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第三章 執着とすれ違い
汚す*
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エルシーと一つになった。
エルシーの中の、一番深い場所に俺が入っている。この、中に――。
俺はそっと、エルシーの下腹を撫でる。薄い皮膚の向こうに、俺自身の存在を実感する。
きつく締め付けてくる、エルシーの内壁の感触。ぞわぞわと背筋を這い上がる快感――。
俺が感動と快感に打ち震えているというのに、エルシーは涙に濡れた絶望的な表情で俺を見上げる。
「痛い……抜いて……」
「嫌だ……やっと、俺のものになったんだぞ……」
どれだけ俺が、この瞬間を待ち望んだと思っている。いっそ永久につながったままでいたいと思っているのに。
なのにエルシーはボロボロと涙をこぼし続ける。
「泣くな、エルシー……大丈夫だ、責任はとる」
こうして結ばれたからには、王位も国も俺には関係ない。エルシーとの結婚が認められなければ、俺はエルシーをさらって新大陸でもどこでも亡命する。そのために金だって貯めてきた。
俺はエルシーの唇を塞ぎ、舌で咥内をかき回す。細い背中を抱き寄せ、柔らかい胸を圧し潰すようにぎゅっと密着した。
ああ、気持ちがいい。俺の――俺のものだ、エルシー。
唇を解放して身を起こし、結合部分を見下ろす。つながった体と体。少しの動きにもエルシーは痛みを感じるのか、ぐっと眉根を寄せて目をつぶっている。動かなくても内部はぞわりと蠢いて、気を抜けば達してしまいそうだった。
とうとう、エルシーを汚した。俺が、この手て――。エルシーは純潔を失い、地上に、俺につながれる。
辛そうに目を閉じ、涙を流しているエルシーの頬を指先で拭い、言った。
「そろそろ、動くぞ……」
「え……?」
目を開き、不思議そうに見上げてくるブルーグレーの瞳に、俺は苦笑したくなる。挿入しただけで終わるわけないのに。俺がそろそろと静かに抜け出ていくと、エルシーは露骨にほっとした表情を見せる。
確かな純潔の証がシーツに滴り、赤い染みを作る。
俺は抜け落ちるギリギリで、カリをひっかけるようにして、こんどは一気に、最奥まで自身を打ち込んだ。
「ひあっ……」
エルシーが悲鳴をあげる。もう一度ゆっくり引き抜いていくと、まるで出て行かないでというように、エルシーの膣壁がまとわりつき、締め付ける。一気に突き入れて最奥を穿てば、内部の擦れる感覚と先端への刺激が、俺の脳髄を直撃する。まとわりつく襞が蠢いて、俺からすべてを絞りとろうと包み込んでくる。
一度、二度と出し入れすれば、あまりの気持ちよさに俺の腰は勝手に動いて、エルシーの中を穿つ。突き上げるたびにエルシーの白い胸が揺れ、半ば開いた唇は荒い息遣いとともに淫靡な嬌声をあげた。
「ん……ああっ、ああっ、はっ……はぁっ……あああっ、ああっ」
「はあっはあっ……エルシーっ、エルシーっ……ううっ……俺が、どれだけっ……」
ギシギシと寝台を軋ませながら、俺は夢中で腰を振り、エルシーを犯す。エルシーもまた、確かに痛み以外の快感も拾い始めていて、でもそのことに戸惑っているようだった。
「あっやあっ……やめ、くるしっ……ああっやあっ……」
エルシーの白い身体を、俺の醜い肉棒が貫く。内部は十分に濡れて潤って、ずちゅずちゅとした水音と、肌と肌のぶつかる音が響く。エルシーも感じている。無駄な抵抗などやめて、諦めて俺に堕ちてしまえ。もう、一生、俺のものなのだから。
「気持ちよく、なってきただろう……エルシー?」
「なっ……ああっ……きもち、よく、なんか、……ああっあっ……」
俺は腰を突き上げながら、エルシーの白い胸を両手でわしづかみにし、先端の赤い蕾を指でグリグリと弄ってやる。エルシーは顔を歪め、白い体をのけぞらせた。内部がぐぐっと締まって、あまりの快感に俺は、思わず奥歯をかみしめ、呻いた。
「うう……なんて身体だ……悦い……」
もちろん俺は初めてじゃないし、セックスの快感だってそれなりに知っているつもりだった。
でもエルシーとのセックスは今までの、ステファニーへの当てつけの火遊びとは全然違っていた。
エルシーは初めての経験にただ俺に縋りつき、俺の為すがまま、揺すぶられているだけだ。きっと早く終わってくれと思っている。
だというのに、エルシーの身体に俺は魅了された。十二年恋い焦がれたせいなのか、はたまた相性がいいのか、今までのセックスは何だったのかと思うほど、俺は我を忘れた。
陶器のような白い、なめらかな肌。形よく弾力に飛んだ胸。力を籠めたら折れそうな細腰。意外と肉感的な太もも。何もかもが美しく、清純で、誰も足跡をつけていない、処女雪のようにまっさらな体。男を受け入れるのも初めてのはずなのに、柔らかく熱い襞は俺を締め付け、淫らにうねって俺から搾り取ろうとする。名器、というのだろうか。それとも俺がエルシーのことを好き過ぎるせいなのか。とにかく気持ち良すぎて、もうこの女以外と寝るのは無理だと思った。
ああ、俺はエルシーを犯している。エルシーの中に醜い肉茎をねじ込み、穿ち、かき回して。清らかなエルシーが、俺に犯され、初めて快楽を知った。神聖なエルシーが俺に汚されていく。淫らに感じ、堕ちていく。
エルシーの妖精の羽は、俺に毟り取られ、白い身体は泥沼の淵に沈められて。――もう、俺から逃げられない、永遠に俺だけのもの――。
俺はエルシーの胸に顔を近づけて乳首を吸い上げ、右手で結合部の上の花芽を抓んだ。敏感な場所を同時に刺激されて、エルシーの内部がこれ以上なく締まる。
「ああ、すごい、締まる……気持ち、いいんだろう、エルシー……中、すごいぞ……」
「や……ああっ……そん、なの、ああっ……」
俺の責めにとうとう、エルシーは陥落し、俺にしがみつくようにして、イった。
「ああっ……ああああっ」
絶頂するエルシーの歪めた眉、反らした白い首筋の、艶めかしさ。
「くっ……なんて顔だ、エルシー……いい……」
ああ、出そうだ……。
このまま中に出してしまいたい。エルシーの中で果てて、エルシーの中を満たしたい。
だがわずかに残った理性がギリギリで俺を押しとどめる。
もし、今、孕めば、エルシーをローズと同じ境遇に落としてしまう。
まだ、俺はエルシーに子を産ませるだけの力もなく、準備も整っていない。
今はまだ――。
俺は寸前でエルシーの中から抜け出して、エルシーの下腹に射精した。
「はあっ、はあっ……エルシー……」
ぐったり横たわるエルシーの白い腹を、俺の吐き出した精がべっとりと汚している。
ずっと焦がれた女を手に入れ、汚した。神聖なものを犯し、貪った。背徳と、充足。
「よく我慢した、偉かったな……」
エルシーとの顔や髪にキスを落とすと、エルシーはため息をついて言った。
「お腹気持ち悪い……早く拭いてください」
ふてくされたような言い方に、俺はつい、噴き出しそうになる。どれだけ悪態をついても、エルシーは可愛いんだから、無駄だよ。昔から、ずっとずっと、愛してる――。
俺はエルシーを抱きしめて口づけをしてから、ベッドサイドに準備されたリネンで腹を拭う。俺に拭けと言ったくせに、エルシーは複雑そうな表情で俺とリネンと、自分の白い腹を見比べている。
それから水をグラスに注ぎ、エルシーがグラスを受け取ろうと手を伸ばすのを無視して、俺が一口飲む。とたんにムッとした顔で睨んでくるので、俺はエルシーのうなじを支えて唇を塞ぐ。俺の口から口移しで水を飲まされて、エルシーがごくりと飲み込むのを確認してから、唇を解放した。
「まだ、いるか?」
「いりますけど、自分で飲みます!」
「ダメ」
俺は一言のもとに退けると、もう一度口うつしで水を飲ます。
そのまま長いキスをして、髪を撫でてやっていると、エルシーの体重が俺の腕の中にかかる。
よほど疲れたのか、アッという間に眠りに落ちたエルシーを抱きしめ、これ以上ないほどの幸福感を噛みしめる。
本心を言えば、一回じゃ足りない。何しろ十二年分だ。
でも、初めての経験に疲れ切ったエルシーを思いやり、ただエルシーの裸身を抱きしめて眠るだけで、我慢した。
翌早朝、ともに朝日を眺められないことを残念に思うけれど、俺は眠るエルシーを起こさないように、ベッドを抜け出す。
俺はエルシーの額にキスをして、後ろ髪を引かれる思いで、寝室を後にした。
エルシーの中の、一番深い場所に俺が入っている。この、中に――。
俺はそっと、エルシーの下腹を撫でる。薄い皮膚の向こうに、俺自身の存在を実感する。
きつく締め付けてくる、エルシーの内壁の感触。ぞわぞわと背筋を這い上がる快感――。
俺が感動と快感に打ち震えているというのに、エルシーは涙に濡れた絶望的な表情で俺を見上げる。
「痛い……抜いて……」
「嫌だ……やっと、俺のものになったんだぞ……」
どれだけ俺が、この瞬間を待ち望んだと思っている。いっそ永久につながったままでいたいと思っているのに。
なのにエルシーはボロボロと涙をこぼし続ける。
「泣くな、エルシー……大丈夫だ、責任はとる」
こうして結ばれたからには、王位も国も俺には関係ない。エルシーとの結婚が認められなければ、俺はエルシーをさらって新大陸でもどこでも亡命する。そのために金だって貯めてきた。
俺はエルシーの唇を塞ぎ、舌で咥内をかき回す。細い背中を抱き寄せ、柔らかい胸を圧し潰すようにぎゅっと密着した。
ああ、気持ちがいい。俺の――俺のものだ、エルシー。
唇を解放して身を起こし、結合部分を見下ろす。つながった体と体。少しの動きにもエルシーは痛みを感じるのか、ぐっと眉根を寄せて目をつぶっている。動かなくても内部はぞわりと蠢いて、気を抜けば達してしまいそうだった。
とうとう、エルシーを汚した。俺が、この手て――。エルシーは純潔を失い、地上に、俺につながれる。
辛そうに目を閉じ、涙を流しているエルシーの頬を指先で拭い、言った。
「そろそろ、動くぞ……」
「え……?」
目を開き、不思議そうに見上げてくるブルーグレーの瞳に、俺は苦笑したくなる。挿入しただけで終わるわけないのに。俺がそろそろと静かに抜け出ていくと、エルシーは露骨にほっとした表情を見せる。
確かな純潔の証がシーツに滴り、赤い染みを作る。
俺は抜け落ちるギリギリで、カリをひっかけるようにして、こんどは一気に、最奥まで自身を打ち込んだ。
「ひあっ……」
エルシーが悲鳴をあげる。もう一度ゆっくり引き抜いていくと、まるで出て行かないでというように、エルシーの膣壁がまとわりつき、締め付ける。一気に突き入れて最奥を穿てば、内部の擦れる感覚と先端への刺激が、俺の脳髄を直撃する。まとわりつく襞が蠢いて、俺からすべてを絞りとろうと包み込んでくる。
一度、二度と出し入れすれば、あまりの気持ちよさに俺の腰は勝手に動いて、エルシーの中を穿つ。突き上げるたびにエルシーの白い胸が揺れ、半ば開いた唇は荒い息遣いとともに淫靡な嬌声をあげた。
「ん……ああっ、ああっ、はっ……はぁっ……あああっ、ああっ」
「はあっはあっ……エルシーっ、エルシーっ……ううっ……俺が、どれだけっ……」
ギシギシと寝台を軋ませながら、俺は夢中で腰を振り、エルシーを犯す。エルシーもまた、確かに痛み以外の快感も拾い始めていて、でもそのことに戸惑っているようだった。
「あっやあっ……やめ、くるしっ……ああっやあっ……」
エルシーの白い身体を、俺の醜い肉棒が貫く。内部は十分に濡れて潤って、ずちゅずちゅとした水音と、肌と肌のぶつかる音が響く。エルシーも感じている。無駄な抵抗などやめて、諦めて俺に堕ちてしまえ。もう、一生、俺のものなのだから。
「気持ちよく、なってきただろう……エルシー?」
「なっ……ああっ……きもち、よく、なんか、……ああっあっ……」
俺は腰を突き上げながら、エルシーの白い胸を両手でわしづかみにし、先端の赤い蕾を指でグリグリと弄ってやる。エルシーは顔を歪め、白い体をのけぞらせた。内部がぐぐっと締まって、あまりの快感に俺は、思わず奥歯をかみしめ、呻いた。
「うう……なんて身体だ……悦い……」
もちろん俺は初めてじゃないし、セックスの快感だってそれなりに知っているつもりだった。
でもエルシーとのセックスは今までの、ステファニーへの当てつけの火遊びとは全然違っていた。
エルシーは初めての経験にただ俺に縋りつき、俺の為すがまま、揺すぶられているだけだ。きっと早く終わってくれと思っている。
だというのに、エルシーの身体に俺は魅了された。十二年恋い焦がれたせいなのか、はたまた相性がいいのか、今までのセックスは何だったのかと思うほど、俺は我を忘れた。
陶器のような白い、なめらかな肌。形よく弾力に飛んだ胸。力を籠めたら折れそうな細腰。意外と肉感的な太もも。何もかもが美しく、清純で、誰も足跡をつけていない、処女雪のようにまっさらな体。男を受け入れるのも初めてのはずなのに、柔らかく熱い襞は俺を締め付け、淫らにうねって俺から搾り取ろうとする。名器、というのだろうか。それとも俺がエルシーのことを好き過ぎるせいなのか。とにかく気持ち良すぎて、もうこの女以外と寝るのは無理だと思った。
ああ、俺はエルシーを犯している。エルシーの中に醜い肉茎をねじ込み、穿ち、かき回して。清らかなエルシーが、俺に犯され、初めて快楽を知った。神聖なエルシーが俺に汚されていく。淫らに感じ、堕ちていく。
エルシーの妖精の羽は、俺に毟り取られ、白い身体は泥沼の淵に沈められて。――もう、俺から逃げられない、永遠に俺だけのもの――。
俺はエルシーの胸に顔を近づけて乳首を吸い上げ、右手で結合部の上の花芽を抓んだ。敏感な場所を同時に刺激されて、エルシーの内部がこれ以上なく締まる。
「ああ、すごい、締まる……気持ち、いいんだろう、エルシー……中、すごいぞ……」
「や……ああっ……そん、なの、ああっ……」
俺の責めにとうとう、エルシーは陥落し、俺にしがみつくようにして、イった。
「ああっ……ああああっ」
絶頂するエルシーの歪めた眉、反らした白い首筋の、艶めかしさ。
「くっ……なんて顔だ、エルシー……いい……」
ああ、出そうだ……。
このまま中に出してしまいたい。エルシーの中で果てて、エルシーの中を満たしたい。
だがわずかに残った理性がギリギリで俺を押しとどめる。
もし、今、孕めば、エルシーをローズと同じ境遇に落としてしまう。
まだ、俺はエルシーに子を産ませるだけの力もなく、準備も整っていない。
今はまだ――。
俺は寸前でエルシーの中から抜け出して、エルシーの下腹に射精した。
「はあっ、はあっ……エルシー……」
ぐったり横たわるエルシーの白い腹を、俺の吐き出した精がべっとりと汚している。
ずっと焦がれた女を手に入れ、汚した。神聖なものを犯し、貪った。背徳と、充足。
「よく我慢した、偉かったな……」
エルシーとの顔や髪にキスを落とすと、エルシーはため息をついて言った。
「お腹気持ち悪い……早く拭いてください」
ふてくされたような言い方に、俺はつい、噴き出しそうになる。どれだけ悪態をついても、エルシーは可愛いんだから、無駄だよ。昔から、ずっとずっと、愛してる――。
俺はエルシーを抱きしめて口づけをしてから、ベッドサイドに準備されたリネンで腹を拭う。俺に拭けと言ったくせに、エルシーは複雑そうな表情で俺とリネンと、自分の白い腹を見比べている。
それから水をグラスに注ぎ、エルシーがグラスを受け取ろうと手を伸ばすのを無視して、俺が一口飲む。とたんにムッとした顔で睨んでくるので、俺はエルシーのうなじを支えて唇を塞ぐ。俺の口から口移しで水を飲まされて、エルシーがごくりと飲み込むのを確認してから、唇を解放した。
「まだ、いるか?」
「いりますけど、自分で飲みます!」
「ダメ」
俺は一言のもとに退けると、もう一度口うつしで水を飲ます。
そのまま長いキスをして、髪を撫でてやっていると、エルシーの体重が俺の腕の中にかかる。
よほど疲れたのか、アッという間に眠りに落ちたエルシーを抱きしめ、これ以上ないほどの幸福感を噛みしめる。
本心を言えば、一回じゃ足りない。何しろ十二年分だ。
でも、初めての経験に疲れ切ったエルシーを思いやり、ただエルシーの裸身を抱きしめて眠るだけで、我慢した。
翌早朝、ともに朝日を眺められないことを残念に思うけれど、俺は眠るエルシーを起こさないように、ベッドを抜け出す。
俺はエルシーの額にキスをして、後ろ髪を引かれる思いで、寝室を後にした。
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