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番外編◆お日さま曜日に公園で
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あどけない顔立ちに、長いまつげにふちどられた大きな瞳。身長はもう少しすればローザに届きそうだけれど、二学年も下のためか、その体つきはまだ幼い。
とても可愛い、天使のような少年たちだ。
「姉上も遊びに来ていたんですね?」
腹違いの義弟であるロジィと、その親友のニコ・ヴィオラが、仲良く通りかかったところだった。
ゲームでは「描き分けしなよッ!」とツッコミをうけていたショタキャラコンビで、ふわふわした髪が明るい薔薇色で熊耳っぽい形になっているのか、あるいはスミレ色の髪で猫耳っぽい形になっているのかしか違わない。
なんせ瞳までもが、よく似た濃い金色なのだ。他人のそら似のはずだけれど、双子だとしか思えない。
声だけはニコのほうがわずかに甲高く、質は似ている。
もちろんどちらもゲームでは攻略キャラなわけだけれど、美的センスのパラメーターをかなり上げないと、ニコを攻略するのは難しいのだ。
たぶん、このリリィとの間にはフラグが立っていない気がする。……と、彼女の壊滅的なセンスを知るリリィは思っていた。
「ええ。久しぶりにのんびり過ごそうかと」
なんせ、二番目と三番目の婚約者をお披露目する準備で、とても忙しかったのだ。ようやく日程もドレスも決まり、あとは明後日の当日を待つだけだった。
「……ちょっと寂しくなります」
「まだお嫁に行くわけじゃないわよ、ロジィ。学園を卒業するまであと一年もあるし、いくらでも会えるわ」
義弟のしょんぼりした姿に吹き出してしまう。初めて出会った頃はぎくしゃくしていたけれど、ずいぶんと仲良くなれたものだ。
お休みの日に顔を合わせることこそ珍しいが、月末にはふたり揃って実家にも帰っているのだし、寂しがるには早すぎる。
「ああ、ご招待ありがとうございます、ミズローザ。まさかカモミール先輩とも御婚約なさるとは思いませんでした。おめでとうございます」
子猫めいたニコが優雅に礼をとる。
「ええ、お待ちしていますわ」
もちろん、婚約式には生徒会のみんなを招待している。ニコは書記の補佐……つまりローザのアシスタントだった。ただし、ローザは本来は書記ではなくて金のちからで捻じ込んで文化部の代表になるはずだったし、このニコもゲームでは生徒会には所属していなかったはずなのだけれど。
天を仰ぐ。
公園の上はさわやかな青空が広がり、気持ちのいい風が吹いている。
ローザが前世に目覚めたからか、ゲームとはずいぶん違ってしまった。でもそれは、ずいぶんと心地よい関係だった。
「おまたせしました」
アイスクリーム屋の店員が、リリィへと注文品を差し出す。味だけで組み合わせやトッピングを選んだのか、それともなんとなくの選択なのか、青緑色とピンクと赤がまだらになった、ゾンビが血をかぶったようなトリプルアイスだった。
絶妙に不味そうだ。
「うわっ、怖っ」
ニコがどん引きする。
「えっ、これ可愛くないですか?」
「……リリィ」
ローザはおもわず頭を押さえた。
今日はこのあとリリィの養父母たちがいる実家へと遊びに行き、より美しくドレスを着るためのエステを受ける予定になっていた。
あちらの御家族はまともなセンスをしているというのに、この子は相変わらずだ。
「あちらに着いたら、あなたのドレスをチェックさせていただきますわよ? 明後日、前のように変な日傘や髪飾りなどで来たら許しませんわ」
ロジィがニコにどんなダサい品だったのかを説明している。
リリィの目が泳いだので、もしかしたら家族に相談せずに小物を足したりしたのかもしれない。これだけの美少女なのだから、シンプルな装いで充分に可愛いのに……。
ローザはため息をついた。
→次章に続く
とても可愛い、天使のような少年たちだ。
「姉上も遊びに来ていたんですね?」
腹違いの義弟であるロジィと、その親友のニコ・ヴィオラが、仲良く通りかかったところだった。
ゲームでは「描き分けしなよッ!」とツッコミをうけていたショタキャラコンビで、ふわふわした髪が明るい薔薇色で熊耳っぽい形になっているのか、あるいはスミレ色の髪で猫耳っぽい形になっているのかしか違わない。
なんせ瞳までもが、よく似た濃い金色なのだ。他人のそら似のはずだけれど、双子だとしか思えない。
声だけはニコのほうがわずかに甲高く、質は似ている。
もちろんどちらもゲームでは攻略キャラなわけだけれど、美的センスのパラメーターをかなり上げないと、ニコを攻略するのは難しいのだ。
たぶん、このリリィとの間にはフラグが立っていない気がする。……と、彼女の壊滅的なセンスを知るリリィは思っていた。
「ええ。久しぶりにのんびり過ごそうかと」
なんせ、二番目と三番目の婚約者をお披露目する準備で、とても忙しかったのだ。ようやく日程もドレスも決まり、あとは明後日の当日を待つだけだった。
「……ちょっと寂しくなります」
「まだお嫁に行くわけじゃないわよ、ロジィ。学園を卒業するまであと一年もあるし、いくらでも会えるわ」
義弟のしょんぼりした姿に吹き出してしまう。初めて出会った頃はぎくしゃくしていたけれど、ずいぶんと仲良くなれたものだ。
お休みの日に顔を合わせることこそ珍しいが、月末にはふたり揃って実家にも帰っているのだし、寂しがるには早すぎる。
「ああ、ご招待ありがとうございます、ミズローザ。まさかカモミール先輩とも御婚約なさるとは思いませんでした。おめでとうございます」
子猫めいたニコが優雅に礼をとる。
「ええ、お待ちしていますわ」
もちろん、婚約式には生徒会のみんなを招待している。ニコは書記の補佐……つまりローザのアシスタントだった。ただし、ローザは本来は書記ではなくて金のちからで捻じ込んで文化部の代表になるはずだったし、このニコもゲームでは生徒会には所属していなかったはずなのだけれど。
天を仰ぐ。
公園の上はさわやかな青空が広がり、気持ちのいい風が吹いている。
ローザが前世に目覚めたからか、ゲームとはずいぶん違ってしまった。でもそれは、ずいぶんと心地よい関係だった。
「おまたせしました」
アイスクリーム屋の店員が、リリィへと注文品を差し出す。味だけで組み合わせやトッピングを選んだのか、それともなんとなくの選択なのか、青緑色とピンクと赤がまだらになった、ゾンビが血をかぶったようなトリプルアイスだった。
絶妙に不味そうだ。
「うわっ、怖っ」
ニコがどん引きする。
「えっ、これ可愛くないですか?」
「……リリィ」
ローザはおもわず頭を押さえた。
今日はこのあとリリィの養父母たちがいる実家へと遊びに行き、より美しくドレスを着るためのエステを受ける予定になっていた。
あちらの御家族はまともなセンスをしているというのに、この子は相変わらずだ。
「あちらに着いたら、あなたのドレスをチェックさせていただきますわよ? 明後日、前のように変な日傘や髪飾りなどで来たら許しませんわ」
ロジィがニコにどんなダサい品だったのかを説明している。
リリィの目が泳いだので、もしかしたら家族に相談せずに小物を足したりしたのかもしれない。これだけの美少女なのだから、シンプルな装いで充分に可愛いのに……。
ローザはため息をついた。
→次章に続く
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