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スーパーGR

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でも、バイクに乗ると全てを忘れられた。
GR50は、改造を重ねて。

シリンダーヘッドを外し、テーブルに硝子板を置き
そこに#400くらいの耐水サンドペーパーを貼る。

オイルを滴らし、慎重に当たり面を削ると
圧縮が上がる。

シリンダも外し、空気の通るポート、を拡大したり
タイミングを早めたり。それも、手作業で削った。

キャブレターは、京浜工業の20φにした。
エア・ファンネルをつけた。

マフラーも、レーシングチャンバーをつけた。

あまりにも音が煩い。

エンジンのパワーが、8000rpmくらいから出る言う
お化けバイクになってしまって。

125ccの4サイクルより早かった。

100km/hまでスピードメータを振り切り、タコメータも
12000rpmを超えて、回ろうとした。



とても危ないので、マフラーは純正の
サイレンサーをストレートにしたものにした。

そうすると、音は低くなって良かったし
低速トルクがあるので、乗りやすくなった。

それで、ギア比を下げて

ノーマルで12-41なのを

一時は13-33まで下げた。


ちょっとやりすぎかな、と

12-39にしたけれど
登り坂でもぐんぐん登る。


5速のまま、箱根くらいなら平気で登れた。

エンジンは面白いと思った。


バイクに乗っている間、何も考えなくていいので
それが好きだった。

ヘッドフォーンで音楽を聴いている時みたいに。







陽子さんからも手紙が来るようになり、ますます母の詮索が...(笑)

家に手紙を置いて置くと、読まれそうだから
バイト先のロッカーに仕舞うようにして。
手紙は郵便局止めにして貰ったり。

時々、お話したい時は
電話ボックスから掛けたり。


バイトが休みの日、たまーに
軽音楽部に行くと、音楽好きの連中と話ができて。

楽しかった。

ジャズ、クロスオーバーが好きな人は
そうはいなかったけど
同じ1年の上杉くんは
「ラリー・カールトン、ギターへた」
なんて落書きする、面白いやつで
結構、ジョージ・ベンソンの話をしたり。

ギター借りて、彼がジョージ、僕が
フィル・アップチャーチのマネして
「ブリージン」を弾いたり。

アルバイトの初めての給料で、買ったLPが「ブリージン」だったっけ。

文化祭で演れば、と言われたけど
そんな曲だと、紙テープの代わりに
トイレットペーパーを投げられそうだった。

実際に、「サウンド・オブ・サイレンス」を演った柿崎くんは
トイレットペーパーをぶつけられていた(笑)。

いい歌だったけど。


柿崎は、大学在学中に
アメリカを放浪。
ホンダXL250sで、あちこち走って来たらしい。


上杉くんとは、ずっと付き合いが続き
音楽スタジオに一緒に行ったりした。

後に上杉くんは、スタジオミュージシャンになり
何曲かアイドルの作曲もした。


だから、楽器は上手かっただろうと思う。

絵が上手だったから、絵描きになるかとも思って
イラストコンテストのエントリーを、僕が勝手に送ったりして
上杉くんは、それでも真面目に書いていた。

「誰だ!俺の名前で送りやがって」
とかいいながら。

それでも入賞したから、大したもんだと思う。


3年の時、僕のSR400で
シンセを運ぼうとして。
SRが大事な僕は、拒否して
喧嘩になった事もあった。

その話は、またあとで。



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