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冒険の旅
ユーノス公国へ
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翌朝
私はグッチベルクの正門の裏側、所謂川沿いの、国境に当たる橋のたもとに停めたクリムゾンスパイダーの寝室で快適な朝を迎えている。
やっぱ宿屋よりこっちのが快適だわ、宿屋だとどうしても埃っぽかったり黴臭かったりするんだもん。
今度、建物丸ごと奇麗に出来る生活魔法みたいなもんを作って、それを自動で行使する魔道具でも作ってしまおう、売り出したらかなり売れるんじゃ無いかと思うんだ。
埃を除去する術式+床等にワックス掛けして磨く術式+ダニやGの系譜を駆除する術式、これをナノマシンに管理させた機械を作り、電池代わりの魔石をはめ込めば出来れば行けるんじゃ無いかと思ってる。
当然ながら、魔石は魔素をチャージする触媒でしか無い、実際に術を行使するのはお掃除用ナノマシンと言う訳だ、これなら簡単な筈。
で、今はリョーマさんが出国手続きを済ませて出て来るのを待ってる訳なんだけど、私達の分も同時に出来ると言うのでお願いしちゃったんだけどそれで時間が掛かってるような気がしてならない。
だってねぇ、私達と言えば、先の戦争の英雄達ばかりだからさぁ、はいそうですかと言った具合に簡単に許可出す訳にも行かないんじゃ無いかと思っちゃった訳よ。
で、その間にこうして馬車の出国待ちの列に並んでる訳なんだけど、やっぱりと言うか、注目の的になって居るクリムゾンスパイダー・・・
ってかあの橋の強度大丈夫なんだろうな、少し不安が残る造りなんだけど・・・
まぁ、無理そうだったらホバーモードで渡河すりゃ良いんだけどさ、事前に橋の強度を確かめて置かないと、もしスタコラサッサと橋に乗った途端に崩れたりしたら後の人達に迷惑掛かるじゃん?
でも、今橋まで行ったら怒られそうだしなぁ。
クリムゾンスパイダーの前でこうして全員並んでリョーマさんを待つしか無いんだよね。
うん、暇だ。
で、辺りを見回してると、何やら怪しげな黒尽くめの服装の二人組が私達を値踏みするように見ている、なんかあるぞ、気を付けて置くとしよう。
「すまん、思ったよりも時間が掛かってしまった、全員分の出国許可証だ、配ってくれ。」
「リョーマさん、お疲れ様、皆、自分の名前が入った出国許可証を取りに来てー。」
出国許可証 を配り終えた私は、早速橋のチェックをする為に歩いて橋まで行く事にした。
「済みませーん、私達の乗り物が通れるか、チェックしに来たんですけど、強度を確認させて貰っても良いですか?」
「あ・・・ああ、あの怪しげな、魔物みたいな乗り物の御者か、そうだな、デカいし、橋を壊されては敵わないから存分にチェックしてくれ。」
すんなり通して貰えた私は、早速、叩いてその反響を利用した強度のチェックをした。
う~ん・・・もしかすると、橋の真ん中あたりがヤバそうだなァ・・・これはホバーで渡った方がよさそうだぞ?
「ありがとうございました、あの乗り物は割と重たいので、橋の下を通って川を渡る方向で決めました、それでは。」
「ってちょっと待て、この川は広いだけでは無くて意外と深いぞ、渡れるのか?」
「ああ、大丈夫です、水陸両用なので。」
「どんな乗り物だよ!」
「まぁまぁ、兎に角そこの降り口の門を開いてくれたら勝手に行きますからお気になさらずに。」
「う、うむ、まぁ、そう言うのならば。」
と言って一人の警備兵が川へ降りる事の出来る門を開けてくれた。
音声認識で外部から操作をする。
「クリムゾンスパイダー全機!ホバーモードに移行!」
『全機、ホバーモードに移行します。』
「さ、全員乗った乗った。」
「ねぇ、エリー、これってどんだけ機能詰め込んで有る訳?」
クリスが素朴な疑問を投げかけて来た。
「う~ん・・・詰め込めるだけ?」
「何で疑問形なのよ、まぁ良いわ、ホント師匠は出鱈目だわ。」
諦められたような気がするんですが、解せぬ。
各自、宛がわれたクリムゾンスパイダーに搭乗を済ませたので、ホバー走行で門を抜け、川に降りる。
カイエンから通信が入ったので開いて見ると。
「このホバーとか言うのは、川を渡れるのか?」
「勿論、これは風圧で機体をほんの数ミリ浮かせて走行するモードだからね、水の上でも問題は無いよ。」
「そうなのか、いや、電脳の方では渡れると理解してるんだが、俺自身の知識の範疇では無かったので少し不安だっただけなんだが、エリーが大丈夫と言うのなら信用しよう。」
あ、そうか、カイエンさんって奥さんを庇って怪我した時、大型のモンスターと一緒に崖下の川に落ちてその時に腕を潰されたんだったか。しかも本人も川に頭突っ込んだ状況で、モンスターの下敷きになってた腕を自分で引きちぎって脱出しないと自分自身の命もヤバかったって言ってたっけ、そりゃトラウマだよね、川。」
クリムゾンスパイダーが川を渡り始めた様子を、橋の警備兵も興味深げに見て居るのが外部カメラの望遠でしっかり確認が出来た。
なんだか、アニメを真剣に見ている子供のような瞳で見つめて居るね。
その内、ホバー輸送艦でも作って提供してやろうかな、ここの人々に。
あんなワクワクした目で見られたらそんな気になってしまった。
渡り切ったクリムゾンスパイダーを、手を振って見送ってくれたし。
何か、童心に帰ったようなあの兵士達がちょっと可愛いと思っちゃった。
渡り切った対岸は、少しゴルジ帯みたいに切り立って居たので、ホバーモードを解除して、ジャンプで上に上がる事にした。積み荷の馬車がひっくり返らないように固定して、ガーゴスペースの重力を変化させる。
簡単な事だよ、反重力力場を発生させて荷が跳ねないように制御するだけだからね。
簡単って言うな?
何でよ、私にとっては他愛の無い事だから良いの!
とか心の中で一人突っ込みして見たけどやっぱ空しい。
渡ったこちら側の警備兵も、どうも何かが渡って来ると言う事で興味深げに見ていたようで、ジャンプで崖を登ったら歓声が上がった。
良いのかそれで、こんな蜘蛛の魔物と間違われても可笑しくない物の行動でその歓声は間違って居ると思うぞ?
しかし、入国手続きも異様に早く済んでしまった。
何でだろうと思って居たら、あの助けた令嬢が昨日の内にこっちの街にも情報提供する為に来ていたらしい。
「ユーノス公国ファーミール子爵領ファーミリオンへようこそ、勇者、聖女御一行様。」
何で勇者と聖女ってバレてんだ?解せぬ。
しかし本当にすんなり入国で来たよねぇ、なんか仲良いみたいだしね、国が違うのにさ、こっちの子爵様とグッチ男爵って。
で、イヤな予感も的中で、入国手続きの為にクリムゾンスパイダーから降りたとたんに飛びつかれた。
「おねぇさまぁ~!!! お待ちしておりましたぁ~!!」
いや待たなくて良いから、とっととパパの領地に帰れよ。
「あのね、パトリシアちゃん、私はアンタのお姉ちゃんじゃ無いからな、しかもあんたの方が見た感じの年齢上なんだけど。」
しかしさぁ、パトリシアってなんか不穏な名前だよなぁ。
元の世界の方のグッチ創業者のグッチオ・グッチの息子に強引に迫って嫁の座に収まってしまった恐るべし略奪女性の名前と同じじゃん、まぁ娘だから大丈夫な気はするけどな・・・それに属性がちょっとアレだし。
まぁ、何はともあれ、この令嬢はこっちの街でよく遊びまわって要るらしくて詳しいと言うので、市場を案内して貰う事にして何時までもしがみ付いて居たのを離れて貰う事に成功した、ああメンドクセェ、この娘だきゃぁ。
でも、案内役としては優秀かも知れないな。
私はグッチベルクの正門の裏側、所謂川沿いの、国境に当たる橋のたもとに停めたクリムゾンスパイダーの寝室で快適な朝を迎えている。
やっぱ宿屋よりこっちのが快適だわ、宿屋だとどうしても埃っぽかったり黴臭かったりするんだもん。
今度、建物丸ごと奇麗に出来る生活魔法みたいなもんを作って、それを自動で行使する魔道具でも作ってしまおう、売り出したらかなり売れるんじゃ無いかと思うんだ。
埃を除去する術式+床等にワックス掛けして磨く術式+ダニやGの系譜を駆除する術式、これをナノマシンに管理させた機械を作り、電池代わりの魔石をはめ込めば出来れば行けるんじゃ無いかと思ってる。
当然ながら、魔石は魔素をチャージする触媒でしか無い、実際に術を行使するのはお掃除用ナノマシンと言う訳だ、これなら簡単な筈。
で、今はリョーマさんが出国手続きを済ませて出て来るのを待ってる訳なんだけど、私達の分も同時に出来ると言うのでお願いしちゃったんだけどそれで時間が掛かってるような気がしてならない。
だってねぇ、私達と言えば、先の戦争の英雄達ばかりだからさぁ、はいそうですかと言った具合に簡単に許可出す訳にも行かないんじゃ無いかと思っちゃった訳よ。
で、その間にこうして馬車の出国待ちの列に並んでる訳なんだけど、やっぱりと言うか、注目の的になって居るクリムゾンスパイダー・・・
ってかあの橋の強度大丈夫なんだろうな、少し不安が残る造りなんだけど・・・
まぁ、無理そうだったらホバーモードで渡河すりゃ良いんだけどさ、事前に橋の強度を確かめて置かないと、もしスタコラサッサと橋に乗った途端に崩れたりしたら後の人達に迷惑掛かるじゃん?
でも、今橋まで行ったら怒られそうだしなぁ。
クリムゾンスパイダーの前でこうして全員並んでリョーマさんを待つしか無いんだよね。
うん、暇だ。
で、辺りを見回してると、何やら怪しげな黒尽くめの服装の二人組が私達を値踏みするように見ている、なんかあるぞ、気を付けて置くとしよう。
「すまん、思ったよりも時間が掛かってしまった、全員分の出国許可証だ、配ってくれ。」
「リョーマさん、お疲れ様、皆、自分の名前が入った出国許可証を取りに来てー。」
出国許可証 を配り終えた私は、早速橋のチェックをする為に歩いて橋まで行く事にした。
「済みませーん、私達の乗り物が通れるか、チェックしに来たんですけど、強度を確認させて貰っても良いですか?」
「あ・・・ああ、あの怪しげな、魔物みたいな乗り物の御者か、そうだな、デカいし、橋を壊されては敵わないから存分にチェックしてくれ。」
すんなり通して貰えた私は、早速、叩いてその反響を利用した強度のチェックをした。
う~ん・・・もしかすると、橋の真ん中あたりがヤバそうだなァ・・・これはホバーで渡った方がよさそうだぞ?
「ありがとうございました、あの乗り物は割と重たいので、橋の下を通って川を渡る方向で決めました、それでは。」
「ってちょっと待て、この川は広いだけでは無くて意外と深いぞ、渡れるのか?」
「ああ、大丈夫です、水陸両用なので。」
「どんな乗り物だよ!」
「まぁまぁ、兎に角そこの降り口の門を開いてくれたら勝手に行きますからお気になさらずに。」
「う、うむ、まぁ、そう言うのならば。」
と言って一人の警備兵が川へ降りる事の出来る門を開けてくれた。
音声認識で外部から操作をする。
「クリムゾンスパイダー全機!ホバーモードに移行!」
『全機、ホバーモードに移行します。』
「さ、全員乗った乗った。」
「ねぇ、エリー、これってどんだけ機能詰め込んで有る訳?」
クリスが素朴な疑問を投げかけて来た。
「う~ん・・・詰め込めるだけ?」
「何で疑問形なのよ、まぁ良いわ、ホント師匠は出鱈目だわ。」
諦められたような気がするんですが、解せぬ。
各自、宛がわれたクリムゾンスパイダーに搭乗を済ませたので、ホバー走行で門を抜け、川に降りる。
カイエンから通信が入ったので開いて見ると。
「このホバーとか言うのは、川を渡れるのか?」
「勿論、これは風圧で機体をほんの数ミリ浮かせて走行するモードだからね、水の上でも問題は無いよ。」
「そうなのか、いや、電脳の方では渡れると理解してるんだが、俺自身の知識の範疇では無かったので少し不安だっただけなんだが、エリーが大丈夫と言うのなら信用しよう。」
あ、そうか、カイエンさんって奥さんを庇って怪我した時、大型のモンスターと一緒に崖下の川に落ちてその時に腕を潰されたんだったか。しかも本人も川に頭突っ込んだ状況で、モンスターの下敷きになってた腕を自分で引きちぎって脱出しないと自分自身の命もヤバかったって言ってたっけ、そりゃトラウマだよね、川。」
クリムゾンスパイダーが川を渡り始めた様子を、橋の警備兵も興味深げに見て居るのが外部カメラの望遠でしっかり確認が出来た。
なんだか、アニメを真剣に見ている子供のような瞳で見つめて居るね。
その内、ホバー輸送艦でも作って提供してやろうかな、ここの人々に。
あんなワクワクした目で見られたらそんな気になってしまった。
渡り切ったクリムゾンスパイダーを、手を振って見送ってくれたし。
何か、童心に帰ったようなあの兵士達がちょっと可愛いと思っちゃった。
渡り切った対岸は、少しゴルジ帯みたいに切り立って居たので、ホバーモードを解除して、ジャンプで上に上がる事にした。積み荷の馬車がひっくり返らないように固定して、ガーゴスペースの重力を変化させる。
簡単な事だよ、反重力力場を発生させて荷が跳ねないように制御するだけだからね。
簡単って言うな?
何でよ、私にとっては他愛の無い事だから良いの!
とか心の中で一人突っ込みして見たけどやっぱ空しい。
渡ったこちら側の警備兵も、どうも何かが渡って来ると言う事で興味深げに見ていたようで、ジャンプで崖を登ったら歓声が上がった。
良いのかそれで、こんな蜘蛛の魔物と間違われても可笑しくない物の行動でその歓声は間違って居ると思うぞ?
しかし、入国手続きも異様に早く済んでしまった。
何でだろうと思って居たら、あの助けた令嬢が昨日の内にこっちの街にも情報提供する為に来ていたらしい。
「ユーノス公国ファーミール子爵領ファーミリオンへようこそ、勇者、聖女御一行様。」
何で勇者と聖女ってバレてんだ?解せぬ。
しかし本当にすんなり入国で来たよねぇ、なんか仲良いみたいだしね、国が違うのにさ、こっちの子爵様とグッチ男爵って。
で、イヤな予感も的中で、入国手続きの為にクリムゾンスパイダーから降りたとたんに飛びつかれた。
「おねぇさまぁ~!!! お待ちしておりましたぁ~!!」
いや待たなくて良いから、とっととパパの領地に帰れよ。
「あのね、パトリシアちゃん、私はアンタのお姉ちゃんじゃ無いからな、しかもあんたの方が見た感じの年齢上なんだけど。」
しかしさぁ、パトリシアってなんか不穏な名前だよなぁ。
元の世界の方のグッチ創業者のグッチオ・グッチの息子に強引に迫って嫁の座に収まってしまった恐るべし略奪女性の名前と同じじゃん、まぁ娘だから大丈夫な気はするけどな・・・それに属性がちょっとアレだし。
まぁ、何はともあれ、この令嬢はこっちの街でよく遊びまわって要るらしくて詳しいと言うので、市場を案内して貰う事にして何時までもしがみ付いて居たのを離れて貰う事に成功した、ああメンドクセェ、この娘だきゃぁ。
でも、案内役としては優秀かも知れないな。
応援ありがとうございます!
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