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孤児達と一緒に。
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朝から子供達を連れて外出していたらしきコウタが、家に戻って来た。
「いや、まいった。俺が子供達を連れて風呂屋の前まで行ったらさあ」
「あれ!? スカートの子がいる」
昨日まで男の子しかいないと思っていたのに。
「そうなんだよ、男装してる女の子が混じっていた。
赤星の食堂のおばさんが風呂屋に来てたから女湯に連れてって貰って助かったけど。
あ、服は子供達、皆の分も買った」
「あそこ女の子いたら危ないから、幼い女の子は小僧みたいな服を着てた方がいいんだ」
孤児グループの親分たるアルフィオがそう説明した。
「アルフィオの考えで男装させてクリスを守っていたんだな」
オカッパとショートの中間みたいな髪の長さの、ショートボブのクリスが女の子だった。
かわいい顔の子がいるなあと思ってはいたんだ、私も。
今はクリスはアルフィオの後ろでもじもじとして恥じらっている。
「それで、バレてしまったからには、俺達、男は別にいいんで、クリスだけでも、にーさんねーさん達の、こっちの家に入れてあげて欲しいんだけど、ダメかな?」
なるほどね。スラムに幼い女の子は危ないものね。
「うち、庭の敷地がわりと広いし、畑スペースを半分諦めて、離れを作ろうか?
二段ベッドを作って省スペースにして男子の寝床を作ってさ、それが出来るまではまだ開店してないから店舗の方に寝て貰うって事で」
私はそう提案した。
「あーね、女の子のクリスくらいなら、小さいし、あの母家にも入るってか、サヤの部屋に一緒に入れていいよ、そもそもあそこは子供部屋だったし」
「じゃあそうして貰うか、俺の部屋にはもうライがいるし、女の子だから女の子と同じ部屋のが安心だし。
離れは小屋レベルならそう時間もかからずなんとかなるだろう。
大工を呼ぶよ」
「私だけ一人部屋になっててすまない……みたいな感じになってしまったけど、それで紗耶香ちゃんが良いなら私はいいと思う」
「決まりだな。
俺は今からライと小屋を作ってくれる大工を探しに出かけてくる」
「あ、俺も行く!」
アルフィオが慌ててコウタ達を追いかけて、結局コウタとライ君とアルフィオの三人が大工さんを探しに出かけた。
「えっと、じゃあ私達はひとまず、食堂の方にテーブルと椅子を端っこに寄せて男子の寝床を作ろうか?」
「だね~」
私は食堂の客席スペースの床に予備の毛布を敷いた。
子供達も毛布を敷くのを手伝ってくれてる。
「下に毛布を敷いて……と」
「カナデっち、枕は布を巻く?」
「差しあたってはそれで。今度クッションでも見に行こうか、綿とか詰め物が有れば自分で縫えるけど、中身が無いし」
「うん」
「ひとまず雑魚寝になるけど、ごめんね」
「大丈夫です」
「ありがとう」
「平気」
などと言う健気なセリフが返って来た。
思いの外、良い子が多いな。
「良い子ね」
「正直、もうちょいやさぐれた集まりかと思っていたよね」
私が頭を撫でてあげたら紗耶香ちゃんがポロリと本音を漏らし、次に子供達が口を開いた。
「怖い子達もいるよ」
「うん、他のやつら」
「すぐ殴ってくるし、乱暴」
「へえ、孤児達の間でも派閥かグループがあるんだね~~。
あ、そういやうちらも教室でグループいくつかに分かれていたよね」
紗耶香ちゃんは美人なギャルで、クラス内でも陽キャでカースト上位組だった。
私は地味な読書好きとつるんでいて、教室内では極力息を殺すようにひっそりとしていた。
ネットで知り合ったオタクな仲間内では、そこそこはしゃいでいたけど。
そう言えば動画サイトで懐かしの古い名作劇場のアニメやってたのでも、煙突掃除の少年達でグループが分かれていたなあ……。
「そうだね。リーダーの気質に左右されるのかな?
アルフィオは最初はすごく態度悪かったけど、根は仲間想いの子だったし」
「あーね、チビ達にパンくれって言ってたしね」
「パン! 甘くて美味しかった!」
「うん! おいしかった!」
子供達がパンと聞いて思い出したようにアンパンを称えた。
「良かったね~」
紗耶香ちゃんもそう言って少年達の頭を撫でた。
優しいギャルっていいよね……。
「先日はパンだったし、今日はお米にするわ」
「おかずは~?」
「某マツタケのお吸い物をご飯に混ぜて簡易的雑炊みたいにするけど、おかずはどうしようかな」
まだ考えて無い。
「サヤ、味噌漬け肉食べたい。豚肉」
「味噌味で幼いうちから私達好みの味覚を調教しておくのもいいかも、じゃあそれにしよ」
「そう言えば、里子として親を探すんじゃ無いの?」
かつて読んで来たお話だと孤児達は新しい家族、優しいお父さんとお母さんを求めていた。
愛情を注いでくれる両親を。
なので、私も探してあげたいとは思っているけど、
「決まるまではうちの子になるようなものでは」
──と、ひとまずは答えておいた。
「あーね、それもそっか~~」
しばらくしてコウタ達が大工さんと話をつけて来たと言って帰って来た。
夕食はマツタケのお吸い物味の雑炊のような物と、豚肉の味噌漬け肉。
子供達も好き嫌いせずに、美味しそうに食べていた。
普段は残飯のような物ばかりだったらしいので、これはご馳走の部類になるんだろう。
デザートにプリンを出したら感激していた。
大変素直な反応でかわいいと思う。
「いや、まいった。俺が子供達を連れて風呂屋の前まで行ったらさあ」
「あれ!? スカートの子がいる」
昨日まで男の子しかいないと思っていたのに。
「そうなんだよ、男装してる女の子が混じっていた。
赤星の食堂のおばさんが風呂屋に来てたから女湯に連れてって貰って助かったけど。
あ、服は子供達、皆の分も買った」
「あそこ女の子いたら危ないから、幼い女の子は小僧みたいな服を着てた方がいいんだ」
孤児グループの親分たるアルフィオがそう説明した。
「アルフィオの考えで男装させてクリスを守っていたんだな」
オカッパとショートの中間みたいな髪の長さの、ショートボブのクリスが女の子だった。
かわいい顔の子がいるなあと思ってはいたんだ、私も。
今はクリスはアルフィオの後ろでもじもじとして恥じらっている。
「それで、バレてしまったからには、俺達、男は別にいいんで、クリスだけでも、にーさんねーさん達の、こっちの家に入れてあげて欲しいんだけど、ダメかな?」
なるほどね。スラムに幼い女の子は危ないものね。
「うち、庭の敷地がわりと広いし、畑スペースを半分諦めて、離れを作ろうか?
二段ベッドを作って省スペースにして男子の寝床を作ってさ、それが出来るまではまだ開店してないから店舗の方に寝て貰うって事で」
私はそう提案した。
「あーね、女の子のクリスくらいなら、小さいし、あの母家にも入るってか、サヤの部屋に一緒に入れていいよ、そもそもあそこは子供部屋だったし」
「じゃあそうして貰うか、俺の部屋にはもうライがいるし、女の子だから女の子と同じ部屋のが安心だし。
離れは小屋レベルならそう時間もかからずなんとかなるだろう。
大工を呼ぶよ」
「私だけ一人部屋になっててすまない……みたいな感じになってしまったけど、それで紗耶香ちゃんが良いなら私はいいと思う」
「決まりだな。
俺は今からライと小屋を作ってくれる大工を探しに出かけてくる」
「あ、俺も行く!」
アルフィオが慌ててコウタ達を追いかけて、結局コウタとライ君とアルフィオの三人が大工さんを探しに出かけた。
「えっと、じゃあ私達はひとまず、食堂の方にテーブルと椅子を端っこに寄せて男子の寝床を作ろうか?」
「だね~」
私は食堂の客席スペースの床に予備の毛布を敷いた。
子供達も毛布を敷くのを手伝ってくれてる。
「下に毛布を敷いて……と」
「カナデっち、枕は布を巻く?」
「差しあたってはそれで。今度クッションでも見に行こうか、綿とか詰め物が有れば自分で縫えるけど、中身が無いし」
「うん」
「ひとまず雑魚寝になるけど、ごめんね」
「大丈夫です」
「ありがとう」
「平気」
などと言う健気なセリフが返って来た。
思いの外、良い子が多いな。
「良い子ね」
「正直、もうちょいやさぐれた集まりかと思っていたよね」
私が頭を撫でてあげたら紗耶香ちゃんがポロリと本音を漏らし、次に子供達が口を開いた。
「怖い子達もいるよ」
「うん、他のやつら」
「すぐ殴ってくるし、乱暴」
「へえ、孤児達の間でも派閥かグループがあるんだね~~。
あ、そういやうちらも教室でグループいくつかに分かれていたよね」
紗耶香ちゃんは美人なギャルで、クラス内でも陽キャでカースト上位組だった。
私は地味な読書好きとつるんでいて、教室内では極力息を殺すようにひっそりとしていた。
ネットで知り合ったオタクな仲間内では、そこそこはしゃいでいたけど。
そう言えば動画サイトで懐かしの古い名作劇場のアニメやってたのでも、煙突掃除の少年達でグループが分かれていたなあ……。
「そうだね。リーダーの気質に左右されるのかな?
アルフィオは最初はすごく態度悪かったけど、根は仲間想いの子だったし」
「あーね、チビ達にパンくれって言ってたしね」
「パン! 甘くて美味しかった!」
「うん! おいしかった!」
子供達がパンと聞いて思い出したようにアンパンを称えた。
「良かったね~」
紗耶香ちゃんもそう言って少年達の頭を撫でた。
優しいギャルっていいよね……。
「先日はパンだったし、今日はお米にするわ」
「おかずは~?」
「某マツタケのお吸い物をご飯に混ぜて簡易的雑炊みたいにするけど、おかずはどうしようかな」
まだ考えて無い。
「サヤ、味噌漬け肉食べたい。豚肉」
「味噌味で幼いうちから私達好みの味覚を調教しておくのもいいかも、じゃあそれにしよ」
「そう言えば、里子として親を探すんじゃ無いの?」
かつて読んで来たお話だと孤児達は新しい家族、優しいお父さんとお母さんを求めていた。
愛情を注いでくれる両親を。
なので、私も探してあげたいとは思っているけど、
「決まるまではうちの子になるようなものでは」
──と、ひとまずは答えておいた。
「あーね、それもそっか~~」
しばらくしてコウタ達が大工さんと話をつけて来たと言って帰って来た。
夕食はマツタケのお吸い物味の雑炊のような物と、豚肉の味噌漬け肉。
子供達も好き嫌いせずに、美味しそうに食べていた。
普段は残飯のような物ばかりだったらしいので、これはご馳走の部類になるんだろう。
デザートにプリンを出したら感激していた。
大変素直な反応でかわいいと思う。
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