タビスルムスメ

深町珠

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skysensor

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菜由は「そうそう、ラジオねー。良く入るよね。」
家に置いてあった、ラジオを思い出す。
黒い、革のカバーがついてて。電池3本いれて。
縦型で。
受信すると、メーターが振れる。銀色のバッジ。SONY、とあった。
skysensor 5500A 、と書かれていて。いい音だった。
父が使っていたものを、貰ったのだった。


真由美ちゃんは「はい。燃えよせんみつ、って番組のお話でした」
二階の、自分の部屋にあるラジカセを思い出している。
ちょっと大きめの、グレーの。机の上においてあって。
HITACHI TRK-1255と。
これは、父が買ってくれたものだった。


友里絵「あー知ってる。けっこう、アレで」
友里絵は、団地の自分のお部屋にある、ラジオを思い出した。
団地のお部屋は4階で、南向き。最上階なので、海が良く見えた。
ラジオは、ちいさい携帯ラジオで、赤いものだった。
お兄ちゃんがくれたもので、MITSUBISHI,とあった。



真由美ちゃんは、すこし恥ずかしそうに「はい。」

由香「アレって?」

友里絵「だから、アレっぽいわけ。」

菜由「ああ・・・。」
なーんとなく、わかるアレ系(笑)。



友里絵「ラジオ・コントがあるんだけど。みんなアッチ系なのね。夜のラジオだし」
と、にこにや(^^;


真由美ちゃんは、俯いて「そうですね」
右手で髪を押さえて。
少し長めなので、束ねていないと、さらり、としている。
浴衣でそうすると、ちょっと大人っぽくも見えるけど
表情は、まだ稚いけな・・・ちょっと不安定な感じが19歳らしい。


愛紗「どんなの?」
愛紗はと言うと、故郷の自室の机の上を思い出していた。
木造の、がっしりした机は、ニスが塗られていて。
そこに、四角い置時計、電気スタンド。ラジオ。
ラジオは横型で、大きなものだった。Panasonic RF-2200と、あって。
父が、くれたものだった。


友里絵「いやー、どんなのって言われてもナー。ちょっと恥ずかしくていえないけど」

由香「あんたに
「恥ずかしい」

なんて言葉があるんかい。

ロビーでパンツ見せて」


友里絵「いやー、あれはー。誰も見てないじゃん」


菜由「防犯カメラに録画されてたりして」


友里絵「うそー。こりゃ大変。投稿されちゃうよ」

由香「そっちで食えたりして」

友里絵「あー、だからタマちゃんが
『ネットアイドル』になれるよ
って言ったのか」


菜由「削除だな」


友里絵「ははは。いいパンツ履いとくんだった。」


由香「そっちかい」


菜由「ははは。まあ、かわいいほうがいいよね」


友里絵「黒くて、シースルーのとか」

由香「なんか、コンビニにある雑誌みたいだな」

友里絵「白い木綿の」


由香「それは、ブルセラね」


友里絵「おじょーさん、下着なにいろ?」

由香「バカ」(^^;



真由美ちゃんが「明日は、どこにお泊まりなんですか?」


と、聞かれて・・・また泣いちゃうと困るな、と思ったけど。
愛紗は「南阿蘇のつもり」


真由美ちゃんは「KKRですか?ホテル型で。豪華ですよ。露天風呂もあるし。」


菜由は「行ったことあるの?」


真由美ちゃん「ハイ。たまーに。鋸岳が良く見えます。高森線の終点から、バスで
ちょっと、ですね。バスだと、人吉からも行けますね。」


愛紗「うん、わたしも何度か行った。」


真由美ちゃん「いいですよねー。のんびりできて。
まわりになにもないし。」

愛紗は「そうそう。わたしは、延岡から鉄道で高千穂まで行って。そこからバスで30分くらいだったか」

その、町営バスの仕事にしようかな、なんて思ってた時もあったと愛紗は回想する。
遠い昔のこと、みたいな・・気もする。


菜由は「高千穂って、お神楽があるんでしょ?」


愛紗「そうそう。そうなんだけど。あれ、拝観料があるから。見てない。」

菜由「地元ってそんなもんだよね」

友里絵「あたしも、箱根神社とか行ってないし。芦ノ湖の遊覧船も乗ってない」

由香「あたしは、乗ったかな。子供の頃。」

友里絵「おーカネモチ」

由香「えっへん」

友里絵「威張るほどの事か」

由香「なはは」



真由美ちゃんは「じゃ、明日は・・・お昼前には人吉駅を出ますね」


また、泣いちゃうと困るかな、と思った・・・愛紗と菜由だったけど
今は平気みたい。

かわいい子が泣いちゃうと、ホント、困っちゃうな、と・・・。そんな風に思って。



友里絵が静かなので、由香が気にして。「どした?」

友里絵は、なーんとなく淋しくなって。涙ぐんでいたり。
「だって、明日には・・・・ね」

由香が、笑って「ハハハ。直ぐ泣くなぁ、ホント。オマエが泣いても可愛くないから。
ケロッコデメタンくらい」

友里絵「サベツだー。」と、泣き笑い。

♪虹のお池が雨になる~♪とか、歌いながら。



愛紗は「友里絵ちゃんも可愛いわよ」

由香「バカな子ほどかわいいって言うし」

友里絵「バカで悪かったな」

と、涙を拭って。

真由美ちゃんは「みなさんは、一緒でいいですね」


菜由は「あ、でも・・・・あたしらも、普段はバラバラだもん」

由香「ムッシュばらばら」

友里絵「あー、あったあった!。チンパン探偵!」

愛紗は、笑って「そうそう。小学校の時ね。男の子が骨折って。
ムッシュばらばらって仇名になって。」

菜由「骨が?折れてばらばら?」


友里絵「かわいそー」



菜由「あ、チンパンジーって、バヤリースのCMに出てたでしょ?あの頃。
最近さ、寅さんの格好したフランス人がオレンジジュースのCMに出てて。
なんか、あの人がチンパンジーに見えて。おかしくってしょうがないのね」


愛紗「なんか、悪いよ」


菜由「でも、ほら、誰にもわかんないもの。石川も、どっちかと言うと似てるでしょ?」

友里絵・由香「いーってやろ、いってやろ」


菜由「どっちかと言えば、よ」

友里絵・由香「石川さーん、菜由が「ゴリラ」だってよー。」


菜由「ゴリラだって言ってないよ。サル系だって」


愛紗「なんか、みんな似てるもんね。親戚だし」

友里絵「そうだって。隣人、くらいだって。祖先と言うよりは」


由香「そうなんだ。」


友里絵「タマちゃん情報ね」


由香「そうだと思った」(^^)。


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