40 / 43
【番外編】モーガン公爵夫人アイリス・ローレンソン
切望と後悔*
しおりを挟む
以前からの好みもあって、ハミルトン先生はすぐに往診に応じてくださった。
「やっと自由になれましたわ、先生」
黒い喪服を纏って、しかし晴れ晴れとした気分でそう口に出すと、先生は複雑な表情をなさった。
「そうですね。病人の世話は消耗するものです」
「わたくし、未亡人とやらにようやくなれたのですわ」
「……まだ、人生は長いですし、今までできなかったことを自由になさったらいい」
わたくしは自分から先生の手を取った。
「わたくし、先生に出会って初めて恋を知ったのですわ」
「こ、恋……?」
水色の瞳をまんまるに狼狽える先生は、やはりまだ若いのだ。
「僕にとって貴女は患者の一人で……」
「ええ、わかっております。だってわたくしもう、おばあちゃんですもの」
「おばあちゃん、ってことは、ないと、思いますが……」
「まだ、恋をするのに遅くないと思われます?」
「それは、もちろん!」
頷いた先生の手を両手で包み込むように握り、わたくしは背の高い先生を仰ぐように見上げた。
「お慕いしています。先生」
「いや、その……」
わたくしは勇気を振り絞り、先生に打ち明けた。
「恋も愛も、ずっと知らないまま死ぬのだと思っておりました。……でも、本音を言えば悔しくてならなかった。夫と、あの女の身勝手に引きずられて、わたくしの人生ってなんだったのかしらって……。たしかに、こんな年になって、わたくしはもう、醜いかもしれませんが――」
「醜いなんてことはありません! 貴女はお綺麗です! でも……」
それでも先生はかなり迷っていらっしゃった。
「わたくしのことが醜くて我慢できないというのでなければ、お願いです、先生」
「僕はそういう理由で躊躇しているわけではありません……ただその……」
ハミルトン先生は目を伏せ、首を振った。
「僕は貴女に同情はしていますが、愛しているわけではないので……」
「同情でも構いません。ただ……憐れと思ってくださるなら……」
縋りつくわたくしの手を、先生はとうとう、振りほどくことはなく、わたくしをそっと寝台に誘った。
――この人は、理不尽に虐げられた女性を見捨てることができない、優しい人なのだ――
「愛ではなくとも構わないと仰るのですか?」
そう、正面から念を押されて、わたくしは頷いた。
「知りたいのです。わたくしにも、知る権利はありますよね?」
先生はわたくしのドレスの背中のボタンを外し、そっと脱がせる。きつく締めたコルセットの紐を解き、下着を剥ぎ取る。零れ出た二つの乳房は、若い時とは違い、やや垂れていたけれど、先生はそこに顔を埋め――
初めての感覚に身体が熱くて溶けそうになる。すべてが、わたくしの知らなかったこと。知らなかった気持ち、知らなった快感。
ゆっくりとわたくしの肌に余すところなく触れた後で、先生もまた衣服を脱いでいく。
ウエストコートを脱ぎ捨て、ドレスシャツをはだけると、まだ若く瑞々しい身体があらわれる。
わたくしは思わず、その滑らかな肌に手を伸ばした。
「……気に、なりますか?」
「だって、初めて見るのだもの……男の人はみな、こんな風に美しいの?」
「さあ……僕もあと二十年もすれば年相応になると思いますが……」
すべてを先生の目に曝け出したのも初めてのことだった。先生の美しい身体と比べれば、二十も年上のわたくしは肌も衰え、緩んで醜かった。でも先生は一言も責めることなく、ただ、優しく愛してくださった。
愚かなわたくしが、そこに心があると勘違いするほどに――
破瓜の痛みとともに、先生がわたくしの中に入ってくる。一つになることがこれほどの痛みと熱を持つことだなんて、思いもかけなかった。わたくしはただ、彼にすべてを委ね、初めての淫夢に酔いしれた。
ただ、この時が永遠に続いてほしいと――
それからも、わたくしたちの情事は続いた。
もちろん、メイドのエマはわたくしたちの関係に気づいていたが、何も言わなかった。
――エマは、二十年以上に及ぶ、夫のわたくしの仕打ちを知っていたから。
往診にかこつけて訪れる先生に、わたくしが行為を強請れば、先生が断ることはなかった。
わたくしの中を穿ちながら、切なげに歪む先生の表情もすべて美しくて、わたくしはいつしか、自分たちは愛し合っていると信じ込むようになる。
この関係が続いた先に何があるとか、結婚したいとか、望んていたわけではない。
さすがに、息子のベネディクトと同じ年の男性との結婚を夢見るほど、わたくしも愚かではない、つもりだった。
ただ時折、先生がふと見せる表情に、わたくしの胸が騒ぐ。
情事の後、浮かない表情でタイを結んでいる先生に、わたくしが寝台の中から尋ねる。
「先生……? 次は、来週の同じ日で?」
「あ、……いえ、来週は学会があって……」
「では、一週間お会いできませんのね?」
先生が意を決したようにわたくしを見た。
「その……いつまでもこんな不毛な関係を続けるおつもりですか?」
「……不毛……わたくしは……」
「もうそろそろ、清算すべきだと思うのですが」
「……先生は、この関係が不満なのですか? どなたか、他に好きな方が……」
思わず声を震わせるわたくしに、先生は言った。
「最初から、こうすべきではなかったとは思っています」
「でも、わたくしは先生を――」
「僕は、そもそも愛していない。でも貴女が気の毒で……情がなかったわけではない。貴女を愛さなかった夫の代わりに僕を望みました。でも、僕ではやはり代わりにはなれない」
先生のおっしゃる意味がわからなかった。
「どうしてそんなことをおっしゃるのです、先生。……わたくしが、年上で醜いから?」
「僕は貴女のことを醜いと思ったことはありません。でも、愛してはいない」
「わたくしを抱いたこと、後悔していらっしゃるの?」
わたくしの問いかけに、先生は視線をそらした。
「後悔しているか、していないかと言えば、後悔しています。医師と、患者の矩を越えるべきでなかった……僕は、医師失格です」
わたくしは、先生の苦悩に戸惑い、お願いだから捨てないでくれと泣いて、縋りついた。
しかし、先生の往診は理由をつけて間遠になる。
最初は学会や王都外への出張、そして、右手のケガを理由に一月ほど間が開いしまい、どうしても会いたくてたまらなくなったわたくしは、王立病院に問い合わせた。
「イライアス・ハミルトン医師は先週付けで医局を退職いたしました」
信じられない言葉に、わたくしはその場に立ち尽くした。
「ハミルトン先生が? どうして? 何か、あったのです?」
「いえ、戦地で軍医が足りないと聞いて、その日の内には医局をやめて陸軍省に志願なさいました。ハンプトンの港から、南の大陸に向かうと――」
植民地での列強同士の争いが、戦争に発展した。はるか南の――未開の大陸の戦争を、わたくしは遠い世界の話だとばかり思っていた。
「抱えていた患者さんについては、重症度の高い人については、それぞれ引継ぎをされていますが、モーガン夫人に関しては、かなり病状に改善がみられるので、特に引き継ぐにあたらないと」
そう、言われてわたくしはショックを受ける。
たしかに、先生に抱かれるようになってから、わたくしは気持ちが若返ったせいか、肌の張りもよく、不調もどこかに行ってしまった。
――それに今さら、他の医師からあの治療を受けるなんて、そんな気にはなれない。
わたくしは突然、突きつけられた別れに戸惑い、打ちのめされる。
でも、心のどこかで、こんな日がいつか来るのは覚悟していたのかもしれない。
だってわたくしは、若い花の盛りのころにさえ、夫に一顧だにされなかったのだ。
年老い、容色も衰えた今、若く美しい彼の心をとらえることなどあり得ない。
これは仕方のないことなのだ。
わたくしは恋人に捨てられた傷心を癒やすように、隣国ルーセンの南海岸の保養地に逃げた。
そこでわたくしは体の不調を覚え――
現地の医師から妊娠を告げられた。
わたくしの耳には、天からの福音に聞こえた。そんな奇跡があるだろうか。
わたくしはハミルトン先生しか知らない。彼は避妊にはとても気をつかって、絶対にゴムの避妊具なしでは交わらなかった。
『今からするのは治療ではなく、性行為です。当然、妊娠の可能性があります。それを避ける手段を講じるのは当然のことです』
もう年だから妊娠などしない、と言うわたくしに彼は少しばかり語気を荒げたものだ。
『万一妊娠した場合、あなたは高齢の初産となります。とても、危険性が高い』
もちろん、堕胎する選択肢もあるが、それは女性の身体にも、そして何より心に傷を負わせることになる、と。彼が憂えたのは、世間体ではなく、わたくしの身体のことだった。
『医師として、妊娠させないのが一番です。……だから、本来は行為はしない方がいい』
そこまで言われても、わたくしは彼に抱かれることを望んだ。そうして、どういう奇跡でか、この子はわたくしの胎内に宿ってくれた。
もし妊娠を伝えれば、彼はすべてを擲っても責任を取ろうとするだろう。でもそれでは、まだ若いかれの人生を潰してしまう。わたくしはそれを望まない。
――彼に黙って、一人で産もう。
「やっと自由になれましたわ、先生」
黒い喪服を纏って、しかし晴れ晴れとした気分でそう口に出すと、先生は複雑な表情をなさった。
「そうですね。病人の世話は消耗するものです」
「わたくし、未亡人とやらにようやくなれたのですわ」
「……まだ、人生は長いですし、今までできなかったことを自由になさったらいい」
わたくしは自分から先生の手を取った。
「わたくし、先生に出会って初めて恋を知ったのですわ」
「こ、恋……?」
水色の瞳をまんまるに狼狽える先生は、やはりまだ若いのだ。
「僕にとって貴女は患者の一人で……」
「ええ、わかっております。だってわたくしもう、おばあちゃんですもの」
「おばあちゃん、ってことは、ないと、思いますが……」
「まだ、恋をするのに遅くないと思われます?」
「それは、もちろん!」
頷いた先生の手を両手で包み込むように握り、わたくしは背の高い先生を仰ぐように見上げた。
「お慕いしています。先生」
「いや、その……」
わたくしは勇気を振り絞り、先生に打ち明けた。
「恋も愛も、ずっと知らないまま死ぬのだと思っておりました。……でも、本音を言えば悔しくてならなかった。夫と、あの女の身勝手に引きずられて、わたくしの人生ってなんだったのかしらって……。たしかに、こんな年になって、わたくしはもう、醜いかもしれませんが――」
「醜いなんてことはありません! 貴女はお綺麗です! でも……」
それでも先生はかなり迷っていらっしゃった。
「わたくしのことが醜くて我慢できないというのでなければ、お願いです、先生」
「僕はそういう理由で躊躇しているわけではありません……ただその……」
ハミルトン先生は目を伏せ、首を振った。
「僕は貴女に同情はしていますが、愛しているわけではないので……」
「同情でも構いません。ただ……憐れと思ってくださるなら……」
縋りつくわたくしの手を、先生はとうとう、振りほどくことはなく、わたくしをそっと寝台に誘った。
――この人は、理不尽に虐げられた女性を見捨てることができない、優しい人なのだ――
「愛ではなくとも構わないと仰るのですか?」
そう、正面から念を押されて、わたくしは頷いた。
「知りたいのです。わたくしにも、知る権利はありますよね?」
先生はわたくしのドレスの背中のボタンを外し、そっと脱がせる。きつく締めたコルセットの紐を解き、下着を剥ぎ取る。零れ出た二つの乳房は、若い時とは違い、やや垂れていたけれど、先生はそこに顔を埋め――
初めての感覚に身体が熱くて溶けそうになる。すべてが、わたくしの知らなかったこと。知らなかった気持ち、知らなった快感。
ゆっくりとわたくしの肌に余すところなく触れた後で、先生もまた衣服を脱いでいく。
ウエストコートを脱ぎ捨て、ドレスシャツをはだけると、まだ若く瑞々しい身体があらわれる。
わたくしは思わず、その滑らかな肌に手を伸ばした。
「……気に、なりますか?」
「だって、初めて見るのだもの……男の人はみな、こんな風に美しいの?」
「さあ……僕もあと二十年もすれば年相応になると思いますが……」
すべてを先生の目に曝け出したのも初めてのことだった。先生の美しい身体と比べれば、二十も年上のわたくしは肌も衰え、緩んで醜かった。でも先生は一言も責めることなく、ただ、優しく愛してくださった。
愚かなわたくしが、そこに心があると勘違いするほどに――
破瓜の痛みとともに、先生がわたくしの中に入ってくる。一つになることがこれほどの痛みと熱を持つことだなんて、思いもかけなかった。わたくしはただ、彼にすべてを委ね、初めての淫夢に酔いしれた。
ただ、この時が永遠に続いてほしいと――
それからも、わたくしたちの情事は続いた。
もちろん、メイドのエマはわたくしたちの関係に気づいていたが、何も言わなかった。
――エマは、二十年以上に及ぶ、夫のわたくしの仕打ちを知っていたから。
往診にかこつけて訪れる先生に、わたくしが行為を強請れば、先生が断ることはなかった。
わたくしの中を穿ちながら、切なげに歪む先生の表情もすべて美しくて、わたくしはいつしか、自分たちは愛し合っていると信じ込むようになる。
この関係が続いた先に何があるとか、結婚したいとか、望んていたわけではない。
さすがに、息子のベネディクトと同じ年の男性との結婚を夢見るほど、わたくしも愚かではない、つもりだった。
ただ時折、先生がふと見せる表情に、わたくしの胸が騒ぐ。
情事の後、浮かない表情でタイを結んでいる先生に、わたくしが寝台の中から尋ねる。
「先生……? 次は、来週の同じ日で?」
「あ、……いえ、来週は学会があって……」
「では、一週間お会いできませんのね?」
先生が意を決したようにわたくしを見た。
「その……いつまでもこんな不毛な関係を続けるおつもりですか?」
「……不毛……わたくしは……」
「もうそろそろ、清算すべきだと思うのですが」
「……先生は、この関係が不満なのですか? どなたか、他に好きな方が……」
思わず声を震わせるわたくしに、先生は言った。
「最初から、こうすべきではなかったとは思っています」
「でも、わたくしは先生を――」
「僕は、そもそも愛していない。でも貴女が気の毒で……情がなかったわけではない。貴女を愛さなかった夫の代わりに僕を望みました。でも、僕ではやはり代わりにはなれない」
先生のおっしゃる意味がわからなかった。
「どうしてそんなことをおっしゃるのです、先生。……わたくしが、年上で醜いから?」
「僕は貴女のことを醜いと思ったことはありません。でも、愛してはいない」
「わたくしを抱いたこと、後悔していらっしゃるの?」
わたくしの問いかけに、先生は視線をそらした。
「後悔しているか、していないかと言えば、後悔しています。医師と、患者の矩を越えるべきでなかった……僕は、医師失格です」
わたくしは、先生の苦悩に戸惑い、お願いだから捨てないでくれと泣いて、縋りついた。
しかし、先生の往診は理由をつけて間遠になる。
最初は学会や王都外への出張、そして、右手のケガを理由に一月ほど間が開いしまい、どうしても会いたくてたまらなくなったわたくしは、王立病院に問い合わせた。
「イライアス・ハミルトン医師は先週付けで医局を退職いたしました」
信じられない言葉に、わたくしはその場に立ち尽くした。
「ハミルトン先生が? どうして? 何か、あったのです?」
「いえ、戦地で軍医が足りないと聞いて、その日の内には医局をやめて陸軍省に志願なさいました。ハンプトンの港から、南の大陸に向かうと――」
植民地での列強同士の争いが、戦争に発展した。はるか南の――未開の大陸の戦争を、わたくしは遠い世界の話だとばかり思っていた。
「抱えていた患者さんについては、重症度の高い人については、それぞれ引継ぎをされていますが、モーガン夫人に関しては、かなり病状に改善がみられるので、特に引き継ぐにあたらないと」
そう、言われてわたくしはショックを受ける。
たしかに、先生に抱かれるようになってから、わたくしは気持ちが若返ったせいか、肌の張りもよく、不調もどこかに行ってしまった。
――それに今さら、他の医師からあの治療を受けるなんて、そんな気にはなれない。
わたくしは突然、突きつけられた別れに戸惑い、打ちのめされる。
でも、心のどこかで、こんな日がいつか来るのは覚悟していたのかもしれない。
だってわたくしは、若い花の盛りのころにさえ、夫に一顧だにされなかったのだ。
年老い、容色も衰えた今、若く美しい彼の心をとらえることなどあり得ない。
これは仕方のないことなのだ。
わたくしは恋人に捨てられた傷心を癒やすように、隣国ルーセンの南海岸の保養地に逃げた。
そこでわたくしは体の不調を覚え――
現地の医師から妊娠を告げられた。
わたくしの耳には、天からの福音に聞こえた。そんな奇跡があるだろうか。
わたくしはハミルトン先生しか知らない。彼は避妊にはとても気をつかって、絶対にゴムの避妊具なしでは交わらなかった。
『今からするのは治療ではなく、性行為です。当然、妊娠の可能性があります。それを避ける手段を講じるのは当然のことです』
もう年だから妊娠などしない、と言うわたくしに彼は少しばかり語気を荒げたものだ。
『万一妊娠した場合、あなたは高齢の初産となります。とても、危険性が高い』
もちろん、堕胎する選択肢もあるが、それは女性の身体にも、そして何より心に傷を負わせることになる、と。彼が憂えたのは、世間体ではなく、わたくしの身体のことだった。
『医師として、妊娠させないのが一番です。……だから、本来は行為はしない方がいい』
そこまで言われても、わたくしは彼に抱かれることを望んだ。そうして、どういう奇跡でか、この子はわたくしの胎内に宿ってくれた。
もし妊娠を伝えれば、彼はすべてを擲っても責任を取ろうとするだろう。でもそれでは、まだ若いかれの人生を潰してしまう。わたくしはそれを望まない。
――彼に黙って、一人で産もう。
13
お気に入りに追加
486
あなたにおすすめの小説
贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる
マチバリ
恋愛
貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。
数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。
書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。


燻らせた想いは口付けで蕩かして~睦言は蜜毒のように甘く~
二階堂まや
恋愛
北西の国オルデランタの王妃アリーズは、国王ローデンヴェイクに愛されたいがために、本心を隠して日々を過ごしていた。 しかしある晩、情事の最中「猫かぶりはいい加減にしろ」と彼に言われてしまう。
夫に嫌われたくないが、自分に自信が持てないため涙するアリーズ。だがローデンヴェイクもまた、言いたいことを上手く伝えられないもどかしさを密かに抱えていた。
気持ちを伝え合った二人は、本音しか口にしない、隠し立てをしないという約束を交わし、身体を重ねるが……?
「こんな本性どこに隠してたんだか」
「構って欲しい人だったなんて、思いませんでしたわ」
さてさて、互いの本性を知った夫婦の行く末やいかに。
+ムーンライトノベルズにも掲載しております。
腹黒宰相との白い結婚
黎
恋愛
大嫌いな腹黒宰相ロイドと結婚する羽目になったランメリアは、条件をつきつけた――これは白い結婚であること。代わりに側妻を娶るも愛人を作るも好きにすればいい。そう決めたはずだったのだが、なぜか、周囲が全力で溝を埋めてくる。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる
奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。
だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。
「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」
どう尋ねる兄の真意は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる