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第30話 モンスター牧場開幕

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 事の事情をルーギャシー国王にリークは説明した。 
 その後ろではカエデちゃんがコーヒーの準備をしてくれて、テーブルに乗せてくれる。
 ルーギャシー国王は上品ではなくがぶがぶと飲み干し、口の髭にコーヒーの水滴がついていた。

「はむはむ、なるほどのう、兄上が魔族の領地でサーカス団を開いて、その団員がお主の兄貴とやらの恋人に恋をして殺してしまってという、悲しき事だ。人間側がとんでもない事をしてしまった。頭を下げよう、しかし、それはもう過ぎたる事、考えても仕方あるまい、なぁ、魔族の少年、いやシェイザーよ、お主の事は兄上から手紙で聞いていたぞ」

 シェイザーの瞳から涙がぽつりぽつりと流れながら、彼は腕の袖でごしごしと瞼をこすった。

「それで、いいのか、わしはお主が集めたモンスター牧場という奴を見て見たいぞ、とんでもない事になってるのではないかのう」

「ああ、そうでした。これから見に行きます。カナシーそんなに興奮しないでくれ」

 そこには沢山のモンスターに追いかけられたい欲求を持つ幽霊カナシーが1名いたのであった。

「何たる事か、ようやく夢が叶うぞ、何が何でも叶えるんだ、はぁはぁ」

 幽霊とは思えない息遣いをしていた。

 リーク達は3つ目の扉に向かい合い、その扉を開いた。
 そこに広がっていた光景に、皆が感嘆し絶句していた。

 ありとあらゆるモンスターが闊歩している。
 合計で1000体程にまで膨れ上がったモンスター達。
 リックボアーの群れが歩いていたり、スピードドラゴンの群れが草原を闊歩していたり。
 リーフトレントが動き出すと森が動いているように見える。
 シルフィザードは風に飛ばれてやってくる精霊で、遥か空で竜巻を造っている。
 巨大な何かが歩いていると思ったら、スプリガンで。
 こちらを見てにんまりと笑った。
 その足元には日向ぼっこをしているダイヤリザードマンがいて、雲を横切るのは10体のフェニックスだった。
 深紅のユニコーンは木々にタックルして破壊している。
 後数えきれないモンスターがあちこちにいた。
 全てのモンスターの名前を述べると時間がかかりそうなのでリークはカナシーを見て見た。

 カナシーはふわふわーとリックボアーの群れに突撃していった。
 リックボアーは優しい咆哮を上げると、カナシーを追いかけた。
 それに続くようにスピードドラゴンが追いかけて。

「見てくれーついに夢が叶ったぞー」

 カナシーは狂喜に溢れた笑みを浮かべていた。

「リークさん、あれは幽霊じゃなかったら死んでると思うんですが」

「うん、カエデちゃんそれは僕も思うよ」

「いやー絶景じゃのう」

「こんな世界があるもんなんだな」

 国王が景色を見ながら喜び、シェイザーが辺りを見回して地面を踏みしめる。

 リークはふと巨大な箱が置かれている事に気付いた。

 そこには。

【収穫箱】と書かれてあり。

 触れてみると、リークの脳内に1000体分のモンスターの素材が流れてきた。
 次にすべての素材を異次元倉庫に預けた。

 リークの頭の中には1000個分の素材の情報が流れている。
 そこにはダイヤリザードマンのダイヤ等々の情報が流れていて。
 どれも普通では手に入らない素材だった。

 最近、自分のデバフ魔法の事についても知りたくなってきた常日頃。

「ルーギャシー国王、少し問題がありまして」

「なんじゃ、わしは逃げんぞ、がははははは」

「いえ、デバフでオークハイキングから盗んだスキル同胞愛によりレベル9999になったのですが」

「ふむふむ」

「一行に下がりません」

「え……」

「僕、たぶん人差し指で国王殺せます」

「ひえええええええ」

 国王は度肝を抜かれたように後ろに下がった。
 もちろんシェイザーもカエデちゃんもだった。

「歩き爆弾そのものじゃないか」

 シェイザーがそう呟き。

「それで、考えてみたんですが、デバフ魔法を自分に掛ける事が出来るのではないかと」

「それでやってくれ、わしはまだ死になくないのじゃ」

 リークは取り合えず自分にデバフ魔法をかけて見た。
 ちなみに人が悩んでる時に。

「きゃははははは」

「こっちだぞおおおおお」

「まてええええええ」

 カナシーがモンスターと戯れてました。

 それはさておき、デバフ魔法を発動し続けると、自分自身のレベルが下がっていく事が分かる。
 だが少しでも気を緩めると、レベルが上がっていく。
 デバフ魔法をさらに発動させると、レベルが下がっていくが、疲れてくると、レベルが上がってくる。

「はぁはぁはぁはぁ」

 心臓が口から飛び出そうなほど、脈動が脈打つ。
 
「これやべーわ」

 リークはさらに悩む。

「レベル下げデバフじゃねこれ?」
 
 どうやら新しいデバフを習得したようだ。

「だけどまだ未完成だから、練習しないと、練習相手は」

 その目がぎろりとカエデちゃんとシェイザーと国王に注がれるが。
 3人は早急に避難する事に成功していた。

「そうかモンスター達で練習すればいいのか」

 リークはこの日よりモンスター牧場にいるモンスターのレベルを下げる訓練を始めた。

 ちなみにカナシーはまだ戯れています。

====3日後====

 1人の少年が1つのスキルを習得した。

【デバフ魔法:レベル下げ:対象のレベルを下げる事が出来るが自分自身にはずっと使用しないと下げる事が出来ない。気を緩むと上昇するが他者に対しては永遠に下げる事が出来る】

「ふはははははははははっはあは」

 リークは新しいイタズラを思いついたのであった。

 その光景を怯えてみているシェイザーとカエデちゃん、あと3日間カナシーはモンスター達と戯れていたので、とりあえず3つ目の扉を閉めてあげた。

「シェイザーに僕の最高の防具を渡したいし、カエデちゃんにも最高なものを造りたい。今回1000個の材料が手に入って、とんでもない物が作れそうなんだよ」

 そうリークが話をしている間。
 その目は宝石のように輝いていたのか、カエデちゃんとシェイザーは驚きの視線でこちらを見ていた。

「ふふふふふふ」

 既に危険人物になりつつあるリーク少年。
 現在自分にデバフ魔法レベル下げを使用し続けている。 
 何度も使用する事により慣れる事に成功。 
 少しでも気を緩めばレベル9999になる。
 間違ってごろつきを殴るものなら、頭がトマトみたいにぐしゃりと潰れる所ではなく、消滅するだろう。

「さぁてと、シェイザーよ異世界製作所を見せてあげようか」

「お、おう」

 シェイザーとカエデちゃんはリークに付き従って、異世界製作所に入っていった。
 後国王は緊急の要件で国に返っていった。
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