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III プレ女王国連合の成立
女給七華、細腕繁忙期 チョコレートデイの悲劇
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―夕食。
「……りゅ、リュフミュランはどんな感じですか?」
「……普通ですわ」
「そ、そうですか」
イライザが果敢にも七華に話し掛けるがすぐに会話は終了した。
「やっぱりイライザさんの家庭料理は最高よね、凄いわっ」
猫呼が喫茶店のメユーだけでは無く、いつもながらに家庭料理までそつなくこなすイライザに感心した。
「そんな事ありませんっ兄と二人貧しい暮らしだったので、少ない食材で工夫する知恵がついただけですよっ!」
イライザは性格が良いだけでは無く、知恵や生活能力も高い利発な町娘だった。
「七華さんは料理なんて?」
「しませんわ」
「フゥーちゃんは?」
「しません」
砂緒やフルエレがいる時と違い、全く会話が弾まなかった。猫呼は途方にくれた。
(気まずい……)
(気まずいですわっ)
「……うふふふふふふふふふ」
「おほほほほほほほほほほほ」
しかし七華も居候しておいて気の利いた会話一つ出来ない事に多少の引け目を感じていた。フゥーは最初から機嫌を取ろうとも仲良くなろうとも何とも思っていなかった。
―次の日、七華の部屋。
「こ、これを本当にわたくしが着るのですの?」
フゥーが持って来た、今日七華が着る予定のメイド服を見て彼女は目を丸くした。そのメイド服は胸元がぱっかりと開き強調され、スカートは極限までのミニになっていた。
「はい、私もそこまでの物では無かったですが、初日はメイド服を着させられました」
「まあ酷いですわ、完全にセクハラパワハラの労働基準法違反ですわ」
この異世界にも労働基準法が存在した。仮に労働基準法が無くとも健全店では完全にアウトなコスチュームだった。
「ご安心下さい。初日に我慢してメイド服を着用した後は、自分好みの制服をチョイス出来ます。それにこのお店って閑古鳥が鳴いておりいつもお客さんは一人か二人ですから、今日一日少し我慢すれば」
「そ、そうなの、優しいですわねフゥーちゃん……」
七華はそっけないながらも優しくアドバイスしてくれるフゥーに感謝した。
「フゥー先輩です。それとミニスカを極限まで短くしたのは私です。昨日夜なべして完成させました」
「なんでーーーーーーっ? なんでそんな事するんですのーーーーっ!?」
「ささっ開店時間が近付いてます。バックヤードに移動してお早くお着替えて下さい」
フゥーは無表情で言い放った。
―喫茶猫呼開店。
「うわーーーーお」
「ひゃっ七華さん!?」
「み、見ないで下さいなっ」
猫呼が驚き、イライザが赤面する中、メイド服を着用した七華が現れた。その姿は豊かな乳房がこぼれそうな程胸元が開き、スカートは普通に立った状態でも後ろからお尻の膨らみ始めが少し見え隠れしており、仮に少しでも屈めば下着が丸見えになりそうな程の極限まで切り詰められた短いスカートとなっていた。
(リュフミュラン王女として蝶よ花よと育てられたこのわたくしが、お茶くみ娘としてこんな破廉恥な衣装を着させられて人前に立つ……なんという落ちぶれようですの……しかし、今日一日だけ、今日一日だけ一人か二人だけのお客さんの相手をすれば良いだけですわ……耐えるの耐えるのよ七華ファイトッッ)
七華はかーっと赤面して羞恥に耐えながらも自分を鼓舞したのだった。
「あ、そうだ! 七華さん言うの忘れていたけど、今日はチョコレートデイと言って先着三十名のお客さまに無償でチョコレートを渡すイベント日だから、例外的にお客さんが多いわよっ!」
「それ、早く言って欲しいですわ~~~~~~~」
猫呼が突然言った衝撃の事実を知って、七華は鏡に映った自分の破廉恥な全身を見て頭がくらくらした。
(嗚呼っなんて事……この様な破廉恥な姿を野卑た獣の様な男共の前に晒すなんて……)
「ああでも心配しないで七華さん、此処の常連さんは皆イェラに厳しく躾られてるから、変なお客さんは居ないから安心してっ!」
「だ、そうです安心して下さい」
フゥーは他人事の様に興味無さげに言った。
「お前の所為ですわ――――――っハァハァ」
七華がフゥーの首を締めそうになるがイライザと猫呼に止められる。
「落ち着いてっ! もうすぐ開店よ、一日だけ我慢して頂戴な」
猫呼も王女に面白がって絶対に強行しようとする。開店は不可避だった。
カランカラン
喫茶猫呼に常連客達がぞろぞろ入って来る。彼らは既にお目当ての雪乃フルエレやイェラが長期間居ない事を知っており、接客は期待せず無償のチョコレートだけでも貰いに来たのだった。猫呼は余り店には出ない上に彼女自身がリュフミュランの時の様に接客に情熱を注がず、その輝きは失せていた。
「イライザちゃん、フゥーちゃんチョコレート下さ……ぎょぎょっ」
「なんじゃこりゃーーーーー」
「ダレ?」
常連客が店内に入って来て目を剥いた。期待せず入店した店内には謎の露出美少女が佇んでいたのだ。しかもそんじょそこらの美女では無く、最上級の美少女だった。
「な、何だ、誰なんだこの子は……」
「イェラさんの様な粗削りな野生の美とも違う、フルエレちゃんの天使の様な清楚な笑顔とも違う、どこか妖しい魅力を放つ、しかしそれで居て正統派の王宮に居てもおかしくない高貴な美しさ……一体この喫茶猫呼は天上界なのか? 天女の住まう喫茶店なのかっ!?」
「大袈裟だなお前。しかし……確かにどこかの王女と言われても納得してしまう高貴さがあるっ!」
突如大量の男性客の好奇な視線に晒され、七華は両手でこぼれそうな胸元とミニスカのお尻を隠し、頬を真っ赤に染めもぞもぞと見悶えして動きながら激しい羞恥に耐えた。その新鮮な姿に男性客達の興奮は最高潮に達した。
「ほら、いらっしゃいませって」
猫呼が無情にも接客を要求する。
「あ、アノ……ごくりっ……今日はどうも、いらっしゃい……ませっ」
七華は意地悪王女の時とはうって変わって、俯きながら消え入りそうな声でなんとか言った。
「よーし、お客の野郎どもよ、今日はチョコレートデイだからな、ベルトコンベヤー式にサクサクと食べて帰れよ。一組に付き滞留時間は五分だからな、きっちり守れーしかと心得よ。帰りに新人七華嬢からチョコ配るから有難く受け取れい!」
「へへーーっ」
「あ、ありがてええ」
「お、お恵みを、は、早くお恵みを……」
(ヒィッわたくしが配るの……!?)
猫呼の客を客とも思わない態度に誰も文句ひとつ言わず、整然と列を作り滞留時間五分を守り粛々と黙々と食べ始める。これもイェラの教育の賜物だった。七華は黙々と食べ続けるお客達が自分に群がりチョコを求めて来る事に頭がくらくらした。
「……りゅ、リュフミュランはどんな感じですか?」
「……普通ですわ」
「そ、そうですか」
イライザが果敢にも七華に話し掛けるがすぐに会話は終了した。
「やっぱりイライザさんの家庭料理は最高よね、凄いわっ」
猫呼が喫茶店のメユーだけでは無く、いつもながらに家庭料理までそつなくこなすイライザに感心した。
「そんな事ありませんっ兄と二人貧しい暮らしだったので、少ない食材で工夫する知恵がついただけですよっ!」
イライザは性格が良いだけでは無く、知恵や生活能力も高い利発な町娘だった。
「七華さんは料理なんて?」
「しませんわ」
「フゥーちゃんは?」
「しません」
砂緒やフルエレがいる時と違い、全く会話が弾まなかった。猫呼は途方にくれた。
(気まずい……)
(気まずいですわっ)
「……うふふふふふふふふふ」
「おほほほほほほほほほほほ」
しかし七華も居候しておいて気の利いた会話一つ出来ない事に多少の引け目を感じていた。フゥーは最初から機嫌を取ろうとも仲良くなろうとも何とも思っていなかった。
―次の日、七華の部屋。
「こ、これを本当にわたくしが着るのですの?」
フゥーが持って来た、今日七華が着る予定のメイド服を見て彼女は目を丸くした。そのメイド服は胸元がぱっかりと開き強調され、スカートは極限までのミニになっていた。
「はい、私もそこまでの物では無かったですが、初日はメイド服を着させられました」
「まあ酷いですわ、完全にセクハラパワハラの労働基準法違反ですわ」
この異世界にも労働基準法が存在した。仮に労働基準法が無くとも健全店では完全にアウトなコスチュームだった。
「ご安心下さい。初日に我慢してメイド服を着用した後は、自分好みの制服をチョイス出来ます。それにこのお店って閑古鳥が鳴いておりいつもお客さんは一人か二人ですから、今日一日少し我慢すれば」
「そ、そうなの、優しいですわねフゥーちゃん……」
七華はそっけないながらも優しくアドバイスしてくれるフゥーに感謝した。
「フゥー先輩です。それとミニスカを極限まで短くしたのは私です。昨日夜なべして完成させました」
「なんでーーーーーーっ? なんでそんな事するんですのーーーーっ!?」
「ささっ開店時間が近付いてます。バックヤードに移動してお早くお着替えて下さい」
フゥーは無表情で言い放った。
―喫茶猫呼開店。
「うわーーーーお」
「ひゃっ七華さん!?」
「み、見ないで下さいなっ」
猫呼が驚き、イライザが赤面する中、メイド服を着用した七華が現れた。その姿は豊かな乳房がこぼれそうな程胸元が開き、スカートは普通に立った状態でも後ろからお尻の膨らみ始めが少し見え隠れしており、仮に少しでも屈めば下着が丸見えになりそうな程の極限まで切り詰められた短いスカートとなっていた。
(リュフミュラン王女として蝶よ花よと育てられたこのわたくしが、お茶くみ娘としてこんな破廉恥な衣装を着させられて人前に立つ……なんという落ちぶれようですの……しかし、今日一日だけ、今日一日だけ一人か二人だけのお客さんの相手をすれば良いだけですわ……耐えるの耐えるのよ七華ファイトッッ)
七華はかーっと赤面して羞恥に耐えながらも自分を鼓舞したのだった。
「あ、そうだ! 七華さん言うの忘れていたけど、今日はチョコレートデイと言って先着三十名のお客さまに無償でチョコレートを渡すイベント日だから、例外的にお客さんが多いわよっ!」
「それ、早く言って欲しいですわ~~~~~~~」
猫呼が突然言った衝撃の事実を知って、七華は鏡に映った自分の破廉恥な全身を見て頭がくらくらした。
(嗚呼っなんて事……この様な破廉恥な姿を野卑た獣の様な男共の前に晒すなんて……)
「ああでも心配しないで七華さん、此処の常連さんは皆イェラに厳しく躾られてるから、変なお客さんは居ないから安心してっ!」
「だ、そうです安心して下さい」
フゥーは他人事の様に興味無さげに言った。
「お前の所為ですわ――――――っハァハァ」
七華がフゥーの首を締めそうになるがイライザと猫呼に止められる。
「落ち着いてっ! もうすぐ開店よ、一日だけ我慢して頂戴な」
猫呼も王女に面白がって絶対に強行しようとする。開店は不可避だった。
カランカラン
喫茶猫呼に常連客達がぞろぞろ入って来る。彼らは既にお目当ての雪乃フルエレやイェラが長期間居ない事を知っており、接客は期待せず無償のチョコレートだけでも貰いに来たのだった。猫呼は余り店には出ない上に彼女自身がリュフミュランの時の様に接客に情熱を注がず、その輝きは失せていた。
「イライザちゃん、フゥーちゃんチョコレート下さ……ぎょぎょっ」
「なんじゃこりゃーーーーー」
「ダレ?」
常連客が店内に入って来て目を剥いた。期待せず入店した店内には謎の露出美少女が佇んでいたのだ。しかもそんじょそこらの美女では無く、最上級の美少女だった。
「な、何だ、誰なんだこの子は……」
「イェラさんの様な粗削りな野生の美とも違う、フルエレちゃんの天使の様な清楚な笑顔とも違う、どこか妖しい魅力を放つ、しかしそれで居て正統派の王宮に居てもおかしくない高貴な美しさ……一体この喫茶猫呼は天上界なのか? 天女の住まう喫茶店なのかっ!?」
「大袈裟だなお前。しかし……確かにどこかの王女と言われても納得してしまう高貴さがあるっ!」
突如大量の男性客の好奇な視線に晒され、七華は両手でこぼれそうな胸元とミニスカのお尻を隠し、頬を真っ赤に染めもぞもぞと見悶えして動きながら激しい羞恥に耐えた。その新鮮な姿に男性客達の興奮は最高潮に達した。
「ほら、いらっしゃいませって」
猫呼が無情にも接客を要求する。
「あ、アノ……ごくりっ……今日はどうも、いらっしゃい……ませっ」
七華は意地悪王女の時とはうって変わって、俯きながら消え入りそうな声でなんとか言った。
「よーし、お客の野郎どもよ、今日はチョコレートデイだからな、ベルトコンベヤー式にサクサクと食べて帰れよ。一組に付き滞留時間は五分だからな、きっちり守れーしかと心得よ。帰りに新人七華嬢からチョコ配るから有難く受け取れい!」
「へへーーっ」
「あ、ありがてええ」
「お、お恵みを、は、早くお恵みを……」
(ヒィッわたくしが配るの……!?)
猫呼の客を客とも思わない態度に誰も文句ひとつ言わず、整然と列を作り滞留時間五分を守り粛々と黙々と食べ始める。これもイェラの教育の賜物だった。七華は黙々と食べ続けるお客達が自分に群がりチョコを求めて来る事に頭がくらくらした。
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