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第12話 オークハイキング

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 幻想ショップはカエデちゃんに戸締りをさせて、閉じこもるように言い伝えた。
 カエデちゃんはこくりと頷いてくれた。
 さすがに小さな子供をオークハイキングの群れに一緒に連れて行く訳にはいかない、まぁリークも小さな子供なのだがとふと疑問に思いつつ。

 老紳士ギャシーは突然現れて、突然馬車を用意して、さっそくリーク達を連れ出してしまったという訳だ。
 ちなみにカナシーは久しぶりの馬車なのかウキウキしていた。 
 隣の席で足をばたばたとさせている。

「るんるんるん」

 ちなみにこれはカナシーではなく老紳士ギャシーの鼻歌だ。

「いいねーいい風だ、わたくしが調べた所、山頭の山にオークハイキングとオークの群れ1000体がいる。まぁ普通に考えて討伐無理だけど、きっと君ならいける。わたくしがストーキングした結果君は異常そのものだ!」

「だからストーキングするなて」

 カナシーが思わず突っ込み。

「それで、オークハイキングはどのくらい強いんですか?」

「うむ、そうじゃのう、わたくしの妻くらいには強くない、ぎゃはははは」

「……」
 
 しばらく沈黙が続いた。

「おっほん、君なら余裕じゃろう、S級の冒険者でやっとだ」

「それ僕じゃ無理でしょ」

「お主たぶんSSS級クラスじゃ」

「はへ?」

「安心しろ、わたくしのストーキング調べじゃて、ぎゃはははははは」

「……」
 
 またしばらく沈黙が続く。

「風が寒くなってきたのう」

 老紳士ギャシーはそう言いながら馬車の窓をゆっくりと閉める。
 きっと滑ったのをごまかしているのだろう。

「わたくしは基本眺めているから勝ってに戦ってくれたまえ、わたくしは何もしない、いやオークはわたくしに気付けない、この馬車に御者がいないようにな」

「あなたは一体」

「賢者、いや破滅の賢者だが、この国の国王ルーギャシーとはわしの事じゃ」

「また御冗談を」

「これは冗談じゃないわい、そこの幽霊は気付いておるのう、久しいのうカナシー、いや世界最後の魔女よ」

「ははは、それもご冗談で」

「だから冗談じゃないわい」

 老紳士はどうやら国王ルーギャシーであり、え、えええええ。

 リークは眼玉が飛び出る程驚きつつも。

「なんかすみません、なれなれしくて」

「気にするな」

「まったくお前は昔から変わらんなルーギャシー」

「ふぁふぁ、こっちは年取ったがそっちは若いな」

 カナシーはにかりと笑うと。

「こっちは幽霊だからな」

「なら破滅の賢者で国王がオークハイキングを亡ぼせばいいじゃないですか」

「いや、わしはお主の力量を調べたいからストーキングして、最終試験じゃ」

「勝手に試験始まってたんですか」

「うむ、お主は見事に合格していたぞ、ちなみにそこのカナシーは気付いておったがのう」

「教えてくれてもいいのに……」

「いやこいつはうるさいからな、昔から、知らんぷりが良いに決まっているよ」

 カナシーがこくりとそう呟いた。

「そろそろ着くころだ」
 
 ルーギャシーは指パッチンをすると、馬車が突然消滅した。
 前方の丘の上に野営地みたいな所が築かれていた。
 そこには数えきれないオークがいた。その数1000体以上だろう。
 近くには村がいくつかあるようだ。

 村側はオークの野営地に気付いているが、手を出せないと言った所だろう。

「じゃ、がんばれ」

「ふぅ、いっちょやりますよ」

 リークの右手と左手には白い犬と黒い猫がいる。
 2頭とも馬車が苦手で落ちないようにリークがしっかりと掴んでいた。

「また力を貸してくれ、アンクレイサーとランクレイサー」
「わん」
「にゃあ」

 光が一瞬輝いたと思ったら、右手と左手にはオリハルコン性の斧とオリハルコン性の槍が出現する。
 相変わらず光輝く武器に見とれながら、リークは地面を蹴り上げた。

【スキル:超人】を発動させると、そのスピードは獣より遥かに早くなり、その力は怪物よりも強化される。

 走るスピードと力がマッチして、地面がどすどすと穴が開く。
 その振動でオーク達がこちらに気付く。
 まだオークハイキングの姿は見えない。
 
 一瞬でオークの間合いに入ると、槍を一閃する【スキル:狂戦士の心】が常時発動しており、力はさらに倍増される。

 オークの頭がぐしゃりと潰れ、後ろに吹き飛ぶ。
 沢山のオークを巻き込む。巻き込まれたオークも即死する。
 斧をフル回転させながら、体を回転させると、オークが次から次へと巻き込まれて体をばらばらにされる。

 次から次へとオークの大軍が現れる。
【スキル:軍神】を発動させる。
 軍神は敵の配置や敵の行動パターンを肌や風で感じる。
 まるで全てのオークの配置が頭に入り、どこからどのように攻撃をしてくるが即座に理解出来る。

 その結果。
 リークは全ての攻撃を避け続ける事が可能となる。

 オーク達はリークを四方に取り囲むも全ての攻撃を避け続ける。
【スキル:超人】も発動している為、動きはもはや動物以上の化け物になっている。

 オークの首が次から次へと空に飛んで行く。
 アンクレイサーの斧がランクレイサーの槍が翻る。

 オーク達は埒が明かないと思い距離をとって、矢を放つ。
 その数数百を超える。
 リークは【スキル:パラディンの心】を発動させる。これは数秒無敵になる事が出来る。
 
 矢が全身を貫いたと思ったら、全ての矢がリークの体に突き刺さらずに落ちる。
 
 実はスキルを試してみないと内容が分からないと思っていたのだが、自分には最近盗んだスキルがある事をすっかり忘れていたのだ。
 それこそが鑑定スキル。

 これは自分にも使用が出来る為、スキルの内容をより詳しく調べる事が出来る。

「だいたい、楽しんだし、皆にさいあっくなお知らせがありまーす、デバフ発動!」

 その場にいるオーク達の死体からも生きている奴からもスキルを盗む事に成功する。
 スキルの数2100個、どうやらオークは1050体いたようだ。
 
 オーク達は突如当たり前のようにあったスキルが消滅した事に戸惑いを隠せないようだ。
 
 彼等はあちこちを見ながら、良く分からないようだ。

 後今判明したのだが。

「このデバフって死体からも盗めるんかい!」

 新たな事実。

 てことはお墓とかに眠ってる、ぐふふふ。

 リークはいやらしい笑みを浮かべていた。

【スキル:破壊武人】を発動させる。

 一撃一撃がもはや破壊級になる。
 現在オーク達はデバフにより弱体化している。
 制御が効かないので仲間がいる所で使用すれば、仲間事殺す恐れがある。
 その恐ろしい破壊力は巨大な岩をも吹き飛ばす程、もっと言い換えれば、城そのものを吹き飛ばす威力を秘めている。

 さらにアンクレイサーの斧とランクレイサーの槍、この2本は素晴らしい程の武器だ。

 一撃一撃にドカーンという爆破音を響かせながら、オーク達の体があちこちに吹き飛んでいく。
 もはやオークパニックが起きて、彼等はあちこちに逃げるも、爆発音を響かせながらオークを倒す殺人鬼が迫りくる。

 最後のオークを吹き飛ばしたリークは地面を踏みしめる音が聞こえた事に気付いた。

「どうやらオークハイキングは狩りにでも行っていたようですね」

 そこにはバカなのかルーギャシー王がいた。

「いやー1000体のオークを皆殺しにするなんて、あなた本当に13歳の少年ですか?」

「すみませんが、1050体ですよ、ちゃんと数えてください」

「すまないねー体がぐちゃぐちゃだからさ、さて、リーク君はオークハイキングを倒せるでしょうか、カナシーさんも見守ってますよ」

「お前ならいけるだろ、余裕だ。余裕」

 髭をなでながらルーギャシー国王とカナシーが後ろに下がる。
 目の前の野営地の建物が吹き飛ぶ。

「ぐるぉおおおおお」

 怒声を張り上げて、そいつは現れた。

「ちっさ」

 リーク唖然、ルーギャシー国王唖然、カナシー噴き出す。

 そこにはリークと同じ大きさのオークがおり、頭には冠を乗せて、普通のオークより小さいのは謎だが。
 
【スキル:鑑定】を発動させると。

【オークハイキング:レベル150:【体重操作】【破壊衝動】【同胞愛】】

 同胞愛というスキルが嫌な予感をさせた。
 やばい早く盗まないとと思ったから、デバフを発動させたのだが。

【現在のデバフレベルでは足りません】

 という謎の知らせが。

「やべーかも」

 リークは絶望に陥り、ある事に気付く。

「こいつレベル超えてるぞ、100までだろ」

「レベルいくつじゃ?」

 ルーギャシー国王が尋ねると。

 リークはもう一度レベルを鑑定。

【オークハイキング:レベル800】

「あのー申し訳上げにくいのですが、レベル800です」

「よし、わしは逃げるから後はよろしく頼む」

「ふざけんな国王おおおおお」

「ごおおおおおおおおおお」

 リークVSオークハイキング(レベル800)
 の死闘が始まった。
 
「てか同胞愛でレベルあげたなこいつ、僕が殺しすぎたからだああああ」

 リークは地面を蹴り上げた。


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