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お盆
ふつかめ、いち
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ようやく一日目が終わって分かった、四日間絶頂禁止なんて耐えられる訳がないと。だから俺は拘束が解かれたら隙を突いて自慰をしようと決めた。風呂に入れてもらえるならチャンスも誤魔化す術もいくらでもある。
「さて、二日目の始まり始まり~。ポチ、早速」
「早速?」
「蝋を剥がしていこうか。そのままじゃお風呂の排水溝詰まっちゃうもんね」
「ですね。どうやって剥がすんですか?」
爪で引っ掻いて剥がしていくには面積が広い、雪兎一人では大変だろう。俺はてっきり熱い湯をかけて溶かすのだと思っていたが、そういえばこの蝋の融点は五十度だ。五十度のシャワーなんて浴びたくない。
「SMの常識だよ? ポチ」
「蝋を垂らすプレイは知ってたんですけど、その後処理なんて知りませんよ……」
雪兎は深いため息をついて首を横に振り、バラ鞭を俺の目の前でピッと伸ばして見せた。雪兎の手の間に平行になった鞭は俺の被虐欲を引きずり出す。
「鞭、で……どうするんですか?」
バラ鞭は鞭の中では威力が低い。大きな音が鳴ることと、持ち手から幾本もの紐が伸びているのが特徴だ。ちなみに雪兎が今持っているバラ鞭の幾本もの紐の先端には玉が作られており、威力が少し上げられている。
「叩いて落とす。蝋ってそんなにしつこくないんだよ」
「へぇ……」
「僕が疲れるまで鞭で叩き落としたらお風呂で洗い流すから、まぁ……プレイの延長だね」
雪兎は鞭を突き出し、鞭で俺の顎を持ち上げる。叩いても大丈夫かという無言の確認だ。俺は鞭に頬擦りをし、俺の返事に満足した雪兎は鞭を振り上げた。
「まずは太腿かな?」
「どこからでも…………っ、あぁあああっ!」
何本かの紐がバラバラに広範囲を叩くから、バラ鞭は威力が低い。しかしそれは扱いを間違えれば皮膚や肉を裂くような他の鞭と比べての話だ。蝋越しだろうと痛いものは痛い。
「ポチ、ほら、ポチの太腿に出来てた蝋のカバーが割れちゃったよ。軽く払えばもうポチの太腿見れそうだね」
「は、い……」
「ポチの太腿見たいなぁ?」
「どうぞ……ぁああっ! んぁああっ! ぁ、ひっ……ぃあぁああっ!」
同じ箇所を何度も叩かれ、深紅の蝋が割れて剥がれて飛び散っていく。瞳を潤ませて悲鳴を上げるも、雪兎はようやく顔を出した俺の太腿に夢中だ。
「はぁっ……はぁっ……痛い……ぁあぁ……」
「出てきた! ふふっ……ちょっと赤くなってる? 蝋が薄く残ってるのかな、火傷してるわけないし鞭のせいかな?」
屈んで太腿を見つめ、撫でていたかと思えば立ち上がり、もう片方の太腿への鞭打ちを始める。
「待っ、ぁああっ! 痛いぃっ……ひぃいいっ!? ひっ、ぅ、あぁああっ!」
「んー! イイ声……! ストレスが溶けてく音がするぅ! ポチ、もっともっと叫ぼうね」
「ひゃ、いっ……痛っ、あぁああっ! ぁ、うっ……もう、もう剥がれたっ、ぁあぁあああっ!?」
蝋が割れて剥がれて吹き飛んだ後、普段より敏感になった肌が顔を出した。それなのに雪兎は生の太腿に鞭を振り下ろした。
「ん~、染みるっ……最高。やっぱり素肌を叩いた方がイイ音鳴るよね。声もイイ」
「はっ、はっ、はっ……は、ぁ……はぁ…………ユキ様ぁっ、俺、俺もう立てないっ、太腿ちぎれたぁ」
皮膚表面のヒリヒリした痛みが気にならなくなるほど、真皮よりも下のズキズキとした痛みが強い。誰だバラ鞭は威力が低いとかカッコつけて解説したヤツ、めちゃくちゃ痛いじゃないか。
「そっか、ちぎれたかぁ。ちぎれてたら痛くないよね?」
「ぁ……やぁあああっ!?」
「痛い? ちぎれてないじゃん、よかったね」
あまりの痛みにちぎれたと大袈裟に表現してしまった。そんなことしなければ──いや、してよかった。していなければ今の痛みはなかったのだから。
「はぁっ……はぁっ……ぁあぁ、痛い、痛いぃ……ユキ様っ、痛いのもっとください……」
陰茎の先端を覆った蝋がそのままだから射精は出来ないけれど、もっともっと鞭で打たれて絶頂したい。陰茎の蝋も鞭で剥がされて、黒い鞭を白濁で汚してやりたい。
「もっとぉ……」
身体をくねくねと揺らして痛みを求める俺を、雪兎は加虐欲に満ちた笑顔で見下ろしていた。
「さて、二日目の始まり始まり~。ポチ、早速」
「早速?」
「蝋を剥がしていこうか。そのままじゃお風呂の排水溝詰まっちゃうもんね」
「ですね。どうやって剥がすんですか?」
爪で引っ掻いて剥がしていくには面積が広い、雪兎一人では大変だろう。俺はてっきり熱い湯をかけて溶かすのだと思っていたが、そういえばこの蝋の融点は五十度だ。五十度のシャワーなんて浴びたくない。
「SMの常識だよ? ポチ」
「蝋を垂らすプレイは知ってたんですけど、その後処理なんて知りませんよ……」
雪兎は深いため息をついて首を横に振り、バラ鞭を俺の目の前でピッと伸ばして見せた。雪兎の手の間に平行になった鞭は俺の被虐欲を引きずり出す。
「鞭、で……どうするんですか?」
バラ鞭は鞭の中では威力が低い。大きな音が鳴ることと、持ち手から幾本もの紐が伸びているのが特徴だ。ちなみに雪兎が今持っているバラ鞭の幾本もの紐の先端には玉が作られており、威力が少し上げられている。
「叩いて落とす。蝋ってそんなにしつこくないんだよ」
「へぇ……」
「僕が疲れるまで鞭で叩き落としたらお風呂で洗い流すから、まぁ……プレイの延長だね」
雪兎は鞭を突き出し、鞭で俺の顎を持ち上げる。叩いても大丈夫かという無言の確認だ。俺は鞭に頬擦りをし、俺の返事に満足した雪兎は鞭を振り上げた。
「まずは太腿かな?」
「どこからでも…………っ、あぁあああっ!」
何本かの紐がバラバラに広範囲を叩くから、バラ鞭は威力が低い。しかしそれは扱いを間違えれば皮膚や肉を裂くような他の鞭と比べての話だ。蝋越しだろうと痛いものは痛い。
「ポチ、ほら、ポチの太腿に出来てた蝋のカバーが割れちゃったよ。軽く払えばもうポチの太腿見れそうだね」
「は、い……」
「ポチの太腿見たいなぁ?」
「どうぞ……ぁああっ! んぁああっ! ぁ、ひっ……ぃあぁああっ!」
同じ箇所を何度も叩かれ、深紅の蝋が割れて剥がれて飛び散っていく。瞳を潤ませて悲鳴を上げるも、雪兎はようやく顔を出した俺の太腿に夢中だ。
「はぁっ……はぁっ……痛い……ぁあぁ……」
「出てきた! ふふっ……ちょっと赤くなってる? 蝋が薄く残ってるのかな、火傷してるわけないし鞭のせいかな?」
屈んで太腿を見つめ、撫でていたかと思えば立ち上がり、もう片方の太腿への鞭打ちを始める。
「待っ、ぁああっ! 痛いぃっ……ひぃいいっ!? ひっ、ぅ、あぁああっ!」
「んー! イイ声……! ストレスが溶けてく音がするぅ! ポチ、もっともっと叫ぼうね」
「ひゃ、いっ……痛っ、あぁああっ! ぁ、うっ……もう、もう剥がれたっ、ぁあぁあああっ!?」
蝋が割れて剥がれて吹き飛んだ後、普段より敏感になった肌が顔を出した。それなのに雪兎は生の太腿に鞭を振り下ろした。
「ん~、染みるっ……最高。やっぱり素肌を叩いた方がイイ音鳴るよね。声もイイ」
「はっ、はっ、はっ……は、ぁ……はぁ…………ユキ様ぁっ、俺、俺もう立てないっ、太腿ちぎれたぁ」
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「もっとぉ……」
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