ポチは今日から社長秘書です

ムーン

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お盆

はなれるまえに、ろく

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雪兎の小さな手が俺の下腹に乗っている。媚薬入りのガスにオイルにローション……散々薬を盛られた上に顔射されて現在進行形で精液の匂いを嗅いでいる俺にはろくな思考が出来ない。それでも俺には雪兎が俺を抱きたがっていると察せた。

「入れたいよ……ダメ? いいよね、ポチ」

手に染み込んだ媚薬とその香りによって雪兎にも媚薬の効果が出ている。しかし俺のように感度が過剰に上がるほどではない、興奮し過ぎて振る舞いが幼くなる程度だ。

「……俺はユキ様の所有物です」

後孔はヒクついて物欲しそうにしている。媚薬に侵された今、一番の性感帯に何も触れていないのは辛い。恥も外聞もなくねだってしまいたかったが、俺は何故かカッコつけた。

「うん、うん……そうだね、そうだったね、ポチに入れていいかはポチの意思に関係ないもんね、ごめんね変なこと聞いちゃって」

雪兎が俺の上からどく。大きく開いた褐色の足の間に白磁の天使が膝立ちになり、ローションボトルの蓋を開ける。足を抱えようとして両手が拘束されていることを思い出し、悔やむ。

「ん……」

仕方なく下半身の筋力だけで腹筋に太腿が触れるまで足を曲げた。

「……ポチのそういう健気なとこ大好き」

「ひぅっ……!」

ローションが足の間に雑にかけられ、冷たさで思わず後孔がきゅっと閉じる。しかし雪兎が親指で強く会陰を押すと、次に指を与えられるのはこっちだと思い込んだ後孔はパクパクと収縮してローションを飲み込む。

「昨日も抱いたもんね、入れていいよね、ほぐさなくていいよね」

後孔を塞ぐように陰茎がびたんっと会陰を叩く。

「……ね?」

「わ、んっ……!」

「…………うん、そうだよね、飼い主が判断しないと。犬は自分のこと……まぁ分かってるかもしれないけど、飼い主に言葉で伝えられないもんね」

ずりずりと後孔の縁に陰茎が擦り付けられる。ぽってり膨れた縁が擦れる快感に焦れ、ローションに濡れた腸壁の疼きが増す。

「入れちゃうね、痛かったら痛い声出してね」

雪兎は自分の陰茎にローションを絡ませ、俺の痙攣する後孔に陰茎を押し付けた。卑しい穴は俺の意思に関係なく雪兎の陰茎に吸い付き、媚びる。

「んっ、んゔっ……ぁ、ぁああっ! あっ!? ひっ……ゃあぁああっ!」

媚薬で敏感になった腸壁が擦れる快感の情報量があまりにも多過ぎて、多量の情報を処理する際にPCなどの動作が重くなるように、俺の脳も時間を圧縮して処理を行った。一瞬が無限にも思える、雪兎が俺に根元まで挿入し終えるまでに俺は何度も絶頂を迎え、息をつく雪兎の下で痙攣していた。

「あっ……ぁ、は……ぁ、あ、ぁ」

「…………痛くない?」

「ぁ、う……? んっ、んん……」

「……言葉忘れちゃったの? 可愛いね」

雪兎の手が俺の首の後ろで組まれ、ぐっと上体を倒した彼の顔が間近に近付く。ヒトの理を超えたような美顔、赤紫の瞳、俺が虜になった人……

「でもちゅーはしたい? そんな顔してる。ふふっ、いいよ、キスしながらしよ。噛まないでね」

唇が重なるのと同時に腰振りが始まる。

「んゔぅっ!?」

舌を吸われて言葉もどきの喘ぎは封じられ、噛むなと言った雪兎に舌を甘噛みされ、雪兎と上下で繋がっている以上仰け反ってよがることも叶わずくぐもった声で叫び続ける。

「ゔゔぅゔうっ! ふゔぅっ、ゔっ、んんゔぅっ! んんゔぅうーっ!」

媚薬で剥き出しにされた性感を直接擦られるような、自分の身体が感じているとは思えないほどの、強過ぎる快楽。溺れるという表現すら稚拙に思える快感の濁流に唸る俺は獣と呼ぶにも値しない肉欲の塊だった。
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