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夏休み
がまんがまん、じゅうよん
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きっとレストランを開けば繁盛するだろう腕の持ち主が作ったのだろう朝食。冷めかけていたそれに雪兎は精液をかけた。
「食べるとこ見せてね。犬って食べてるとこ見ると嫌がるんだっけ?」
「……個犬差がありますよ、俺は嫌がりません。ご主人様に見られて嫌がることなんてあるものですか」
普通の感覚を持った人間が見れば、食べたくないと思うのだろう。もったいないと思いつつも食べずに捨てて、なんてことをと雪兎を責めるのだろう。
「いただきます」
普通の感覚を持った人間なら、朝食は白濁液で「汚された」と思うのだろう。俺はそうは思わない、この濃厚な白濁液は世界最高のトッピングだ。
「……どう? 美味しい?」
ソース派、醤油派、塩派、マヨネーズ派……様々存在する目玉焼きに一番合う調味料派閥。俺はここに雪兎の精液派の設立を宣言しよう。加入は却下だ、俺以外が雪兎の精液を飲んでいいわけないだろ。
「ん……はいっ、美味しいです。目玉焼きはまだ温かくて、ユキ様の精液が少し固まって、口に残るその感触と香りがたまりません」
「あははっ、気持ち悪い。何語ってんの」
思いっきり侮蔑の視線を向けられるのもいいが、爽やかな笑顔で罵倒されるのもギャップがあって好きだ。
「ふふ……犬食いっていいよねぇ。あ、ポチに限るよ? 他の奴がしてるの見たって不愉快なだけ。ポチの犬食いは可愛いよぉ」
精液臭さと青臭さのあるみずみずしいレタスを食べていると、雪兎に頭を撫でられた。
「どんどん汚れてく顔も、もぐもぐ動くお口も好き。ね、ごっくんする時のカッコイイ喉見せて?」
俺は真上を向いて喉仏を目立たせ、レタスを飲み込んだ。
「あぁっ……イイ、喉仏イイ。ポチのは立派だよね、僕のなんて比べ物にならない……」
熱っぽく呟きながら雪兎は俺の顎と肩を押さえる。動くなということなのだろうと察して首を下げずにいると、喉仏に噛み付かれた。
「……っ!?」
甘噛みではない、しっかりと歯を立てられている。強く噛んで皮だけを挟むのではなく、力加減をしてしっかりと喉仏を挟んでいる。
「ん……ふふふ、痛かった? 苦しかった? ごめんね、ご飯の邪魔して」
「…………いえ」
思わぬ苦痛に興奮した俺は食べカスと精液で汚れた顔で笑った。
「もうちょっとだね、全部食べちゃって」
「はい」
「犬食いの件の続きなんだけどね。下向いてる顔の後頭部見ると踏みつけたくなるんだよね、興奮するってことだよ、可愛いポチ。それとね、ポチは食べながらでもたまに僕の方見てくれるんだけど、その目がたまんないの」
「め……?」
皿から口を離さずに目の筋肉が痛むほど目玉を動かして見上げると、雪兎は自身の赤らめた頬に手を添えた。
「それそれたまんないっ! 可愛いよぉポチぃ、すっごく可愛い。ギョロってしてるね。目の縁に一生触れることがないのかなって感じのポチのちっちゃい黒目が目の縁にやっと触れられたねよかったねぇっ」
俺、そんなに黒目小さいかな。
「……黒目小さいの、普通は欠点じゃないですか? ブサイクとか、怖いとか、そういうものでしょう」
「何言ってるのポチっ、三白眼はチャームポイントだよ!」
俺のは三白眼どころか四白眼だけどな。三白眼の持つ可愛げすらも失った、ただの黒い点だ。
「もー……ポチってば自分の見た目に自信なさすぎない? これだけ褒めてるのに……ちょっとムカつくよ?」
「ごめんなさい……」
「ポチ、一番自信があることって何?」
「え……? えっと……ぁ……自信……俺、自分の? えっと……」
顔は違う。鼻筋は通っているし、眉も細くて形がよくて整っている方の顔だとは思うが、唇が薄いのと目が怖いのが個人的にはマイナスポイントだ。
身体も違う。筋肉量も単純なパワーも上には上がいる。雪兎好みの見せ筋として鍛えているから大したことがない。
中身も違う。俺は叔父を除く若神子一族以外は自分でさえ死に絶えたっていいと思っている勝手な奴だし、嫌なことがあったらすぐ記憶を失うし、そのくせくだらないことでトラウマをフラッシュバックさせる。
「……一つもないの? 一番が決まらないだけ?」
「ぁ……ユキ様」
厚い唇の方がセクシーだと思うのに雪兎は薄い唇を気に入ってキスしてくれるし、目もしょっちゅう可愛いと言ってくれる。雪兎好みに鍛えているのだから身体は雪兎好みで当然。性格だって妙に寂しがりだったりするところを犬として可愛がってもらえている。
「ユキ様に愛されていることが、俺が唯一自信があることですっ!」
胸を張ってそう答えた俺に、雪兎は目を見開いた。
「食べるとこ見せてね。犬って食べてるとこ見ると嫌がるんだっけ?」
「……個犬差がありますよ、俺は嫌がりません。ご主人様に見られて嫌がることなんてあるものですか」
普通の感覚を持った人間が見れば、食べたくないと思うのだろう。もったいないと思いつつも食べずに捨てて、なんてことをと雪兎を責めるのだろう。
「いただきます」
普通の感覚を持った人間なら、朝食は白濁液で「汚された」と思うのだろう。俺はそうは思わない、この濃厚な白濁液は世界最高のトッピングだ。
「……どう? 美味しい?」
ソース派、醤油派、塩派、マヨネーズ派……様々存在する目玉焼きに一番合う調味料派閥。俺はここに雪兎の精液派の設立を宣言しよう。加入は却下だ、俺以外が雪兎の精液を飲んでいいわけないだろ。
「ん……はいっ、美味しいです。目玉焼きはまだ温かくて、ユキ様の精液が少し固まって、口に残るその感触と香りがたまりません」
「あははっ、気持ち悪い。何語ってんの」
思いっきり侮蔑の視線を向けられるのもいいが、爽やかな笑顔で罵倒されるのもギャップがあって好きだ。
「ふふ……犬食いっていいよねぇ。あ、ポチに限るよ? 他の奴がしてるの見たって不愉快なだけ。ポチの犬食いは可愛いよぉ」
精液臭さと青臭さのあるみずみずしいレタスを食べていると、雪兎に頭を撫でられた。
「どんどん汚れてく顔も、もぐもぐ動くお口も好き。ね、ごっくんする時のカッコイイ喉見せて?」
俺は真上を向いて喉仏を目立たせ、レタスを飲み込んだ。
「あぁっ……イイ、喉仏イイ。ポチのは立派だよね、僕のなんて比べ物にならない……」
熱っぽく呟きながら雪兎は俺の顎と肩を押さえる。動くなということなのだろうと察して首を下げずにいると、喉仏に噛み付かれた。
「……っ!?」
甘噛みではない、しっかりと歯を立てられている。強く噛んで皮だけを挟むのではなく、力加減をしてしっかりと喉仏を挟んでいる。
「ん……ふふふ、痛かった? 苦しかった? ごめんね、ご飯の邪魔して」
「…………いえ」
思わぬ苦痛に興奮した俺は食べカスと精液で汚れた顔で笑った。
「もうちょっとだね、全部食べちゃって」
「はい」
「犬食いの件の続きなんだけどね。下向いてる顔の後頭部見ると踏みつけたくなるんだよね、興奮するってことだよ、可愛いポチ。それとね、ポチは食べながらでもたまに僕の方見てくれるんだけど、その目がたまんないの」
「め……?」
皿から口を離さずに目の筋肉が痛むほど目玉を動かして見上げると、雪兎は自身の赤らめた頬に手を添えた。
「それそれたまんないっ! 可愛いよぉポチぃ、すっごく可愛い。ギョロってしてるね。目の縁に一生触れることがないのかなって感じのポチのちっちゃい黒目が目の縁にやっと触れられたねよかったねぇっ」
俺、そんなに黒目小さいかな。
「……黒目小さいの、普通は欠点じゃないですか? ブサイクとか、怖いとか、そういうものでしょう」
「何言ってるのポチっ、三白眼はチャームポイントだよ!」
俺のは三白眼どころか四白眼だけどな。三白眼の持つ可愛げすらも失った、ただの黒い点だ。
「もー……ポチってば自分の見た目に自信なさすぎない? これだけ褒めてるのに……ちょっとムカつくよ?」
「ごめんなさい……」
「ポチ、一番自信があることって何?」
「え……? えっと……ぁ……自信……俺、自分の? えっと……」
顔は違う。鼻筋は通っているし、眉も細くて形がよくて整っている方の顔だとは思うが、唇が薄いのと目が怖いのが個人的にはマイナスポイントだ。
身体も違う。筋肉量も単純なパワーも上には上がいる。雪兎好みの見せ筋として鍛えているから大したことがない。
中身も違う。俺は叔父を除く若神子一族以外は自分でさえ死に絶えたっていいと思っている勝手な奴だし、嫌なことがあったらすぐ記憶を失うし、そのくせくだらないことでトラウマをフラッシュバックさせる。
「……一つもないの? 一番が決まらないだけ?」
「ぁ……ユキ様」
厚い唇の方がセクシーだと思うのに雪兎は薄い唇を気に入ってキスしてくれるし、目もしょっちゅう可愛いと言ってくれる。雪兎好みに鍛えているのだから身体は雪兎好みで当然。性格だって妙に寂しがりだったりするところを犬として可愛がってもらえている。
「ユキ様に愛されていることが、俺が唯一自信があることですっ!」
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