タビスルムスメ

深町珠

文字の大きさ
269 / 361

ともとも

しおりを挟む
友里絵は「ともちゃん、いくつ?」

とも「19です」

友里絵「あー、みんな一緒なんだ。いいな。」

菜由「CAだもんね、やっぱ」

由香「・・・・。」

菜由「何がいいたい」

由香「別に」と、そっぽむいて、にっこり。


さかまゆちゃんは「ハイ。だいたい・・・車掌になって、CAは卒業しますから」

愛紗「ああ、恵さんみたいに」


とも「荻さんですか?」

菜由「そう。まゆまゆちゃんと一緒だった」

さかまゆちゃん「恵さん、凛々しいですね。運転士になるんでしょうね」と、にこにこ。


列車は、ゆっくり、ゆっくり・・・・長閑な田んぼ道に沿った駅に、停まる。

さっきのお馬さんと騎馬兵も一緒に。
駅の北側は、広場。

友里絵「お馬さん、見て来よ」と。

ホームは駅舎側、お馬さんのいる広場の反対なので・・・。
降りても、お馬さんの方に行くには
線路を渡らないと。

でも・・・踏み切りが、ない。


とも「お馬さんでしたら、草千里に行けば乗れますね」と、にこにこ。

友里絵「ホント!いこいこ!」


由香「遠いんだっけ」

さかまゆちゃん「バスで30分くらいですね」

愛紗「それだと、由布院に着くのが夜になっちゃうから・・・明日、来よう?」


友里絵「そだね」と、物分りがいい。

さかまゆちゃん「由布院にお泊まりですか、今日?」

菜由「ハイ」

さかまゆちゃん「いいですねー。リゾート。温泉地だし。そうそう、お馬さん、いますね。
馬車も走ってるし」

友里絵「ホント!じゃ、行ってみよー!」


由香「ハハハ。すぐ気が変わる」


列車は、ゆっくり、ゆっくり・・・。
阿蘇駅に停まる。


20分停車。


「降りてみよ」と、菜由が言う前に・・・

友里絵は降りて、駆け出して。
お馬さんのとこへ行こうと思ったら・・・・道が離れてて。

お馬さんは、ぱかぱか。


どこかへ。


「シェーン、カムバーック!」と、友里絵。


由香「おお、高学歴芸人!」と、囃す。

友里絵、振り返ってにんまり、歯を出して笑う「いちおー、専門卒ダヨン、ヘヘ」


菜由「ナハハ」


ホームは、ふつうの駅。
島式のホームが2つ、駅舎の前に1つ。

もうひとつ、駅舎の反対側にあるけれど
昔の貨物ホームみたいな感じで、使われていない感じ。
草が生えている。



友里絵は、とことこ・・・。ホームに下りて。
駅に向かう。

くろちゃんの小屋がある「ああ、わんこのクロちゃん」

と、友里絵。

結構大きい。


友里絵「いないねー。」と、中を見てみて。「入れるよ」


友里絵は小さいから、入れる。


由香は「帰ってきたら怒るぞ、クロちゃん」

菜由「噛み付かれたりして」


友里絵「わんこはお友達」と、にこにこ。


愛紗は「友里絵ちゃんは誰とでもお友達になれるね」



改札の外は、ごく普通の温泉駅だけど・・・
駅舎の隣に、綺麗なレストランがある。


友里絵は「なんか、豪華ー」


菜由は「なになに・・・ああ、「ななつ星」のお店か」


友里絵「食べられるのかな」


由香「列車に乗らないとダメじゃない?}


友里絵「そっか、じゃ、乗ろうよ」


愛紗「人気あるし・・・抽選で当たらないと乗れないって。」


友里絵「くじ運はいいぞー」

由香「でも30万だってよ、たしか。」


友里絵「ひえー・・・まあ、そのくらいあるけど」


バスガイドって、暇が無いけどお金はある。
使う時間がないのだ。



由香「じゃ、クジ引けば。でも、ペアだってさ、最低」

友里絵「じゃー、由香いこ!」

由香「まあ、いいけどさ。じゃ、クジ引いてみな、こんど」


友里絵「うん、そうするー」
クロちゃんの小屋から出てきて。


改札の外にバスターミナル。

白と青の国鉄バス。
つばめのマーク。


昔と変わらない。

その姿に、なんとなく郷愁を感じる愛紗だった。


「こういうところなら、乗れるかな」なんて思ったり。


菜由は「阿蘇って温泉もあるんだよね」

愛紗は「うん、硫黄泉だとか・・・いろいろあるね。
ゆうべの南阿蘇はふつうのお水っぽいかんじ」


と、景色を眺める。

南阿蘇のKKRから見た、山の風景の裏側みたいな感じ。

鋸みたいなぎざぎざの山があって。

友里絵が「あーの山。雨で丸くなんないんだねー。尖がったままだ。」


由香「年取ると丸くなるってさ」



菜由が、おなかをさすって。


友里絵「どしたの?ニンシン?」

菜由は「んにゃ、出が悪い」


由香「運動不足だよ」


菜由「そっかな」

友里絵「呼吸で直る!」


と、真面目な顔。指さして。


友里絵「さ!ごいっしょにー、呼吸!
ひっ、ひっ、ふー。
吸って、吸って、吐いてー!」


由香「それは赤ちゃん産むとき」


友里絵「出すに変わりないじゃん」

菜由「ま、そうだが・・・・。」

愛紗「他人のふり、他人のふり・・・。」





20分停車もあっと言う間で・・・。

駅のアナウンスが入る。

「快速宮地ゆき、あそBOY、間もなく発車です」と、簡単。

途中下車の人は居なかった。

ここから阿蘇山観光に行く人は少ないみたい。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

マドンナからの愛と恋

山田森湖
恋愛
水泳部のマドンナ、レナに片思いしていた高校生・コウジ。 卒業後、平凡でぐうたらな会社員生活を送る33歳の彼の前に、街コンで偶然、あのレナが現れる。 かつて声もかけられなかった彼女は、結婚や挫折を経て少し変わっていたけれど、笑顔や優しさは昔のまま。 大人になった二人の再会は、懐かしさとドキドキの入り混じる時間。 焼肉を囲んだ小さな食卓で、コウジの心に再び火が灯る——。 甘くほろ苦い青春の残り香と、今だからこそ芽生える大人の恋心を描いた、再会ラブストーリー。

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

処理中です...