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第一章
回想呼び覚ます鏡≪せせらぎ視点≫
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≪せせらぎ視点≫
今日は不可思議なことが立て続けに起こり続けている。任務地に到着したときの他の6人の陰陽師の不在、その彼らの不審死に、変異したクルイモノ達。どれか1つ起きただけでも重大な問題だ。
けど、それが目の前の少年が原因なら、今まで起こってきたことにも辻褄が合う。彼が現れた瞬間、変異したクルイモノ達は彼に対し、遜った態度をとっていた。もしかしたら、彼が生み出したのかもしれない。加えて、最高傑作と言っていたところから、あの3人の陰陽師をクルイモノに変異させたのは彼だろう。不審死した残りの3人は適合しなかったのだろう。
もしかしたら、目の前にいる少年も紫色の肌に赤色の瞳を持っているから、彼もまたクルイモノに変異したものなのかもしれない。それでも、分からないことがいくつもある。
彼はなぜ、私達がクルイモノに変異した陰陽師を倒すまで、姿を現さなかったのか?なぜ、クルイモノ達が彼に従っているのか、聞きたいことは山ほどある。でも、私が最も意図を理解できないものがある。
「あなたは、どうして私のことを‘’お姉様‘’と呼ぶの?あなたは私にとって何?」
なぜ、彼は私のことを姉と呼ぶのか?なぜ、私とそっくりな姿をとっているのか?
「それは、貴女自身が思い出さなければなりません。……今は思い出してはないようですね。でも、大丈夫。ここに踏み入れた時点で聞こえてくるはずです。……あぁ、申し遅れましたね。ワタシの名前は‘’カイエン‘’と申します。」
彼がうっとりとした声音でそう言うと、頭の中で知らない声が響き渡る。聞いたことがないはずなのに、沸々と怒りがわいてくるような声が私に向かって攻撃してくる。
『お前がいるせいで、この村では食料が育たん!この疫病神が消え失せろ!』
うるさい。私だって、嫌だ。なんで、そうなっているのかも分からないし、やりたくてやったわけじゃない。
『生贄にするのならちょうどいい娘がいますよ。あの小娘がいいんじゃないですか?この村に厄災を与えるやつを処分できますし、ちょうどいいでしょう。』
うるさい。自分たちが生贄になりたくないからって、他人にその責を押し付けるな!もともと、お前たちがあの子を殺したからだろう‼
待って、あの子って誰のことかしら?本当に私はカイエンが言うように何か忘れているというの?一体、私は何者なの?
「――!せせらぎ!落ち着いてくれ‼目を覚ませ‼」
光希君が私を呼ぶ声で思考の海から現実へと引き戻された。そこにあったのは地獄絵図に相応しい光景だった。
周りにある木々たちは倒れ、中には根元から折れているものもあった。至る所に水の槍が突き刺さっていて、しまいには雷が轟いていた。
誰がこの場所をこんな風にしてしまったの?もしかして……私がやってしまったの?無意識のうちにこの広い範囲を全部?
「せせらぎ。」
「光希君。……っ‼ごめんなさい、ごめんなさい‼なんで、どうして。」
「あぁ、いつものせせらぎだ。俺の……声、ちゃんと……届いて……よか……た。」
光希君が私を呼ぶ声がして、声が聞こえる方に向かった。そこにいたのは肩と腹からおびただしい量の血を垂れ流しながら座り込んでいる光希君だった。
いつの間にか降り始めた雨が私の頬を濡らす。頬に伝うそれはやけに生温かく、私が今ここで生きていることを突きつける。
「大丈夫、……大丈夫。僕は……ここに……いる……よ。離れないから、離れない……から泣かな」
ザッシュ‼
「あぁ、やはり素晴らしい。貴女様の力はいつみても美しい、こんな小僧にはもったいないくらいだ。」
いつの間にか、光希君が私に向かって荒んだ心を癒してくれるような言葉を言いながら私を抱きしめていた。ただ、それだけだったのに。 光希君は斬られた。その証拠に斬られた背中の痛みに彼は悶えている。
一方、光希君を斬りつけたカイエンは私を恍惚な表情で見ていた。彼は私以外何も見えていないのか、それとも見たくないのか、私の近くにいた光希君をぞんざいに投げ飛ばしたのだ。
「なんで……どうして、こんなことしたんですか?光希君が、彼が、この子があなたに何をしたって言うんですか‼」
「なんでって、邪魔だったからに決まっているじゃないですか?ワタシの計画を阻むものはみな邪魔なのです。そんなことよりも、思い出せましたか?」
彼の言っていること、彼が持っている価値観を理解できなかった。目的のためなら、邪魔になる人間をここまで切り捨てることができるのか?聞いているだけで吐き気がする。
「苛立っているでしょう。ワタシを憎んでいるのでしょう。それでいいのです‼その憎しみを、その狂気をもっとさらけ出すのです‼」
カイエンがただただ愉しそうに笑う。その姿は美しい少年というよりも、私欲に取り憑かれた権力者のように見える。
「だって、ワタシはあなたがこの世で最もぬ憎むものであり、もう一人のあなただから。さぁ、ワタシの手を取って‼そうすれば、ワタシたちは新世界へと行ける‼」
彼は自分が私の理解者だという。もう一人の私だという。私自身が彼の持つ狂気に徐々に蝕まれていくのを感じる。
だけど、そんなことはあってはならない。彼は私の大切な人である光希君を傷つけた。この事実を思い出し続けるだけでも、静かに燃えている怒りで、決して彼の狂気に飲み込まれることはない。
私のそんな態度にしびれを切らしたのか、カイエンが突然叫びだした。
「……なぜ!なぜ貴女はワタシを見ない!そこに這いつくばっている弱者よりも、強者であるワタシの方が、一緒にいる価値あるだろう!」
「あなたはなにか勘違いをしています。強いから一緒にいるのではなく、そばにいたいから一緒にいるのです。」
私がそう言っても、彼は納得しなかった。否、彼に伝わることはないのだろう。叫び続けていた彼は、突然静かな口調でしゃべりだした。
「フフフ……そうですか。それならば、仕方ないですねぇ。本当はこうするつもりは無かったんですよ。……ダイジョウブです、次目覚めたときにはすべてを忘れているのですから。」
彼がこちらに両手を差し出すと、私の意識が朦朧としだした。動きたくないのに己の体が糸で操られていくように動かされていく。
カイエンは己の計画が成功したと確信して、穏やかに笑っていた。自分の計画が他人に壊されることがないと安心しきっていたのだ。彼の後ろから迫る影には一切気づかないまま、私の体を誘導していた。
「あぁ、回りくどいことなどしないで最初っからこうしとけばよかったです。なにはともあれ、あの時果たせなかった悲願をたっせいさせることができそう……ヴッ!」
グサッ!
光希君がいつの間にかカイエンの後ろへと回り込み、彼の首へとナイフを突き刺した。彼自身、もう限界だったのかそのまま倒れてしまった。
「お前の目的……が、どんな……のかは、理解――できないが、そんなことを……しても……せせらぎの……意志までは……手に入らないぞ……」
「こいつは本当に僕の邪魔をし続けますね。大人しくしとけばよかったものを。」
カイエンがそうため息つきながら言うと、光希君を一撃で仕留めようと勢いよく腕を振り下ろそうとした。
『大人になったら、いろんなところに行こうね。■■ちゃん』
その光景を見た瞬間、私は心の奥底に閉じ込めていた感情が突き出して来た。自分が人間から神となった者であったこと。大切で命を懸けてでも守りたかった親友がいたこと。
その親友が私を攻撃してきた人間から庇って亡くなってしまったこと。
「やめて!……私は、もう二度と大切な人を弔いたくないの‼」
今日は不可思議なことが立て続けに起こり続けている。任務地に到着したときの他の6人の陰陽師の不在、その彼らの不審死に、変異したクルイモノ達。どれか1つ起きただけでも重大な問題だ。
けど、それが目の前の少年が原因なら、今まで起こってきたことにも辻褄が合う。彼が現れた瞬間、変異したクルイモノ達は彼に対し、遜った態度をとっていた。もしかしたら、彼が生み出したのかもしれない。加えて、最高傑作と言っていたところから、あの3人の陰陽師をクルイモノに変異させたのは彼だろう。不審死した残りの3人は適合しなかったのだろう。
もしかしたら、目の前にいる少年も紫色の肌に赤色の瞳を持っているから、彼もまたクルイモノに変異したものなのかもしれない。それでも、分からないことがいくつもある。
彼はなぜ、私達がクルイモノに変異した陰陽師を倒すまで、姿を現さなかったのか?なぜ、クルイモノ達が彼に従っているのか、聞きたいことは山ほどある。でも、私が最も意図を理解できないものがある。
「あなたは、どうして私のことを‘’お姉様‘’と呼ぶの?あなたは私にとって何?」
なぜ、彼は私のことを姉と呼ぶのか?なぜ、私とそっくりな姿をとっているのか?
「それは、貴女自身が思い出さなければなりません。……今は思い出してはないようですね。でも、大丈夫。ここに踏み入れた時点で聞こえてくるはずです。……あぁ、申し遅れましたね。ワタシの名前は‘’カイエン‘’と申します。」
彼がうっとりとした声音でそう言うと、頭の中で知らない声が響き渡る。聞いたことがないはずなのに、沸々と怒りがわいてくるような声が私に向かって攻撃してくる。
『お前がいるせいで、この村では食料が育たん!この疫病神が消え失せろ!』
うるさい。私だって、嫌だ。なんで、そうなっているのかも分からないし、やりたくてやったわけじゃない。
『生贄にするのならちょうどいい娘がいますよ。あの小娘がいいんじゃないですか?この村に厄災を与えるやつを処分できますし、ちょうどいいでしょう。』
うるさい。自分たちが生贄になりたくないからって、他人にその責を押し付けるな!もともと、お前たちがあの子を殺したからだろう‼
待って、あの子って誰のことかしら?本当に私はカイエンが言うように何か忘れているというの?一体、私は何者なの?
「――!せせらぎ!落ち着いてくれ‼目を覚ませ‼」
光希君が私を呼ぶ声で思考の海から現実へと引き戻された。そこにあったのは地獄絵図に相応しい光景だった。
周りにある木々たちは倒れ、中には根元から折れているものもあった。至る所に水の槍が突き刺さっていて、しまいには雷が轟いていた。
誰がこの場所をこんな風にしてしまったの?もしかして……私がやってしまったの?無意識のうちにこの広い範囲を全部?
「せせらぎ。」
「光希君。……っ‼ごめんなさい、ごめんなさい‼なんで、どうして。」
「あぁ、いつものせせらぎだ。俺の……声、ちゃんと……届いて……よか……た。」
光希君が私を呼ぶ声がして、声が聞こえる方に向かった。そこにいたのは肩と腹からおびただしい量の血を垂れ流しながら座り込んでいる光希君だった。
いつの間にか降り始めた雨が私の頬を濡らす。頬に伝うそれはやけに生温かく、私が今ここで生きていることを突きつける。
「大丈夫、……大丈夫。僕は……ここに……いる……よ。離れないから、離れない……から泣かな」
ザッシュ‼
「あぁ、やはり素晴らしい。貴女様の力はいつみても美しい、こんな小僧にはもったいないくらいだ。」
いつの間にか、光希君が私に向かって荒んだ心を癒してくれるような言葉を言いながら私を抱きしめていた。ただ、それだけだったのに。 光希君は斬られた。その証拠に斬られた背中の痛みに彼は悶えている。
一方、光希君を斬りつけたカイエンは私を恍惚な表情で見ていた。彼は私以外何も見えていないのか、それとも見たくないのか、私の近くにいた光希君をぞんざいに投げ飛ばしたのだ。
「なんで……どうして、こんなことしたんですか?光希君が、彼が、この子があなたに何をしたって言うんですか‼」
「なんでって、邪魔だったからに決まっているじゃないですか?ワタシの計画を阻むものはみな邪魔なのです。そんなことよりも、思い出せましたか?」
彼の言っていること、彼が持っている価値観を理解できなかった。目的のためなら、邪魔になる人間をここまで切り捨てることができるのか?聞いているだけで吐き気がする。
「苛立っているでしょう。ワタシを憎んでいるのでしょう。それでいいのです‼その憎しみを、その狂気をもっとさらけ出すのです‼」
カイエンがただただ愉しそうに笑う。その姿は美しい少年というよりも、私欲に取り憑かれた権力者のように見える。
「だって、ワタシはあなたがこの世で最もぬ憎むものであり、もう一人のあなただから。さぁ、ワタシの手を取って‼そうすれば、ワタシたちは新世界へと行ける‼」
彼は自分が私の理解者だという。もう一人の私だという。私自身が彼の持つ狂気に徐々に蝕まれていくのを感じる。
だけど、そんなことはあってはならない。彼は私の大切な人である光希君を傷つけた。この事実を思い出し続けるだけでも、静かに燃えている怒りで、決して彼の狂気に飲み込まれることはない。
私のそんな態度にしびれを切らしたのか、カイエンが突然叫びだした。
「……なぜ!なぜ貴女はワタシを見ない!そこに這いつくばっている弱者よりも、強者であるワタシの方が、一緒にいる価値あるだろう!」
「あなたはなにか勘違いをしています。強いから一緒にいるのではなく、そばにいたいから一緒にいるのです。」
私がそう言っても、彼は納得しなかった。否、彼に伝わることはないのだろう。叫び続けていた彼は、突然静かな口調でしゃべりだした。
「フフフ……そうですか。それならば、仕方ないですねぇ。本当はこうするつもりは無かったんですよ。……ダイジョウブです、次目覚めたときにはすべてを忘れているのですから。」
彼がこちらに両手を差し出すと、私の意識が朦朧としだした。動きたくないのに己の体が糸で操られていくように動かされていく。
カイエンは己の計画が成功したと確信して、穏やかに笑っていた。自分の計画が他人に壊されることがないと安心しきっていたのだ。彼の後ろから迫る影には一切気づかないまま、私の体を誘導していた。
「あぁ、回りくどいことなどしないで最初っからこうしとけばよかったです。なにはともあれ、あの時果たせなかった悲願をたっせいさせることができそう……ヴッ!」
グサッ!
光希君がいつの間にかカイエンの後ろへと回り込み、彼の首へとナイフを突き刺した。彼自身、もう限界だったのかそのまま倒れてしまった。
「お前の目的……が、どんな……のかは、理解――できないが、そんなことを……しても……せせらぎの……意志までは……手に入らないぞ……」
「こいつは本当に僕の邪魔をし続けますね。大人しくしとけばよかったものを。」
カイエンがそうため息つきながら言うと、光希君を一撃で仕留めようと勢いよく腕を振り下ろそうとした。
『大人になったら、いろんなところに行こうね。■■ちゃん』
その光景を見た瞬間、私は心の奥底に閉じ込めていた感情が突き出して来た。自分が人間から神となった者であったこと。大切で命を懸けてでも守りたかった親友がいたこと。
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