科学は、如何にしてヒトを幸せにするか~ななの例~

深町珠

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旅と鉄道

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伊原は、それまでなら
障害者年金がもらえるはずだったが
誰にでも永久エネルギーが与えられた事で
年金も制度が廃止されていた。

元々、赤字財政だったし
政府としては租税の廃止と引き換えで
面倒な制度を廃止できるいい口実だった。

国家と言うものの体裁が、段々
失われていくのは必然だった。


毎日、必要なだけのエネルギーは得られるので
死ぬまで困る事はないから
争う人も少なくなった。

家族に縋って生きなくても、老後に
困る事はない。



ただ、医療や交通などの
必需な分野は残るけれど


殆どの産業が衰退して行く事になる。



自分でできる人が重宝されるようになると
助け合いの気持ちが人々に戻ってくる。


それなので、争う事も減っていった。


誰かに助けてもらいたい、となると
横柄な態度では生きて行かれない。



例えば加藤のような、技術を持っている人、
石川のような、実務者にはこれまで以上に
人気が集まる事になる。




伊原のお節介から、愛紗や名雪の両親から
行方を案じて連絡が入っても



そこが、日本一の研究所に関わる
科学者の家で、母親も一緒だと言うと


彼女らの両親も安心した。


伊原は、無駄な事をしていたのだが
若いとそんなものだ。



加藤とて、若い頃は無茶苦茶だったのだから。


生きるエネルギーが過剰なので、若いと
失敗する事が多いのは


社会が変だからである。



原始人のように、思い切り動ける環境なら
若いエネルギーは重宝されるのだ。


そして、都市文明が崩壊していって
自然が戻ってくれば

そういう環境が増えてくるのだ。





愛紗や名雪の元にも、カムバックの依頼が
来たりする。


けれど、ふたりは


自然のままの暮らしに満足していた。


日の出と共に目覚め、夜が来ると眠る。


料理をしたり、掃除をしたり。



修道院ではないけれど、共同の生活は
楽しい。



元々、寮生活で一緒だったせいもあるけれども

今は、睡眠不足で幻覚を見る事もない。


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