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夏休み
がまんがまん、じゅうご
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俺が俺を気に入らない部分全て、俺の全て、雪兎は好んでくれている。それが俺の自信だ。見た目も力も性格も何も誇れはしないけれど、雪兎に愛されているということは誇れる。
「……っ!」
俺の唯一の自信について聞いた雪兎は目を見開いて数秒間硬直し、赤紫の瞳を潤ませ、俺に抱きついた。
「ユキ様……? どうなされたんですか?」
「ぽち……すき」
細腕で出せる最大の力で俺の頭をぎゅうぎゅうと抱き締め、その平たい胸に押し付ける。
「……はい! ありがとうございます!」
柔い肌に触れる度、薄い肉が歪む度、細い骨を感じる度、雪兎の肉体的な脆さを痛感する。か弱い主人を守らなければと覚悟を何度でも決め直させられる。
「………………ふふ」
将来の若神子家当主の側仕えとしての心構えを改めるのは何十度目だろう。額にちゅっと唇が触れてそれは中断された。すぐに離れてしまった雪兎は照れ臭そうに幼い笑顔を見せている。
「ユキ様……」
「好きだよポチ、大好きだよ。ポチだけだよ。虐めちゃうのは好きだからだよ、許してね」
「許すも許さないもないでしょう……プレイなんですから」
趣味のくせに好きな子を虐めるタイプの小学生みたいな言い方するな。
「ふふふっ、なんか毒気抜かれちゃったな。ご飯全部食べたら外したげる」
雪兎はポケットから小さな鍵を取り出して俺に見せた。貞操帯の鍵だろう、貞操帯を外してもらえば痒みに苛まれている陰茎を擦って痒みを誤魔化すことも、陰茎も陰嚢も下腹さえも破裂しそうなほど溜まった精液を出すことも可能だ。
「全部だよ、全部。お皿には何にも残さないでね、パッと見だったら洗う必要ないなって、新品かなって思えるくらいにしてね」
爽やかな笑顔で言い放たれた命令の芯は、皿に溜まった精液を啜り、縁に飛んだ精液を舐め取り、朝食の後味を精液にしろということだろう。
「はいっ、ユキ様。ユキ様に命令していただかなくとも、このポチ元よりそのつもりです!」
「……僕の発言に無駄があったって言いたいの?」
「え……ゃ、そんなっ、違います、そんなつもりでは!」
「ふふふっ、知ってる。じゃあ早く完食して? ポチも苦しいでしょ」
貞操帯に締め付けられ痒みに苛まれている陰茎が解放されると知って、俺の陰茎は貞操帯にくい込む痛みをもろともせずに勃とうとしている。
「はいっ!」
貞操帯を外した後、何をしてもらえるのだろう。俺の尻を再現したオナホは使わないだろう、雪兎は天丼ネタはあまり扱わない。
雪兎直々の手コキ? 雪兎の身体に擦り付けるのを許してもらえたり? そんな甘い考えを持ちながら朝食を貪り精液を啜り、精液の匂いを口に残して「ごちそうさま」と手を合わせた。
「うん、気持ちのいい挨拶だね。ふふ……それじゃ、お庭に行こうか」
「庭、ですか」
「広いお庭があるからね、ワンちゃんと遊ぶなら使いたいでしょ」
ダイニングにある大きな窓を開けるとウッドデッキを挟んで芝生があった。人工芝らしいその向こうには低木が植えられており、その更に向こうには三メートル以上はあるだろう塀が見えた。塀の最上部には有刺鉄線があり、角には監視カメラらしきものも伺えた。
「ほら、おいでおいで」
「……は、はいっ」
警備の物々しさに気圧されていると雪兎に手を引かれた。全裸で庭に出されるのはとても恥ずかしいことだったが、使用人の姿は見えないので屋外だろうと日本で邸宅内を引き回された時よりはマシだった。
「あの……外で、ですか?」
ウッドデッキの際に立って小さな鍵を俺に見せる雪兎は、ニコニコと可愛らしい笑みを浮かべたまま鍵を庭に向かって遠投した。
「……は?」
指でつまむサイズの小さな鍵は陽光をキラキラと反射しながら緩やかな放物線を描き、低木の奥へと見えなくなった。
「……っ!」
俺の唯一の自信について聞いた雪兎は目を見開いて数秒間硬直し、赤紫の瞳を潤ませ、俺に抱きついた。
「ユキ様……? どうなされたんですか?」
「ぽち……すき」
細腕で出せる最大の力で俺の頭をぎゅうぎゅうと抱き締め、その平たい胸に押し付ける。
「……はい! ありがとうございます!」
柔い肌に触れる度、薄い肉が歪む度、細い骨を感じる度、雪兎の肉体的な脆さを痛感する。か弱い主人を守らなければと覚悟を何度でも決め直させられる。
「………………ふふ」
将来の若神子家当主の側仕えとしての心構えを改めるのは何十度目だろう。額にちゅっと唇が触れてそれは中断された。すぐに離れてしまった雪兎は照れ臭そうに幼い笑顔を見せている。
「ユキ様……」
「好きだよポチ、大好きだよ。ポチだけだよ。虐めちゃうのは好きだからだよ、許してね」
「許すも許さないもないでしょう……プレイなんですから」
趣味のくせに好きな子を虐めるタイプの小学生みたいな言い方するな。
「ふふふっ、なんか毒気抜かれちゃったな。ご飯全部食べたら外したげる」
雪兎はポケットから小さな鍵を取り出して俺に見せた。貞操帯の鍵だろう、貞操帯を外してもらえば痒みに苛まれている陰茎を擦って痒みを誤魔化すことも、陰茎も陰嚢も下腹さえも破裂しそうなほど溜まった精液を出すことも可能だ。
「全部だよ、全部。お皿には何にも残さないでね、パッと見だったら洗う必要ないなって、新品かなって思えるくらいにしてね」
爽やかな笑顔で言い放たれた命令の芯は、皿に溜まった精液を啜り、縁に飛んだ精液を舐め取り、朝食の後味を精液にしろということだろう。
「はいっ、ユキ様。ユキ様に命令していただかなくとも、このポチ元よりそのつもりです!」
「……僕の発言に無駄があったって言いたいの?」
「え……ゃ、そんなっ、違います、そんなつもりでは!」
「ふふふっ、知ってる。じゃあ早く完食して? ポチも苦しいでしょ」
貞操帯に締め付けられ痒みに苛まれている陰茎が解放されると知って、俺の陰茎は貞操帯にくい込む痛みをもろともせずに勃とうとしている。
「はいっ!」
貞操帯を外した後、何をしてもらえるのだろう。俺の尻を再現したオナホは使わないだろう、雪兎は天丼ネタはあまり扱わない。
雪兎直々の手コキ? 雪兎の身体に擦り付けるのを許してもらえたり? そんな甘い考えを持ちながら朝食を貪り精液を啜り、精液の匂いを口に残して「ごちそうさま」と手を合わせた。
「うん、気持ちのいい挨拶だね。ふふ……それじゃ、お庭に行こうか」
「庭、ですか」
「広いお庭があるからね、ワンちゃんと遊ぶなら使いたいでしょ」
ダイニングにある大きな窓を開けるとウッドデッキを挟んで芝生があった。人工芝らしいその向こうには低木が植えられており、その更に向こうには三メートル以上はあるだろう塀が見えた。塀の最上部には有刺鉄線があり、角には監視カメラらしきものも伺えた。
「ほら、おいでおいで」
「……は、はいっ」
警備の物々しさに気圧されていると雪兎に手を引かれた。全裸で庭に出されるのはとても恥ずかしいことだったが、使用人の姿は見えないので屋外だろうと日本で邸宅内を引き回された時よりはマシだった。
「あの……外で、ですか?」
ウッドデッキの際に立って小さな鍵を俺に見せる雪兎は、ニコニコと可愛らしい笑みを浮かべたまま鍵を庭に向かって遠投した。
「……は?」
指でつまむサイズの小さな鍵は陽光をキラキラと反射しながら緩やかな放物線を描き、低木の奥へと見えなくなった。
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