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3:田崎駿也
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「えっ? え? どういう事?」
ですか? 駿也の体から離れて、机にあったティッシュペーパーを取ってで顔を拭った。敬語になりそうになって寸で止める。駿也が……田崎さん?
「座ろうか。」
駿也がマグの乗ったお盆を片手にもう片方の手で俺の手を掴んできた。誘われるままベッドを背に床に座る。涙がいつの間にか止まり、俺は駿也から目が離せなかった。
「これは望のマグか?」
大きくNと描かれた白いマグを手に取って駿也が聞いてきた。
「あ? うん。」
何故か普段使ってない方の黒いマグを俺に押し付けて、駿也が俺のカップに口をつけた。
「何か聞きたい事、ある?」
コーヒーを飲んで「美味い。」と呟いた駿也が俺に聞いてきた。
聞きたい事。え? 何だろう……。
「田崎さん、だったの?」
とりあえずこの混乱した頭をどうにかしたい、俺は単刀直入に聞いてみた。
「ああ。でも、2ヶ月半前の俺は、俺であって俺ではなかった。」
「は?」
駿也? 田崎さん? が何を言ったのか分からなかった。
「田崎駿也であって、佐崎駿也ではなかったという事。」
「えっ? でも……ここに来た時はハッキリと佐崎駿也って……。」
俺はますます分からなくなった。
「ごめん、望。混乱してるだろ? でも今はこれ以上話せないんだ。」
徐に横から肩を引き寄せられた。マグに入ったコーヒーが溢れそうになって慌てた。
頭に駿也の顔が当たる。ちゅっとリップ音が響いてますます慌てた。そういえば……さっき瞼にキスをされたような……。
ドキドキしてきた。駿也が田崎さん? 少しずつ顔が赤くなっていくのが分かった。
「望? ……今、誰かと付き合ってる?」
駿也の声色が変わったのが分かった。……緊張してる?
「付き合った経験がないのは、田崎さんだったのなら、知ってるじゃないですか。」
黒のマグを見つめながら呟く。俺の言葉で、抱えられた肩にギュッと力が入ったのが分かった。
「飲みに行く約束は? まだ有効?」
少しだけなんだけど、駿也の声が甘く聞こえたような気がして益々顔が熱くなった。甘いながらもどこか哀願するような、そんな声の調子に聞こえた。
「俺、あれからずっと待ってた。」
「……望!」
もう片方の腕が俺の肩に回されて、駿也の体が覆い被さるようなかたちになった。俺の額に駿也の額が重なる。
「望、待ってて。絶対に全て話せるようにする。だから……。」
そう言ったと思うと駿也が立ち上がり、俺も腕を引っ張られて立たされる形になった。
「俺は……望が好きだ。田崎駿也としても、佐崎駿也の時もずっと望に片想いをしていた。」
駿也の大きな手が俺の手を取って重ねられた。な、何コレ……。顔が上げられない。
「今、望が混乱しているのは分かっている。でも、ようやく望の近くまでやってこれた。このまま……まだ、このままでいいから、俺を傍に置いてもらえないか?」
俺、俺……今勘違いじゃなければ告白されてる? 何か、何か言わないと……。
頭をグルグル回転させても、混乱した頭はすぐには元に戻らなかった。黙って頷く。頭のいい駿也だったんだから、ここは任せるべきだ。
「良かった!!」
その瞬間、今日、一番の力でギュッと駿也に抱きしめられた。
ですか? 駿也の体から離れて、机にあったティッシュペーパーを取ってで顔を拭った。敬語になりそうになって寸で止める。駿也が……田崎さん?
「座ろうか。」
駿也がマグの乗ったお盆を片手にもう片方の手で俺の手を掴んできた。誘われるままベッドを背に床に座る。涙がいつの間にか止まり、俺は駿也から目が離せなかった。
「これは望のマグか?」
大きくNと描かれた白いマグを手に取って駿也が聞いてきた。
「あ? うん。」
何故か普段使ってない方の黒いマグを俺に押し付けて、駿也が俺のカップに口をつけた。
「何か聞きたい事、ある?」
コーヒーを飲んで「美味い。」と呟いた駿也が俺に聞いてきた。
聞きたい事。え? 何だろう……。
「田崎さん、だったの?」
とりあえずこの混乱した頭をどうにかしたい、俺は単刀直入に聞いてみた。
「ああ。でも、2ヶ月半前の俺は、俺であって俺ではなかった。」
「は?」
駿也? 田崎さん? が何を言ったのか分からなかった。
「田崎駿也であって、佐崎駿也ではなかったという事。」
「えっ? でも……ここに来た時はハッキリと佐崎駿也って……。」
俺はますます分からなくなった。
「ごめん、望。混乱してるだろ? でも今はこれ以上話せないんだ。」
徐に横から肩を引き寄せられた。マグに入ったコーヒーが溢れそうになって慌てた。
頭に駿也の顔が当たる。ちゅっとリップ音が響いてますます慌てた。そういえば……さっき瞼にキスをされたような……。
ドキドキしてきた。駿也が田崎さん? 少しずつ顔が赤くなっていくのが分かった。
「望? ……今、誰かと付き合ってる?」
駿也の声色が変わったのが分かった。……緊張してる?
「付き合った経験がないのは、田崎さんだったのなら、知ってるじゃないですか。」
黒のマグを見つめながら呟く。俺の言葉で、抱えられた肩にギュッと力が入ったのが分かった。
「飲みに行く約束は? まだ有効?」
少しだけなんだけど、駿也の声が甘く聞こえたような気がして益々顔が熱くなった。甘いながらもどこか哀願するような、そんな声の調子に聞こえた。
「俺、あれからずっと待ってた。」
「……望!」
もう片方の腕が俺の肩に回されて、駿也の体が覆い被さるようなかたちになった。俺の額に駿也の額が重なる。
「望、待ってて。絶対に全て話せるようにする。だから……。」
そう言ったと思うと駿也が立ち上がり、俺も腕を引っ張られて立たされる形になった。
「俺は……望が好きだ。田崎駿也としても、佐崎駿也の時もずっと望に片想いをしていた。」
駿也の大きな手が俺の手を取って重ねられた。な、何コレ……。顔が上げられない。
「今、望が混乱しているのは分かっている。でも、ようやく望の近くまでやってこれた。このまま……まだ、このままでいいから、俺を傍に置いてもらえないか?」
俺、俺……今勘違いじゃなければ告白されてる? 何か、何か言わないと……。
頭をグルグル回転させても、混乱した頭はすぐには元に戻らなかった。黙って頷く。頭のいい駿也だったんだから、ここは任せるべきだ。
「良かった!!」
その瞬間、今日、一番の力でギュッと駿也に抱きしめられた。
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