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3:田崎駿也
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「望? コンビニのバイト、今日は何時から?」
耳のそばで駿也の低音が響いた。えっ? 何で駿也がバイトのことを知ってるの? と考えて思い出した。駿也は田崎さん……。まだ慣れない。
「5時から9時まで。」
「そっか。一緒に途中まで行ってもいい?」
まただ……。哀願するような駿也の口調。首の辺りがくすぐったいような気がする。机の上の置き時計を見る。銀色の電波時計は、そろそろ3時になる事を告げていた。
「いいけど……俺、自転車だよ?」
「ああ、問題ない。」
自転車では30分程で着くバイト先。歩くならもう出ないと間に合わない。
「わかった。支度するから待ってて。」
涙で汚れたパーカーは着替える必要がある。駿也の腕の中を抜けて、クローゼットに向かった。少しだけ緊張する。駿也の前でいつものように着替えようとは思えなかった。
「ちょっと待ってて。」
着替えを片手に部屋を出る。階段を降りて洗面所に向かいながら、何だか夢の中にいるような気がした。
『ひどい顔……。』
顔を洗ってタオルで拭きながら鏡を見る。いつもの顔より瞼が腫れているような気がする。鼻の辺りがまだ赤い……。ここ何年も経験したことがないほど泣いてしまった。
『けど、さっきはここに……。』
俺の勘違いじゃなければ、キスをされた。触れるか触れないかぐらいの優しいキス……。俺は瞼を触りながら、鏡の中の自分が段々と赤くなるのを見ていた。
『支度しないと!』
頭をブンブン振って気を引き締める。まだ今俺の部屋で駿也が待ってる。急がないと……。服を脱いで着替える。今日は暖かい方だから夜でもパーカーだけで大丈夫に違いない。グレーのTシャツに黒のいつものパーカーを羽織る。ジーンズも履き替えて……。
『はい、出来た。』
頭をおざなりに撫でつけて、駿也の待つ自分の部屋へ駆けて行った。
「もう行けるのか?」
「うん、後、財布とスマホを持つだけ。スマホ、スマホ……。」
駿也の問いかけに答えながら机の引き出しから財布を取って、スマホを探す。どこに置いただろう?机の上にはない。駿也からメールをもらって、動揺して部屋を歩き回って……。チャイムの音が聞こえて……。
「あ、布団?」
ぐちゃぐちゃになっている掛け布団を引っ張った。その反動で2つの物体が跳ね上がった。スマホと……写真立て。
「!」
あっと思った時には、駿也が写真立てをキャッチして覗いていた。
「……これって……俺?」
「……。」
か、顔が上げられない。何でいつもの引き出しにしまっておかなかったんだろ。なんて言おうか考えていると、ガバッと駿也に抱きすくめられた。
「ああ……キツい。望……キスしたい……。」
キ、キス? え? キスって……。キス? お、俺と? 何か言おうとするけれど、言葉が思いつかなかった。
気がつくと、俺は布団の上に押し倒されていた。駿也の体がのしかかる。
「望……いい?」
少しだけ眉を下げた駿也の顔がそこにある。俺の返事も待たずに、駿也の唇が重ねられた。そっと触れるだけの優しいキス。
『俺の返事は待たないのかよっ。』
そう思ったのは一瞬だけ。俺もずっと待ってたような気がする。高校の時のステージの上で駿也にファーストキスを奪われてから、ずっと……。
優しいだけのキスは、思いのほか長かった。俺は、自分の気持ちを素直に認めて、そっと駿也の背中に腕を回した。
耳のそばで駿也の低音が響いた。えっ? 何で駿也がバイトのことを知ってるの? と考えて思い出した。駿也は田崎さん……。まだ慣れない。
「5時から9時まで。」
「そっか。一緒に途中まで行ってもいい?」
まただ……。哀願するような駿也の口調。首の辺りがくすぐったいような気がする。机の上の置き時計を見る。銀色の電波時計は、そろそろ3時になる事を告げていた。
「いいけど……俺、自転車だよ?」
「ああ、問題ない。」
自転車では30分程で着くバイト先。歩くならもう出ないと間に合わない。
「わかった。支度するから待ってて。」
涙で汚れたパーカーは着替える必要がある。駿也の腕の中を抜けて、クローゼットに向かった。少しだけ緊張する。駿也の前でいつものように着替えようとは思えなかった。
「ちょっと待ってて。」
着替えを片手に部屋を出る。階段を降りて洗面所に向かいながら、何だか夢の中にいるような気がした。
『ひどい顔……。』
顔を洗ってタオルで拭きながら鏡を見る。いつもの顔より瞼が腫れているような気がする。鼻の辺りがまだ赤い……。ここ何年も経験したことがないほど泣いてしまった。
『けど、さっきはここに……。』
俺の勘違いじゃなければ、キスをされた。触れるか触れないかぐらいの優しいキス……。俺は瞼を触りながら、鏡の中の自分が段々と赤くなるのを見ていた。
『支度しないと!』
頭をブンブン振って気を引き締める。まだ今俺の部屋で駿也が待ってる。急がないと……。服を脱いで着替える。今日は暖かい方だから夜でもパーカーだけで大丈夫に違いない。グレーのTシャツに黒のいつものパーカーを羽織る。ジーンズも履き替えて……。
『はい、出来た。』
頭をおざなりに撫でつけて、駿也の待つ自分の部屋へ駆けて行った。
「もう行けるのか?」
「うん、後、財布とスマホを持つだけ。スマホ、スマホ……。」
駿也の問いかけに答えながら机の引き出しから財布を取って、スマホを探す。どこに置いただろう?机の上にはない。駿也からメールをもらって、動揺して部屋を歩き回って……。チャイムの音が聞こえて……。
「あ、布団?」
ぐちゃぐちゃになっている掛け布団を引っ張った。その反動で2つの物体が跳ね上がった。スマホと……写真立て。
「!」
あっと思った時には、駿也が写真立てをキャッチして覗いていた。
「……これって……俺?」
「……。」
か、顔が上げられない。何でいつもの引き出しにしまっておかなかったんだろ。なんて言おうか考えていると、ガバッと駿也に抱きすくめられた。
「ああ……キツい。望……キスしたい……。」
キ、キス? え? キスって……。キス? お、俺と? 何か言おうとするけれど、言葉が思いつかなかった。
気がつくと、俺は布団の上に押し倒されていた。駿也の体がのしかかる。
「望……いい?」
少しだけ眉を下げた駿也の顔がそこにある。俺の返事も待たずに、駿也の唇が重ねられた。そっと触れるだけの優しいキス。
『俺の返事は待たないのかよっ。』
そう思ったのは一瞬だけ。俺もずっと待ってたような気がする。高校の時のステージの上で駿也にファーストキスを奪われてから、ずっと……。
優しいだけのキスは、思いのほか長かった。俺は、自分の気持ちを素直に認めて、そっと駿也の背中に腕を回した。
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