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【番外編】モーガン公爵夫人アイリス・ローレンソン
白い結婚
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「結婚はしたけれど、君を愛することはないよ」
新婚初夜の褥の上で、あの人はわたくしにそう、告げた。
「俺はアビーを愛している。アビー以外は要らないと言ったけれど、父上は納得してくれなかった。だから、君を表向きの正妻として娶ることにした。私の愛はアビー以外にはないし、求めることも許さない」
その残酷な宣言を、わたくしはただ、呆然と受け止めるしかなかった。
「君は大人しくお飾りの妻を演じてくれ。その見返りに、君の実家、フォレスト子爵家の借金は肩代わりしたし、今後も我がモーガン公爵家で後押しは約束する」
「それはつまり――」
夫となったバーナードは、不機嫌そうに眉を顰め、ため息をつく。
「君とは白い結婚になるが、それを言い立てられては困るのだ」
「白い……結婚?」
白い結婚がなんであるのか、それすら、その頃のわたくしは知らなかった。貴族の娘として、性的なものからは遠ざけられていた。結婚の後に当然、あるべきことも知らず、子供ができる理由も知らなった。
――すべては、夫となった人に任せるように。
結婚の前夜にそう、母に諭されて、わたくしは嫁いだ。
それが見えない牢獄に囚われるのと同じことだとは、思いもせずに。
夫はナイフを取り出して自身の指を傷つけると、溢れ出た血を真っ白なシーツに擦りつける。
「これで結婚の儀式は終了だ。いいね?」
――それが、わたくし、モーガン公爵夫人となったアイリス・ローレンソンの、不幸な人生の幕開けだった。
借金を抱えた弱小子爵家の娘であるわたくしのもとに、有数の名門貴族モーガン公爵家から結婚の話を持ち掛けられた時に、その不自然さに気づくべきだったのだ。
父は借金の肩代わりと、モーガン公爵家の後ろ盾という条件に飛びつき、ろくな調査もせずに婚約した。夫が年上の愛人に夢中で、都合のいいお飾りの妻を探していたなんて、世間知らずのわたくしは思いもしなかった。
夫は王都内の、繁華なタウンハウスに愛人のアビゲイル・ホワイトリィを住まわせ、入り浸った。わたくしには王都の外れの、ソーンバーグ・ハウスと呼ばれる瀟洒な屋敷を与えたが、夫が泊まるのは月に一、二度あるかないか。それもあの初夜の一夜を除いては寝室を訪れることもなかった。それでも公爵夫人として、王室の関わる正式な社交と領地の経営、膨大な使用人の管理などの厄介な仕事は、すべてわたくしに押し付けられ、それをこなすだけでアッと言う間に一年が過ぎた。
そして――
「アビーが妊娠した。我が国では嫡出子しか爵位を継げない。君の子として届け出るから、妊娠しているふりをするように」
夫に命じられてわたくしは仰天する。夫婦の営みがない「白い結婚」では、子供を孕むことはない。でも、愛人の子を我が子と偽るなんて――
「そこまでアビゲイル様を愛していらっしゃるなら、わたくしと離縁して、そちらと結婚なされば――」
「それができないから、こんな面倒なことをしている! うちが手を引いたらお前の実家など、あっと言う間に潰れるのだぞ、わかっているのか!」
娼婦上がりのアビゲイルでは、公爵夫人に据えることはできない。だからこその、見せかけの妻なのだ。
ようやく借金から解放され、弟に爵位を継がせられると喜んでいる実家のことを思えば、わたくしが耐える以外の道はなかった。
そうしてわたくしは、産んでもいない嫡男、ベネディクトの母親のフリをし、また赤子など育てるのは嫌だというアビゲイルの代わりに子どもを養育した。
幸いにもベネディクトは素直な子で、わたくしに懐いてはくれたが、いずれ自分の本当の母親が誰か知るだろう。
女としての幸せをしらぬまま、瞬くまに二十年の月日が流れ、もう四十の声も間近になったある日、夫がタウンハウスで倒れたという報せがもたらされる。
「……倒れた。そう、お医者様はなんと?」
「それが、事情がよくわからぬまま、突然奥様……いえ、失礼いたしました、アビゲイル様がご旅行に行くと言ってお出かけになり、旦那様は寝ているからと……ですがあまりに様子がおかしいので寝室にお声をかけましたところ、口もきけないような状況でございまして。慌てて医師を呼びましたが……」
「どういうこと?」
要領得ぬ従僕の言葉にわたくしは首を傾げるが、タウンハウスの執事がとにかくわたくしに来てほしいとの一点ばりで、わたくしは戸惑いながらも仕方なくタウンハウスに向かう。
結婚して二十年。夫と愛人の愛の巣に、わたくしは近づくことすら禁じられていたのと言うのに。
結論から言えば、夫は卒中の発作を起こし、アビゲイルは彼を見捨てて逃げたのだ。
すぐにも医師を呼んでいれば軽い発作で済んだかもしれないのに、放置されたおかげでどうにもならないほど症状が進んでいた。
わたくしは使用人を指揮し、看護の手筈を整える。この邸ではまともな主治医も置いておらず、わたくしは王立病院の医師に定期的に往診してもらうようにお願いした。
大学に入学したばかりのベネディクトには、いつでも継承できるように弁護士に手続きを進めさせ、ひとまずわたくしが公爵夫人として引き続き事務を執る。
すぐにも死ぬかと思った夫であったが、奇跡的に持ち直し、だがほぼ口もきけない寝た切りの状態で過ごすことになった。
こうして五年近い日々が過ぎて、わたくしは四十三歳になっていた。ずっと夫を診てくれていた医師が王立病院を退いたとかで、新任の医師が我が家にやってきた。
大学を出たばかりと聞いて不安もあったが、どのみち、夫の病状はこれ以上はよくはならないと言われていた。ただ世間体のためだけに医師を呼んでいるわけだから、どうでもいいと思い、わたくしは新任の医師を受け入れた。
やってきた彼を見て、わたくしはしばし、時が止まったような気分で立ち尽くした。
すらりと背が高く、金髪は綺麗に整えられて、仕立てのいいフロックコートを着こなした彼は、貴族の出だと一目でわかった。
「どうも。イライアス・ハミルトンと申します」
玄関でトップハットを取って挨拶する彼に、わたくしは一瞬気圧されて、だが気を取り直して応える。
「モーガン公爵家の――バーナード・ローレンソンの妻、アイリスでございます」
「では早速診療と、問診を――」
「……まだ、ずいぶんとお若い
思わず口にしてしまい、わたくしがハッとするが、彼は穏やかに微笑んだ。
「……はい。昨年大学を出たばかりの若造で……」
だとすれば二十二か、三か……わたくしよりも二十も若いのだ。
「ベネディクトと同じくらいですわね。今年、ハートフォードを卒業いたしましたの」
「息子さん? 今はどちらに?」
「……息子は領地におりますわ。夫が倒れまして、できるだけ早くに継承させたいと思っておりますが、今はまだ領地の経営も不慣れですので」
「それは大変です」
夫の寝室に導き、少し下がって診察を見学する。黒い往診カバンからカルテと聴診器を取り出し、わたくしや執事に尋ねながら何か書き取っていく。
「ご気分はいかがですか。では少しだけ胸の音を聞かせていただきますね……」
「うあ、う……」
「はい、大丈夫です、失礼いたしました」
まともに口をきけない夫に対しても、丁寧な態度を崩さず、診療に不安なとこはない。
「前任のジェイコブ医師から処方も受け継いでおります。その薬で問題がないようでしたら、そちらをまたお出ししておきますので――」
低く滑るような声にわたくしは魅了されて、気づけば彼から目が離せなくなっていた。
新婚初夜の褥の上で、あの人はわたくしにそう、告げた。
「俺はアビーを愛している。アビー以外は要らないと言ったけれど、父上は納得してくれなかった。だから、君を表向きの正妻として娶ることにした。私の愛はアビー以外にはないし、求めることも許さない」
その残酷な宣言を、わたくしはただ、呆然と受け止めるしかなかった。
「君は大人しくお飾りの妻を演じてくれ。その見返りに、君の実家、フォレスト子爵家の借金は肩代わりしたし、今後も我がモーガン公爵家で後押しは約束する」
「それはつまり――」
夫となったバーナードは、不機嫌そうに眉を顰め、ため息をつく。
「君とは白い結婚になるが、それを言い立てられては困るのだ」
「白い……結婚?」
白い結婚がなんであるのか、それすら、その頃のわたくしは知らなかった。貴族の娘として、性的なものからは遠ざけられていた。結婚の後に当然、あるべきことも知らず、子供ができる理由も知らなった。
――すべては、夫となった人に任せるように。
結婚の前夜にそう、母に諭されて、わたくしは嫁いだ。
それが見えない牢獄に囚われるのと同じことだとは、思いもせずに。
夫はナイフを取り出して自身の指を傷つけると、溢れ出た血を真っ白なシーツに擦りつける。
「これで結婚の儀式は終了だ。いいね?」
――それが、わたくし、モーガン公爵夫人となったアイリス・ローレンソンの、不幸な人生の幕開けだった。
借金を抱えた弱小子爵家の娘であるわたくしのもとに、有数の名門貴族モーガン公爵家から結婚の話を持ち掛けられた時に、その不自然さに気づくべきだったのだ。
父は借金の肩代わりと、モーガン公爵家の後ろ盾という条件に飛びつき、ろくな調査もせずに婚約した。夫が年上の愛人に夢中で、都合のいいお飾りの妻を探していたなんて、世間知らずのわたくしは思いもしなかった。
夫は王都内の、繁華なタウンハウスに愛人のアビゲイル・ホワイトリィを住まわせ、入り浸った。わたくしには王都の外れの、ソーンバーグ・ハウスと呼ばれる瀟洒な屋敷を与えたが、夫が泊まるのは月に一、二度あるかないか。それもあの初夜の一夜を除いては寝室を訪れることもなかった。それでも公爵夫人として、王室の関わる正式な社交と領地の経営、膨大な使用人の管理などの厄介な仕事は、すべてわたくしに押し付けられ、それをこなすだけでアッと言う間に一年が過ぎた。
そして――
「アビーが妊娠した。我が国では嫡出子しか爵位を継げない。君の子として届け出るから、妊娠しているふりをするように」
夫に命じられてわたくしは仰天する。夫婦の営みがない「白い結婚」では、子供を孕むことはない。でも、愛人の子を我が子と偽るなんて――
「そこまでアビゲイル様を愛していらっしゃるなら、わたくしと離縁して、そちらと結婚なされば――」
「それができないから、こんな面倒なことをしている! うちが手を引いたらお前の実家など、あっと言う間に潰れるのだぞ、わかっているのか!」
娼婦上がりのアビゲイルでは、公爵夫人に据えることはできない。だからこその、見せかけの妻なのだ。
ようやく借金から解放され、弟に爵位を継がせられると喜んでいる実家のことを思えば、わたくしが耐える以外の道はなかった。
そうしてわたくしは、産んでもいない嫡男、ベネディクトの母親のフリをし、また赤子など育てるのは嫌だというアビゲイルの代わりに子どもを養育した。
幸いにもベネディクトは素直な子で、わたくしに懐いてはくれたが、いずれ自分の本当の母親が誰か知るだろう。
女としての幸せをしらぬまま、瞬くまに二十年の月日が流れ、もう四十の声も間近になったある日、夫がタウンハウスで倒れたという報せがもたらされる。
「……倒れた。そう、お医者様はなんと?」
「それが、事情がよくわからぬまま、突然奥様……いえ、失礼いたしました、アビゲイル様がご旅行に行くと言ってお出かけになり、旦那様は寝ているからと……ですがあまりに様子がおかしいので寝室にお声をかけましたところ、口もきけないような状況でございまして。慌てて医師を呼びましたが……」
「どういうこと?」
要領得ぬ従僕の言葉にわたくしは首を傾げるが、タウンハウスの執事がとにかくわたくしに来てほしいとの一点ばりで、わたくしは戸惑いながらも仕方なくタウンハウスに向かう。
結婚して二十年。夫と愛人の愛の巣に、わたくしは近づくことすら禁じられていたのと言うのに。
結論から言えば、夫は卒中の発作を起こし、アビゲイルは彼を見捨てて逃げたのだ。
すぐにも医師を呼んでいれば軽い発作で済んだかもしれないのに、放置されたおかげでどうにもならないほど症状が進んでいた。
わたくしは使用人を指揮し、看護の手筈を整える。この邸ではまともな主治医も置いておらず、わたくしは王立病院の医師に定期的に往診してもらうようにお願いした。
大学に入学したばかりのベネディクトには、いつでも継承できるように弁護士に手続きを進めさせ、ひとまずわたくしが公爵夫人として引き続き事務を執る。
すぐにも死ぬかと思った夫であったが、奇跡的に持ち直し、だがほぼ口もきけない寝た切りの状態で過ごすことになった。
こうして五年近い日々が過ぎて、わたくしは四十三歳になっていた。ずっと夫を診てくれていた医師が王立病院を退いたとかで、新任の医師が我が家にやってきた。
大学を出たばかりと聞いて不安もあったが、どのみち、夫の病状はこれ以上はよくはならないと言われていた。ただ世間体のためだけに医師を呼んでいるわけだから、どうでもいいと思い、わたくしは新任の医師を受け入れた。
やってきた彼を見て、わたくしはしばし、時が止まったような気分で立ち尽くした。
すらりと背が高く、金髪は綺麗に整えられて、仕立てのいいフロックコートを着こなした彼は、貴族の出だと一目でわかった。
「どうも。イライアス・ハミルトンと申します」
玄関でトップハットを取って挨拶する彼に、わたくしは一瞬気圧されて、だが気を取り直して応える。
「モーガン公爵家の――バーナード・ローレンソンの妻、アイリスでございます」
「では早速診療と、問診を――」
「……まだ、ずいぶんとお若い
思わず口にしてしまい、わたくしがハッとするが、彼は穏やかに微笑んだ。
「……はい。昨年大学を出たばかりの若造で……」
だとすれば二十二か、三か……わたくしよりも二十も若いのだ。
「ベネディクトと同じくらいですわね。今年、ハートフォードを卒業いたしましたの」
「息子さん? 今はどちらに?」
「……息子は領地におりますわ。夫が倒れまして、できるだけ早くに継承させたいと思っておりますが、今はまだ領地の経営も不慣れですので」
「それは大変です」
夫の寝室に導き、少し下がって診察を見学する。黒い往診カバンからカルテと聴診器を取り出し、わたくしや執事に尋ねながら何か書き取っていく。
「ご気分はいかがですか。では少しだけ胸の音を聞かせていただきますね……」
「うあ、う……」
「はい、大丈夫です、失礼いたしました」
まともに口をきけない夫に対しても、丁寧な態度を崩さず、診療に不安なとこはない。
「前任のジェイコブ医師から処方も受け継いでおります。その薬で問題がないようでしたら、そちらをまたお出ししておきますので――」
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