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Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議

フルエレ復活 上 ウェカ王子とメアの決意……炎

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「くそっ!」

 ウェカ王子は咄嗟に操縦席の前で魔法剣をクロスさせて全力で守った。
 ザーーンッッ!!
 しかし光剣の攻撃は実は操縦席の方には向いておらず、SRXの頭を首の根本から斬り落とした。
 フッ……
魔法モニターの画面が不安定な小さい物に変わった。

「きゃあっ王子!?」
「いつまで持つか……」

 視界が小さくなった事で二人の恐怖感はより大きくなった。ウェカ王子はむしろ魔法剣でガードする事無く、最初から無防備にして攻撃を受けた方が恐怖がすぐに消えたかもしれないという危険な考えがよぎった。

『はははは、私の宣言を信用してバイタルパートを守って正解だったかな? 次はどこを狙うだろうか??』
「悪趣味だぞシューネ!」

『さらに食らえ!!』

 シュパパパパパ
 間髪入れずに早速攻撃を再開した。ウェカ王子は仕方なくバイタルパートを守るが、いつまで魔法剣が持つか分からない。
 パァアアアアアン!!
 連続する攻撃に耐えられず、遂に魔法剣が一本弾けて消えた。

「くそっ!」
「王子……もう怖いです……いっそ」

『まだまだ!!』

 シュパパパ!!
 ズシャッ!!
 魔法剣が一本になった事で大幅にカバー出来る面積が減り、遂に王子のSRXの片腕が飛んだ。もちろん最後の剣を握っている方の腕だ。

『どうした? まだ腕は一本残してやっているぞ! 今なら片腕を上げて降参出来るぞふふ』

『絶対嫌だ……』
「王子……」

 猫弐矢ねこにゃ貴城乃たかぎのシューネが傲慢な言葉とは裏腹に先程から敵の若い王子が逃げる余裕をひたすら与えていると感じた。

「もういいんじゃないか? 悪趣味だぞ……」
『ふんっ! 強情なヤツめっ!!』

 シュパパッッ
 ザシュッ! ダーーン!!
 実は猫弐矢の言う通りシューネはウェカ王子が折れる事を内心願っていたが、むしろ猫弐矢の言葉でそれが見透かされている気がして、遂に残った片腕も飛ばしてしまった。

「バカめ……何故音を上げない、少し引けば済む物を、それくらいの計算も出来ないのか?」
「もう止めるんだシューネ、君は撃ちたく無い、そうだね? それかこれまで通り足を撃って終わりにして上げよう」

 シューネは冷や汗を掻き無言で猫弐矢の顔を見た。明らかに狼狽えた表情であった。

「お止め下さい、シューネさまはそんな甘い御方では無いです! 次は確実にとどめを刺しますわ」

 フゥーは冷たい顔で言い放った。自ら主人となったフゥーにその様に言われてシューネは引くことが出来なくなった。猫弐矢はなんという恐ろしい子だとフゥーを見返した。

『私とした事がつい甘い顔をしてしまった様だ。よかろう、今度こそ次は操縦席を撃つ!』
「シューネ……」

 首と両手を飛ばされたSRX内では恐怖は何倍にも増幅していた。

「う、うう王子、怖いです……いつまで続くの……」
「……もう終わるよ」
「う、ううぅ」

 王子は遂に操縦桿から両手を離してメアと抱き合った。

『バカめ』

 シュパパパパ!!
 今度こそ本当に光の剣はSRXの操縦席辺りに向けて放たれた……

 ボウッ!! ボウッボウッ!!
 が、次の瞬間聞いた事も無い様なぼうっという大きく不気味な音と共に、何層にも重ねた深い炎の塊が発生して、光剣を包んで燃やし消していた。それは凄まじい光景だった。

『なんだこれは? 何が起こっている』

 驚愕して席から飛び上がるシューネの後ろで猫弐矢は脱力して胸を撫でおろした。

「もう諦め……」
『まだだっ!』

 シュパパパパ!! ボウボウボウッ!!
 シューネがまた光剣を放つがやはり次々燃やされて消えていく。

『砂緒さまこれは一体!?』
『この炎、もしかして抱悶だもんちゃんか!?』

 その通りだった。フォルモサ島沖西で域外の帝国クロスの船団を次々に沈没させた抱悶ちゃんの業火の魔法であった。

「何じゃ何じゃ、寝ておる内にえらい遊びが始まっておるではないか? この光の矢を撃ち落とせば良いのじゃな? きゃははははは」

 抱悶ちゃんはイェラの背中に負ぶさったまま、突然目を覚ましてSRXの危機を救った。

「おいお前凄く熱いぞ! 我の大切な髪を燃やしたら承知せんからなっ!」
「ま、ままーバーブー」

 抱悶ちゃんはイェラのあふれ出る女性的魅力から強い母性を感じ取っていた。そしてその手は後ろからイェラの胸を触っていた。

「お、おい?」
「うっイカン、一瞬で幼児退行してしまったわ、女よまた会おう! ちょっと飛んでくるのじゃ!」

 抱悶ちゃんはそのままイェラの背中から一瞬でSRXの前にまで飛んで来た。

『なんだコイツは!? うっまおう軍の抱悶かっ??』

 シューネは突然現れた抱悶に驚愕して、魔法モニターにかぶりついた。

『ああ抱悶ちゃんではないですか! ナイスですよ、そのまま光の剣を落とし続けて下さい!』

 砂緒の声を聞いて、抱悶は怒りの顔で振り返った。

「何じゃー砂緒、お前ワシを放置して逃げた事、忘れた訳ではあるまいな?」

 抱悶は砂緒から放置された事を根に持っていた。

「あ、あの王子さま、私たち助かったのでしょうか??」
「うんそれっぽいナ」
「エーーー、なんだかなあ」

 等と言いながらもメアは王子にしがみ付いて生きる希望が湧いて来たのだった。
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