開ける。ベッドの上で半裸になる女たちとダレスを見ないように視線を伏せ、膝を付く。
「いいって、ウルソン。いつも言ってるだろう? 僕には、そんなことしなくて良いんだよ。」
「いえ…、私は騎士として、ダレス様に仕える身ですので」
「相変わらず、真面目だね。まぁ、そこがウルソンの良い所だけど。」
ダレス様は、いつも俺を甘やかそうとする…。
頑固で馬鹿真面目な専属騎士にダレスは、やれやれと苦笑いをした。今だって、女の裸を見ないように視線を落としている。短すぎる黒髪、モテそうな顔してるんだから伸ばせば良いのに、とダレスは思う。
「それで、最中に君が部屋に来るなんて珍しいね、どうしたのかな。もしかして、一緒に遊びたくなった?」
坊っちゃんはウルソンを少しからかった。そんなダレスに専属騎士はため息を吐くこともなく、受け答えをする。
「いえ。ヘレン奥様がこちらに御出向きになるようなので、ご準備をとのご報告に参りました。」
「母上が!! 久しぶりだ、君たち今すぐ準備をしてくれ。君、この間買ってきてくれた、あの美味しい苺のケーキをまたお願いしたい!母上は苺がお好きだからね」
母ヘレンがダレスを溺愛するように、ダレスもまた母が大好きだ。今の今まで行っていた不埒な行為の影はどこへやら…、ダレスは無邪気な笑顔で母を招く準備をはじめた。
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