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24、ルーカスの不安
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ローズマリーとの間がなんとなく進展して、僕はちょっとだけ有頂天だったが、今度はルーカスの様子がおかしい。
朝食の後、家庭教師のミス・トレヴィスが呼びに来ても、ローズマリーにしがみついて離れようとしない。
「ルーカス? どうしたの?」
「だって……かあさまと一緒がいい……」
「ルーカス様、いつまでもそんな風に甘えていてはダメです」
ミス・トレヴィスが厳しい調子で言い、強引に近づいてルーカスの腕の掴む。
「や! かあさまも!」
いっそう母親にしがみつくルーカスを、ローズマリーが困ったように宥める。
「ルーカス、先生の言うことを聞いて。お勉強の時間でしょ?」
素直で勉強の好きなルーカスがこんな風に嫌がるのは、何か理由があるのではと僕は思い、ちらりとミス・トレヴィスを見る。ミス・トレヴィスは二十代半ばの、背が低くてころっとした体形の女性だ。こげ茶色の髪をぴっちりとうなじで結い、眼鏡をかけている。グレイの襟の詰まったドレスには、カメオのブローチ。
「……珍しいね、ルーカスが我が侭を言うなんて。いつもこんな感じ?」
僕が尋ねれば、ミス・トレヴィスは戸惑うように首を傾げる。
「いえ、たいていは素直に勉強なさいます。お母さまが近くにいると、甘えたくなってしまうみたいで」
僕はしばらく考え、ルーカスに言った。
「おじさんも一緒に勉強しよう。それなら、お母さんがいなくても大丈夫だね?」
「……おじさん? かあさまはダメなの?」
「お母さんはこの後、仕立て屋が来るんだ。この前は、まだ体がよくなかったから、ちゃんと採寸できてない。綺麗なドレスを仕立ててもらって、散歩に行きたいだろう? だから、おじさんで我慢して」
ルーカスはしばらく考えていたが、僕とローズマリーを見比べ、言った。
「かあさまのドレスを買うの?」
「そう。そろそろ散歩にも行けるからね。それに、もうすぐ、お腹が大きくなるから、それも見越したドレスを作っておかないと」
僕がルーカスの頭を撫でながら言えば、ローズマリーが不安そうに視線を泳がせる一方、ミス・トレヴィスの眉が顰められるのを僕は見た。だが僕は気づかないふりをして、ローズマリーに言った。
「僕も立ち会う予定だったけど、母上がついていてくれるから――」
「え、ええ、大丈夫よ。でも――」
「女性の服については、僕よりも母上の方が頼りになるね。いいのを選んでもらって。……ルーカスが僕が見ているから」
僕は身をかがめてローズの頬にキスすると、ミス・トレヴィスに言った。
「僕が横にいても構わないだろう?」
「え、ええ、もちろんです、旦那様!」
顔を赤らめて頷くミス・トレヴィスに、僕はとても嫌な予感がした。
ルーカスの部屋は客間から子供部屋に移し、そちらを勉強に適するよう、本棚を入れたりして整えているところだった。――ローズマリーの部屋とは少し遠くなるが、いずれ、ローズには僕の部屋の隣に移ってもらうつもりでいる。
中途半端な立場が、ルーカスを不安にさせているのかもしれない。早くアーリングベリのリントン伯爵家と話し合い、ルーカスの今後を確定させ、ローズとも正式に結婚の届を出さなければ。
僕がそんなことを考えていると――
「ルーカス、そこの綴りが間違っていますよ?」
ミス・トレヴィスがルーカスの綴り方をチェックして間違いを指摘すると、ルーカスは素直に頷いて書き直している。
僕がルーカスの教育において求めたのは、無意味に体罰を加えないこと、彼の複雑な生まれに口を出さないこと、父親の話はしないこと、の三点だった。
「はい、よくできましたね。次はこちらを読んで――」
授業は滞りなく進み、ルーカスは甘えていたのが嘘のように真面目に取り組んでいる。
一時間ほどして休憩時間になり、メイドがお茶を運んできた。
「一休みしましょうか。……旦那様もご一緒に?」
「ああ、そうしようか。……この時間だとまだ、あちらは仕立て屋に取り掛かりっきりだね」
僕が金時計を見て言い、本や帳面を片付け、テーブルにお茶の用意ができる。午前のお茶はお菓子もビスケット程度だ。
「ねえ、おじさん?」
「なに?」
ルーカスがビスケットを齧りながら僕に問いかけるので、僕が答える。
「僕は先生に綴り方を習ったら、学校に行くの?」
「そうだね、七歳あたりから初等学校に行くつもりで今、探している。お友達と一緒に勉強した方がいいから」
ルーカスが僕と、ミス・トレヴィスを見比べ、言った。
「かあさまと離れなくちゃいけないの?」
僕は目を丸くした。
「いや、うちから通える学校を探しているから、おかあさんと離れる必要はないよ? なぜ?」
「トレヴィス先生が、きしゅくしゃってのに入るんだって」
「あ、いえその――そういうこともあるかもって言っただけです」
ミス・トレヴィスが慌てて否定する。
「最近の上流の子息は、初等から寄宿舎暮らしも多いですから」
「……ああ、全寮制の学校もあるからね。でも、今のところは考えてない」
僕は断言する。――寄宿舎に入れるとしても、もう少し年齢が上がってからのつもりだった。
「おじさんが寄宿舎に入ったのは十三歳の中学校からだ。ルーカスもそのくらいのつもりだった。王都には家から通えるいい学校がたくさんあるし」
「でも――最近の名門の子弟は、早くから寄宿舎にお入れになりますよ?」
横から、ミス・トレヴィスが口を挟む。僕は微笑んで紅茶を一口すすり、カップをソーサーに戻して言った。
「そうだね。ルーカスが希望するならば、十歳くらいになれば寄宿舎でもいいかなとは思うんだ。でも、今年や来年は無理だよ。まだしばらくは母親の庇護が必要だ」
この後、ルーカスは大きく環境が変わる。下町暮らしの経験しかないルーカスには、上流の子供たちばかりの寄宿舎は精神的負担が大きいだろう。
「でも――ルーカス様の将来を思うなら、ローズマリーさんのような方からは早く引き離した方が――」
ガチャンとルーカスが乱暴にカップをソーサーに戻し、お茶が零れた。
「あら、いけませんと言っているのに。もっと食器は音を立てないように……」
「僕、かあさまと離れるのはイヤ! おじさん、僕をきしゅくしゃに入れたりしないで!」
「ルーカス、さっきも言ったけれど、そのつもりはないよ」
僕が宥めれば、ルーカスは目に涙を溜めて言った。
「かあさまをどこかにやったりもしない?」
僕は目を見開いた。
「ローズを? まさか!」
「本当?」
「ローズにはやっと、ここに住んでもらう了解を取りつけたんだよ。どこに追い出すと言うの」
僕はルーカスの金色の巻き毛を撫でて、それからミス・トレヴィスを見た。――ミス・トレヴィスは、不満そうに眉を寄せている。
「……ミス・トレヴィス、少し話そう」
僕はそう言って、その日の授業は早めに切り上げさせ、ミス・トレヴィスを書斎に呼んだ。
朝食の後、家庭教師のミス・トレヴィスが呼びに来ても、ローズマリーにしがみついて離れようとしない。
「ルーカス? どうしたの?」
「だって……かあさまと一緒がいい……」
「ルーカス様、いつまでもそんな風に甘えていてはダメです」
ミス・トレヴィスが厳しい調子で言い、強引に近づいてルーカスの腕の掴む。
「や! かあさまも!」
いっそう母親にしがみつくルーカスを、ローズマリーが困ったように宥める。
「ルーカス、先生の言うことを聞いて。お勉強の時間でしょ?」
素直で勉強の好きなルーカスがこんな風に嫌がるのは、何か理由があるのではと僕は思い、ちらりとミス・トレヴィスを見る。ミス・トレヴィスは二十代半ばの、背が低くてころっとした体形の女性だ。こげ茶色の髪をぴっちりとうなじで結い、眼鏡をかけている。グレイの襟の詰まったドレスには、カメオのブローチ。
「……珍しいね、ルーカスが我が侭を言うなんて。いつもこんな感じ?」
僕が尋ねれば、ミス・トレヴィスは戸惑うように首を傾げる。
「いえ、たいていは素直に勉強なさいます。お母さまが近くにいると、甘えたくなってしまうみたいで」
僕はしばらく考え、ルーカスに言った。
「おじさんも一緒に勉強しよう。それなら、お母さんがいなくても大丈夫だね?」
「……おじさん? かあさまはダメなの?」
「お母さんはこの後、仕立て屋が来るんだ。この前は、まだ体がよくなかったから、ちゃんと採寸できてない。綺麗なドレスを仕立ててもらって、散歩に行きたいだろう? だから、おじさんで我慢して」
ルーカスはしばらく考えていたが、僕とローズマリーを見比べ、言った。
「かあさまのドレスを買うの?」
「そう。そろそろ散歩にも行けるからね。それに、もうすぐ、お腹が大きくなるから、それも見越したドレスを作っておかないと」
僕がルーカスの頭を撫でながら言えば、ローズマリーが不安そうに視線を泳がせる一方、ミス・トレヴィスの眉が顰められるのを僕は見た。だが僕は気づかないふりをして、ローズマリーに言った。
「僕も立ち会う予定だったけど、母上がついていてくれるから――」
「え、ええ、大丈夫よ。でも――」
「女性の服については、僕よりも母上の方が頼りになるね。いいのを選んでもらって。……ルーカスが僕が見ているから」
僕は身をかがめてローズの頬にキスすると、ミス・トレヴィスに言った。
「僕が横にいても構わないだろう?」
「え、ええ、もちろんです、旦那様!」
顔を赤らめて頷くミス・トレヴィスに、僕はとても嫌な予感がした。
ルーカスの部屋は客間から子供部屋に移し、そちらを勉強に適するよう、本棚を入れたりして整えているところだった。――ローズマリーの部屋とは少し遠くなるが、いずれ、ローズには僕の部屋の隣に移ってもらうつもりでいる。
中途半端な立場が、ルーカスを不安にさせているのかもしれない。早くアーリングベリのリントン伯爵家と話し合い、ルーカスの今後を確定させ、ローズとも正式に結婚の届を出さなければ。
僕がそんなことを考えていると――
「ルーカス、そこの綴りが間違っていますよ?」
ミス・トレヴィスがルーカスの綴り方をチェックして間違いを指摘すると、ルーカスは素直に頷いて書き直している。
僕がルーカスの教育において求めたのは、無意味に体罰を加えないこと、彼の複雑な生まれに口を出さないこと、父親の話はしないこと、の三点だった。
「はい、よくできましたね。次はこちらを読んで――」
授業は滞りなく進み、ルーカスは甘えていたのが嘘のように真面目に取り組んでいる。
一時間ほどして休憩時間になり、メイドがお茶を運んできた。
「一休みしましょうか。……旦那様もご一緒に?」
「ああ、そうしようか。……この時間だとまだ、あちらは仕立て屋に取り掛かりっきりだね」
僕が金時計を見て言い、本や帳面を片付け、テーブルにお茶の用意ができる。午前のお茶はお菓子もビスケット程度だ。
「ねえ、おじさん?」
「なに?」
ルーカスがビスケットを齧りながら僕に問いかけるので、僕が答える。
「僕は先生に綴り方を習ったら、学校に行くの?」
「そうだね、七歳あたりから初等学校に行くつもりで今、探している。お友達と一緒に勉強した方がいいから」
ルーカスが僕と、ミス・トレヴィスを見比べ、言った。
「かあさまと離れなくちゃいけないの?」
僕は目を丸くした。
「いや、うちから通える学校を探しているから、おかあさんと離れる必要はないよ? なぜ?」
「トレヴィス先生が、きしゅくしゃってのに入るんだって」
「あ、いえその――そういうこともあるかもって言っただけです」
ミス・トレヴィスが慌てて否定する。
「最近の上流の子息は、初等から寄宿舎暮らしも多いですから」
「……ああ、全寮制の学校もあるからね。でも、今のところは考えてない」
僕は断言する。――寄宿舎に入れるとしても、もう少し年齢が上がってからのつもりだった。
「おじさんが寄宿舎に入ったのは十三歳の中学校からだ。ルーカスもそのくらいのつもりだった。王都には家から通えるいい学校がたくさんあるし」
「でも――最近の名門の子弟は、早くから寄宿舎にお入れになりますよ?」
横から、ミス・トレヴィスが口を挟む。僕は微笑んで紅茶を一口すすり、カップをソーサーに戻して言った。
「そうだね。ルーカスが希望するならば、十歳くらいになれば寄宿舎でもいいかなとは思うんだ。でも、今年や来年は無理だよ。まだしばらくは母親の庇護が必要だ」
この後、ルーカスは大きく環境が変わる。下町暮らしの経験しかないルーカスには、上流の子供たちばかりの寄宿舎は精神的負担が大きいだろう。
「でも――ルーカス様の将来を思うなら、ローズマリーさんのような方からは早く引き離した方が――」
ガチャンとルーカスが乱暴にカップをソーサーに戻し、お茶が零れた。
「あら、いけませんと言っているのに。もっと食器は音を立てないように……」
「僕、かあさまと離れるのはイヤ! おじさん、僕をきしゅくしゃに入れたりしないで!」
「ルーカス、さっきも言ったけれど、そのつもりはないよ」
僕が宥めれば、ルーカスは目に涙を溜めて言った。
「かあさまをどこかにやったりもしない?」
僕は目を見開いた。
「ローズを? まさか!」
「本当?」
「ローズにはやっと、ここに住んでもらう了解を取りつけたんだよ。どこに追い出すと言うの」
僕はルーカスの金色の巻き毛を撫でて、それからミス・トレヴィスを見た。――ミス・トレヴィスは、不満そうに眉を寄せている。
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