科学は、如何にしてヒトを幸せにするか~ななの例~

深町珠

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芝田との相違

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「あれ?」加藤は気づくけれども
芝田は同級生である。

同じ世代でも、芝田みたいに
愚かな奴もいる。

そうでない奴もいる。


時代の問題だけではないらしい。


「愚かな奴って」いつの時代も同じだが
雇われる連中なのだろう。


無責任に、自分の事しか考えないから
世界から見ると退化した愚かな奴、にしか
見えないのだが

本人は大まじめに自己主張している。



それは、割と動物的な縄張り意識だろう。



動物は、環境との間に細胞壁があるから
外との間に環境の違いがあるし
自ら動ける。



細胞壁の外の環境に、排他性を定義するから
おかしくなるんだろうな、と
加藤は思う。




植物のように、そこにあるがままに
生きて行けばいいし、広いフィールドに
自分だけの世界を求めて
飛んで行けばいいのだが。



わざわざ人間同士で争う事もないと
加藤は思う。



それは1960年代的な平和主義だったが

加藤は東京、芝田は秋田。


生まれた土地の違いも大きいのだろう。



元々東京のように、生れつき共有空間で育つと

陣取りなんてないし、譲り合って生きる。


自分のフィールドは心の中である。



「田舎だと、土地争いとかあるんだろうなぁ」と
芝田を哀れんだ。





研究所でも、そういえば
仕事がダメな人ほど
主張が強い(笑)。


自分が偉いとか、どこの大学だとか。



加藤の完成させた常温超電導を
先行研究していた人達は
東京大学や、東北大学の人達で


皆博士だったが


加藤の提案を受け入れ「やってみたらうまくいったよ」と

事もなげだった。





「そういうもんだよな」加藤は笑う。






研究に喜びを見いだせない人達が
変な事をするのだった。



研究費の横領とか
派遣虐めとか。

「どうせやるならでっかい事しろよ」と
加藤は、自分の利益のためにしか
動かないそういう連中に、心でそう呟いた。



明らかに生き物としては退化して滅びるタイプだな、と



比較進化論的に見てそう思う。



環境に適応して生き残るタイプは
争わずとも生きて行けるのだ。


人類の祖先が、サバンナのようなところで
猛獣に食われないように樹上に移り住んだ。

その時、木登りができなかったら
適応ができないし


木が生えていないところで
争いあって昇っても、やはり
食べ物が得られずに死に絶えただろう。



それは偶然なのだけれども

正社員、と言うフィールドで
動きの取れない三浦たちと


自由な加藤の違いでもあるし


自由業の父に育てられた加藤と

会社員の父親だった芝田との

対比でもある。





「やっぱり、相場経済がよくないんだろな」



さて、相場をなくしていった加藤の経済革命は

どういう経緯を経るか?



争う必要はなくなるはず、だが。



加藤は、研究所から
家路に就く。





丘の上からの下り坂、山道を


のんびり、古い車に乗って下りていくと


頭の悪そうな連中が、黒いバンで
車間距離を詰めて追い立てたりする。


「いつもの事だが」

加藤は、制限速度で走る。

興味がないのだ。



「ああいうのは、自己顕示だから」


早く走りたいのではなく、目立ちたいから
高い着座位置の派手な車に乗るのだ。


相手にされないのが一番辛いのである(笑)。



下り坂の直線で、追い越させる。




行く手は左カーブなので、賢いドライバなら

追い越しは危険と思う。


だが、こういう手合いのドライバは
危険を好む、幼稚さがあるので

むやみに追い越しを掛けたりする。


以前の加藤は、同じカーブで
何台も殺した事がある。

追い越しを掛けるのを見計らって
レーンに戻れないように速度を調節するのだ(笑)。



不利な条件で追い越しをするのが馬鹿者である(笑)。



その内に対向車が来て衝突する。


それで一匹撃墜。


そういう事もしたが、今は
研究に差し障るといけないので、相手にしない。




「いずれ、自滅するのだから」



自動車事故にはならなくとも、いつも
興奮していれば神経障害になる。


交感神経、と言って
興奮する系統の神経が興奮していると
いずれ、動脈や甲状腺に障害が起こる。


脳障害が起こる事も多い。




そういう連中に関わって興奮したりしないのが
生き残る道なのだ。


生き物は、争いあって死滅するように出来ている。


争わない方が健康にいいのだ。








ジョナサンは、小名浜郵便局の赤い車に
郵便を渡して、帰りの荷物を受け取る。

時間が正確なのが飛行機の使命だけれど
風向きやルートなどで、遅れる事もある。


そういう時にうまくカバーするのが
いいパイロットだ。


「小名浜郵便局郵便課長代理、叶です」

「霞ヶ浦飛行隊ジョナサンです。」


敬礼!

「ご苦労様です。ジョナサン君。フルネームだと何て言うの?」


口調が砕ける課長代理。

「ジョナサン・リビングストーン・シーガール」



それホントに?と
郵便課長代理は笑ってバイバイ。



ジョナサンの心に、いくつもの音楽が浮かぶ。
バリーホワイトの「愛のテーマ」。
5thディメンジョンの「輝く星座」。
シルビー・バルタンの「あなたに夢中」


「どれも飛行機のコマーシャルだな」(笑)
ジョナサンは笑って、山下達郎の ride on time を口ずさんだ。

これも飛行機の映像が出るテレビだった(笑)。

楽しげなジョナサンは、帰りの燃料を入れに補給へ向かう。


「よぉ」つなぎ服の老人は、ジョナサンを見て笑う。

日焼けの顔にシワまで笑顔だ。


「ガソリンは珍しいな」と、老人は
エンジンが好きらしい。



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