397 / 588
Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議
決着と夜の庭の二人…… 下①
しおりを挟む
(ど、どうした事でしょう。紅蓮にやたら話し掛けて私をやきもきさせたかと思えば、先程は猫の様に甘えて来たり今日のセレネさんの感情はジェットコスターですね……)
「安心して下さい、ただのシュミレーションですから。本気で私の大切なセレネさん……やフルエレや七華やイェラや猫呼やメランを置いて何処かに行く訳無いじゃないですか。今のこの生活、絶対に死んでも手放しませんからね」
「言い方が怖い、目が怖い」
しかしセレネはそれが砂緒の本音であると思った。
「冗談はさておき……」
「冗談なのかよ?」
砂緒は気にせず続けた。
「昔よくフルエレに対して、困った事があったら全て捨ててトンズラしようと良く言ってた物です。その時は本気で地位や境遇に何の価値も感じて無かったのですが」
「今は?」
「今はフルエレを巻き込み、多くの人を巻き込んでこれだけの同盟が成立して、それを必死にセレネさんが守っている以上、全部ほっぽり出して何処かに行くなんていい加減な事もう考えられないです。もう以前の無責任な私ではありませんよ」
「つまり?」
「え、つまり? 今かっこ良い事言ったのですがまだ必要ですか?? つまりセレネさんが一番大切だという事ですよ!」
セレネは突然ジトッとした目をした。
「つまりフルエレさんより大切という事だな?」
「う、それは……同じくらい一番大切という事です」
「同じくらい一番大切って詐欺かよ、二番目じゃないか。それにさっきの話、あの唇を奪った女にまた会いたいだけじゃないのか?」
砂緒自身が気付いていなかった深層心理を言い当てられて一瞬言葉に詰まる。
「ドッキーン、ちち違いますよ」
「フルエレさんと同じ姿形でしかも外界を知らない女、それなら自分好みに仕向ける事が出来るんじゃないか……等と思ってさっきみたいな事を言ったんじゃないか?」
「まま、まさかそんな非人道的な事かか考える訳ないでしょ。それに姫乃はそんな簡単な女性じゃないです。非常に芯の強い素晴らしい女性なんです!」
「あたしの前で堂々と褒めるなよ」
「とにかくっ私にとってこの同盟は第三の故郷と呼べる物です、何処にも行きません!」
砂緒はスナコの姿でセレネの両肩に手を置き、血走った目で言った。
「第一と第二の故郷が気になり過ぎるわ。でもやっぱり目が怖い!」
「もうこの話は止めましょう」
「じゃあ証拠を見せろよ……」
そう言って今度は唐突にセレネは目を閉じて上を向いた。
(うっ可愛い……やっぱりセレネさん大好きです……覚悟を決めましょう)
砂緒はセレネのサラサラの長い髪の間に指を差し入れて自らの顔をゆっくり近付けた。砂緒もセレネもさらわれた直後とかじゃない、通常の場面でのキスにお互い初めての様な気がして激しくドキドキして緊張した。
(キスって……どんなんでしたっけ!? これで良かった??)
等と迷いながらも唇と唇が触れようとした瞬間だった。
「はぁ~~~疲れたワーー、何処かに丁度良い座る場所って無いかしら」
深夜二時過ぎの真夜中の庭園に何故かフルエレがふらっと現れて、慌てて二人はバッと顔を離した。
(何でフルエレさんが居るんだよ!?)
「あら、セレネとスナコちゃん此処にいたの? そこに座って良いかしら?」
「フルエレさん昼間と同じじゃないか!? 覗いてただろ??」
「え、何の事かしら」
セレネは折角良い感じになっていたのに邪魔されてあからさまに怒っていた。
「まあまあ偶然ここらを歩いてただけでしょう、一緒に座りましょう!」
「そう、悪いわねえ」
セレネはアルベルトさんが突然亡くなって寂しいだけだろうとは口が裂けても言えず、渋々と砂緒に従ったのだった。だがそれも計算ずくなんじゃないか? とすら思い始めていた。
「そうだ、今夜はこのベンチで三人肩を寄せ合って寝ましょうか!」
「あ、それが良いわねえ!」
フルエレは両手を合わせた。
「良い訳ないでしょ!! 滅茶苦茶だな」
ヒューーーーーーン……
その時、突然大きな音が鳴った。
「え、なんだよこの音」
「セレネさんフルエレ、私から離れないで!」
砂緒はここぞとばかりに両手に花と大袈裟に二人を抱き寄せた。
「お前に掴まれてる方が動けんわ!」
バリーーーーン!!!
突然張ったばかりの結界のシールドが破られて、三人は抱き合ったままあっけに取られた。
「安心して下さい、ただのシュミレーションですから。本気で私の大切なセレネさん……やフルエレや七華やイェラや猫呼やメランを置いて何処かに行く訳無いじゃないですか。今のこの生活、絶対に死んでも手放しませんからね」
「言い方が怖い、目が怖い」
しかしセレネはそれが砂緒の本音であると思った。
「冗談はさておき……」
「冗談なのかよ?」
砂緒は気にせず続けた。
「昔よくフルエレに対して、困った事があったら全て捨ててトンズラしようと良く言ってた物です。その時は本気で地位や境遇に何の価値も感じて無かったのですが」
「今は?」
「今はフルエレを巻き込み、多くの人を巻き込んでこれだけの同盟が成立して、それを必死にセレネさんが守っている以上、全部ほっぽり出して何処かに行くなんていい加減な事もう考えられないです。もう以前の無責任な私ではありませんよ」
「つまり?」
「え、つまり? 今かっこ良い事言ったのですがまだ必要ですか?? つまりセレネさんが一番大切だという事ですよ!」
セレネは突然ジトッとした目をした。
「つまりフルエレさんより大切という事だな?」
「う、それは……同じくらい一番大切という事です」
「同じくらい一番大切って詐欺かよ、二番目じゃないか。それにさっきの話、あの唇を奪った女にまた会いたいだけじゃないのか?」
砂緒自身が気付いていなかった深層心理を言い当てられて一瞬言葉に詰まる。
「ドッキーン、ちち違いますよ」
「フルエレさんと同じ姿形でしかも外界を知らない女、それなら自分好みに仕向ける事が出来るんじゃないか……等と思ってさっきみたいな事を言ったんじゃないか?」
「まま、まさかそんな非人道的な事かか考える訳ないでしょ。それに姫乃はそんな簡単な女性じゃないです。非常に芯の強い素晴らしい女性なんです!」
「あたしの前で堂々と褒めるなよ」
「とにかくっ私にとってこの同盟は第三の故郷と呼べる物です、何処にも行きません!」
砂緒はスナコの姿でセレネの両肩に手を置き、血走った目で言った。
「第一と第二の故郷が気になり過ぎるわ。でもやっぱり目が怖い!」
「もうこの話は止めましょう」
「じゃあ証拠を見せろよ……」
そう言って今度は唐突にセレネは目を閉じて上を向いた。
(うっ可愛い……やっぱりセレネさん大好きです……覚悟を決めましょう)
砂緒はセレネのサラサラの長い髪の間に指を差し入れて自らの顔をゆっくり近付けた。砂緒もセレネもさらわれた直後とかじゃない、通常の場面でのキスにお互い初めての様な気がして激しくドキドキして緊張した。
(キスって……どんなんでしたっけ!? これで良かった??)
等と迷いながらも唇と唇が触れようとした瞬間だった。
「はぁ~~~疲れたワーー、何処かに丁度良い座る場所って無いかしら」
深夜二時過ぎの真夜中の庭園に何故かフルエレがふらっと現れて、慌てて二人はバッと顔を離した。
(何でフルエレさんが居るんだよ!?)
「あら、セレネとスナコちゃん此処にいたの? そこに座って良いかしら?」
「フルエレさん昼間と同じじゃないか!? 覗いてただろ??」
「え、何の事かしら」
セレネは折角良い感じになっていたのに邪魔されてあからさまに怒っていた。
「まあまあ偶然ここらを歩いてただけでしょう、一緒に座りましょう!」
「そう、悪いわねえ」
セレネはアルベルトさんが突然亡くなって寂しいだけだろうとは口が裂けても言えず、渋々と砂緒に従ったのだった。だがそれも計算ずくなんじゃないか? とすら思い始めていた。
「そうだ、今夜はこのベンチで三人肩を寄せ合って寝ましょうか!」
「あ、それが良いわねえ!」
フルエレは両手を合わせた。
「良い訳ないでしょ!! 滅茶苦茶だな」
ヒューーーーーーン……
その時、突然大きな音が鳴った。
「え、なんだよこの音」
「セレネさんフルエレ、私から離れないで!」
砂緒はここぞとばかりに両手に花と大袈裟に二人を抱き寄せた。
「お前に掴まれてる方が動けんわ!」
バリーーーーン!!!
突然張ったばかりの結界のシールドが破られて、三人は抱き合ったままあっけに取られた。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
俺、貞操逆転世界へイケメン転生
やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。
勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。
――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。
――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。
これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。
########
この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる