120 / 173
・・・
しおりを挟む「俺を忘れるなど、出来ると思うなよ……?」
幸成の息が苦しい程早くなり、馬鹿にした様な顔がそれを煽るようにニヤリと笑った。
「この汚れた身体で……まだ愛しい男に抱かれるつもりか……?」
誠一郎の指がゆっくりと首から胸を撫で、魔羅の少し上で止まり、指が触れる肌が熱く重いように痛みだした。
見てもいないのに、その場所からゆっくりと自分の腹が腐敗するように黒くなっていくのが分かる。
「………どれだけ俺を受け入れた……?」
闇の様に黒く濁った腹の中に、誠一郎の指が“ズブリ”と音を立て皮膚を破り入っていく。
「俺の魔羅を何度ねだった……?」
腹に突っ込まれた手がぐちゃりぐちゃりと自分の 内臓を捏ねる感触に、身体が動かない。
「………あ………やめ…………」
“ズルリ”という音と共に、誠一郎の手が腑を引きずり出すと、黒い血が摩羅から滴り、足に垂れていく。
「……黒く汚れたお前を……琥珀は抱いてくれるか……?」
手の上の幸成の腹から引きずり出された臓物に、愛おしそうに口付けをすると、誠一郎の舌がそれをペロリと舐めた。
「………やめろ………」
「何故だ…?あんなに俺を求めたではないか………?」
「……違……う………」
必死に首を振ろうとする幸成を嘲る様に笑う口が、まるで瓜から滴る汁を舐める様にぺろりぺろりと腑に舌を這わせる姿を、悍ましいと思うのに凍りついた様に目が離せない。
「何が違う……?…俺の魔羅が欲しいと……何度も尻を振り咥えて悦んでいたではないか…?」
「………………ち……が…………」
声すら出せなくなっていく幸成の鼻に、またあの香りが届いた。
吐き気がしそうな程甘ったるい香りに目の前が眩み、一糸纏わぬ自分の身体が足元から崩れ出した。
腹から溢れ続ける闇に溶ける様に崩れていく。
「……お前を抱くのは俺だけだ。───忘れるな…幸成……」
誠一郎の手が持っていた腸をぼとりと捨てると、その闇に堕とすように幸成の胸を押した。
───闇に…………呑まれる…………
しかし幸成は抵抗することなく、身体が闇に堕ちていくに任せた。
闇に沈んでしまえば全て見えなくなる。
汚れた身体も───
琥珀を裏切ってしまった自分も───
───何も見たくない………見せたくない───
「───それが──本当に君の願い……?」
しかし、細く力強い手が幸成の手首を掴んだ。
「琥珀から離れることを…望んでいるのかい?」
どこかで見たことがある男だ。
どこかで見たことがあるのに、思い出せない。
「……あの子が……琥珀が本当に“そんなこと”で君を見放すと思うのかい?琥珀を守ろうとした君を……?」
「───違うッ……」
───解ってる……琥珀ならきっと……咎めもせず…許してくれる………でもだから───
身体を溶かした靄が、重く身体を引き摺り、幸成の想いを解っているように、徐々にその闇を広げていく。
男は僅かに顔を歪め、握る手に力を加えた。
「…それならどうか、琥珀の傍にいてやってくれないだろうか………?」
「───でも……俺は……」
「……頼む…。君はあの子が初めて自分で見つけ、選んだ“行く道”なんだ……」
───行く道…………俺が……?……
「あの子を護ってはもらえまいか……。あの子の傍で……共に生きてくれるだけでいい……」
闇に引かれる身体を止める手が、痛い程幸成の手首を握りしめている。
男の額から流れる汗に、呑み込もうとする身体より遥かに大きく深い闇が、その手にずしりと重くのしかかっているのだと幸成にも分かった。
「……それとも……全てを知って……琥珀に嫌気がさしたかい?」
「───違うッ!……そんな訳ない…………嫌いになど……なれるはずない…………」
男の額を伝った汗が、ポタリと幸成の肌に落ちスっと吸い込まれる様に跡形もなく消えた。
「……傍にいたい……ッ!……あの人の……琥珀の傍にッ…………」
想いが叫びに変わり溢れ出した。
離れて平気な筈がなかった。
愛してると言ってくれた……。
傍にいろと言ってくれた……。
そして琥珀が初めて誰かを愛するということを教えてくれた。
幸成の言葉に男は嬉しそうに顔を歪ませると
「答えが聞けて良かった。──君に加護を与える──」
幸成の手を離した。
0
あなたにおすすめの小説
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる