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夏休み
はだかえぷろん、ご
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嘘をついたこと、そのくせ笑ったこと。それが俺の罪状、罰則は尻叩き十回。
「十回……ですか」
「何、不満?」
罰の内容を知らされた俺は正直、不満を覚えていた。叩く回数が少ないし、鞭だとかも使わないらしい、嘘をついたらもっと激しいお仕置きをしてもらえるはずなのに……昨日の失神を雪兎が気にしているのだろうか?
「いえ、ご主人様に不満など」
「だよね。あぁそうそう、罰を受けた前後で写真を撮って、反省したかどうか確かめるから、カメラ取ってくるね」
「スマホでよくないですか?」
「いいカスタム出来たんだ。使わせて」
雪兎がカメラに興味があったとは驚きだ。会話できるように俺も勉強しようかな、カメラに関しては平均レベルの知識しかない。
「これこれ。ほら」
「デジカメですね」
厳つさがない、レディースに分類されるものなのだろう。雪兎の小さな手にはそれでも合わない気もする。
「なんと、一億画素!」
「画素数多けりゃいいってもんじゃないって聞きますよ、逆にボケるって」
「写真印刷する時に引き伸ばすから画素数いるの!」
印刷? 俺の写真を? 画素数を無駄に増やして引っ込みつかなくなったからって、そんな資源の無駄遣いをすることはないだろうに。
「印刷なんてしなくていいと思いますけど……撮るんですよね、ポーズ取りましょうか。俺の被写体力はたったの5、そんなゴミでよければ」
「ポチの被写体力はとっても高いよ! ポーズはねぇ……そこでいいや、そこの棚に手ついて」
嫌な予感がしつつも自分の腰ほどの高さの棚に手をつく。
「足もうちょい後ろにして、お尻突き出して」
「え……ぁ、あの、これ以上しちゃったら…………その、穴まで」
「聞こえなかった? 突き出して」
ようやく分かった。俺への罰のメインは尻叩きではなく、撮影なのだ。肉体的苦痛ではなく精神的苦痛を与えるつもりなのだ。
「はい……」
俺は雪兎の持つカメラに陰嚢まで映されると分かっていながら、尻を高く突き出した。
「んー……角度、もう少し……こう」
いつの間にか背後にぴったりと立っていた雪兎に尻を撫でられ、ピクピクと震えながら言われるがままに角度を整える。
「ユキ様……さっきの位置から撮ったら、俺……尻しか映らなくなるんじゃ」
「罰を与えるのはお尻なんだから、それでいいんだよ。僕を一番楽しませてるのもお尻でしょ?」
「はい……いつも、ご奉仕させていただいています。お仕置きも、ご褒美も、この尻に……はい、俺の価値は、ここに、ここだけに……」
俺が買われた理由も、飼われている理由も、どちらも肉体。俺は雪兎に後孔で奉仕するためだけの犬、尻穴奴隷、肉便器……そんなふうに罵られたい。そんな被虐欲で雪兎の罵倒を誘導しようとした俺の髪を、雪兎は乱暴に引っ張った。
「君は自分の価値を理解してないみたいだね、僕を一番楽しませてるのはお尻じゃないでしょ? 違いますって言わなきゃダメだったんだよ君は、主人に従い過ぎる犬はダメなんだ」
「い、たっ…………そんな、俺に……他のところなんて、ぁ、胸ですか? でも使うのお尻の方が多いっ……!? 痛いっ、髪抜けちゃいますぅ……!」
「毟って欲しそうな顔しないの。いい? ポチの価値はね、忠誠心と愛情の強さ深さ。金で買われたくせに僕のこと本当に大切にしてくれる、何かあったら守ってくれる……」
髪を抜けない程度に引っ張りながら感慨深そうに話す。
「雪風と話せてもなかった僕に……誰にも愛されてないって思い込んでた僕に、君は人に愛されるってことも人を愛するってことも教えてくれた。君のおかげで雪風ともおじいちゃんとも仲良くなれた。君はね、人の心をほぐして、人と人を繋げることが出来るんだよ」
髪を離し、俺の頭を抱きしめる。
「……だから自分の価値がお尻だけなんて言わないで」
真剣な声色に俺はようやく自分の本当の罪深さを知った。
「ううん……そう感じさせた僕が悪いよね。ごめんね、ポチ……」
被虐欲に従って自分で自分を貶め過ぎた。卑下は雪兎の愛情と信頼を裏切ることにも繋がるのだ、どうにか挽回しなければ──
「……分かった? じゃ、お尻撮るからね~。こんなボリューミーでえっちなお尻、撮らなきゃもったいないもんね」
──と思ったけど、そんな深刻じゃなかった。ま、雪兎は俺の趣味を深く理解しているはずだし、さっきの謝罪も保険程度の意図だったんだろうな。
「十回……ですか」
「何、不満?」
罰の内容を知らされた俺は正直、不満を覚えていた。叩く回数が少ないし、鞭だとかも使わないらしい、嘘をついたらもっと激しいお仕置きをしてもらえるはずなのに……昨日の失神を雪兎が気にしているのだろうか?
「いえ、ご主人様に不満など」
「だよね。あぁそうそう、罰を受けた前後で写真を撮って、反省したかどうか確かめるから、カメラ取ってくるね」
「スマホでよくないですか?」
「いいカスタム出来たんだ。使わせて」
雪兎がカメラに興味があったとは驚きだ。会話できるように俺も勉強しようかな、カメラに関しては平均レベルの知識しかない。
「これこれ。ほら」
「デジカメですね」
厳つさがない、レディースに分類されるものなのだろう。雪兎の小さな手にはそれでも合わない気もする。
「なんと、一億画素!」
「画素数多けりゃいいってもんじゃないって聞きますよ、逆にボケるって」
「写真印刷する時に引き伸ばすから画素数いるの!」
印刷? 俺の写真を? 画素数を無駄に増やして引っ込みつかなくなったからって、そんな資源の無駄遣いをすることはないだろうに。
「印刷なんてしなくていいと思いますけど……撮るんですよね、ポーズ取りましょうか。俺の被写体力はたったの5、そんなゴミでよければ」
「ポチの被写体力はとっても高いよ! ポーズはねぇ……そこでいいや、そこの棚に手ついて」
嫌な予感がしつつも自分の腰ほどの高さの棚に手をつく。
「足もうちょい後ろにして、お尻突き出して」
「え……ぁ、あの、これ以上しちゃったら…………その、穴まで」
「聞こえなかった? 突き出して」
ようやく分かった。俺への罰のメインは尻叩きではなく、撮影なのだ。肉体的苦痛ではなく精神的苦痛を与えるつもりなのだ。
「はい……」
俺は雪兎の持つカメラに陰嚢まで映されると分かっていながら、尻を高く突き出した。
「んー……角度、もう少し……こう」
いつの間にか背後にぴったりと立っていた雪兎に尻を撫でられ、ピクピクと震えながら言われるがままに角度を整える。
「ユキ様……さっきの位置から撮ったら、俺……尻しか映らなくなるんじゃ」
「罰を与えるのはお尻なんだから、それでいいんだよ。僕を一番楽しませてるのもお尻でしょ?」
「はい……いつも、ご奉仕させていただいています。お仕置きも、ご褒美も、この尻に……はい、俺の価値は、ここに、ここだけに……」
俺が買われた理由も、飼われている理由も、どちらも肉体。俺は雪兎に後孔で奉仕するためだけの犬、尻穴奴隷、肉便器……そんなふうに罵られたい。そんな被虐欲で雪兎の罵倒を誘導しようとした俺の髪を、雪兎は乱暴に引っ張った。
「君は自分の価値を理解してないみたいだね、僕を一番楽しませてるのはお尻じゃないでしょ? 違いますって言わなきゃダメだったんだよ君は、主人に従い過ぎる犬はダメなんだ」
「い、たっ…………そんな、俺に……他のところなんて、ぁ、胸ですか? でも使うのお尻の方が多いっ……!? 痛いっ、髪抜けちゃいますぅ……!」
「毟って欲しそうな顔しないの。いい? ポチの価値はね、忠誠心と愛情の強さ深さ。金で買われたくせに僕のこと本当に大切にしてくれる、何かあったら守ってくれる……」
髪を抜けない程度に引っ張りながら感慨深そうに話す。
「雪風と話せてもなかった僕に……誰にも愛されてないって思い込んでた僕に、君は人に愛されるってことも人を愛するってことも教えてくれた。君のおかげで雪風ともおじいちゃんとも仲良くなれた。君はね、人の心をほぐして、人と人を繋げることが出来るんだよ」
髪を離し、俺の頭を抱きしめる。
「……だから自分の価値がお尻だけなんて言わないで」
真剣な声色に俺はようやく自分の本当の罪深さを知った。
「ううん……そう感じさせた僕が悪いよね。ごめんね、ポチ……」
被虐欲に従って自分で自分を貶め過ぎた。卑下は雪兎の愛情と信頼を裏切ることにも繋がるのだ、どうにか挽回しなければ──
「……分かった? じゃ、お尻撮るからね~。こんなボリューミーでえっちなお尻、撮らなきゃもったいないもんね」
──と思ったけど、そんな深刻じゃなかった。ま、雪兎は俺の趣味を深く理解しているはずだし、さっきの謝罪も保険程度の意図だったんだろうな。
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