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使用人体験

ちかしつごーもん……ぷれい、いち

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視線を感じるだけで足や腰に力が入らなくなる淫らな身体に鞭を打ち地下室に──あぁ、この鞭は比喩としての鞭で──そんな説明しなくてもいいか。

「入れよ、雪風さんの地下プレイルームだ! 嫁はアブノーマルなプレイやらせてくんなかったからなぁー……ここ入るの何年ぶりかな」

薄暗いイメージがあった地下室という言葉が一新された。病室のように清純な明るさに満ちている。絨毯も壁紙もないというのがいい味を出している。

「変態部屋なんだか拷問部屋なんだか分かんねぇな」

縄、革、鉄、様々な素材の拘束具。三角木馬、分娩台に似たもの、その他様々なプレイ用品が部屋の各所に整理されている。

「何これ……開くんだけど」

「拡張器具」

「苦悩の梨とかそんなんだろこれ」

「そこまで開かねぇよ」

俺は痛みも快感と捉えるタイプだ。しかしそんな俺でも躊躇するような恐ろしい器具が大量にある。

「……なんだ? 怖くなったか?」

雪風が過去にこの部屋で弄ばれていたら──そう考えてしまい、俺は彼を背後から抱き締めた。彼の方が背が高いから少し不格好だな。

「…………大丈夫」

雪風の実兄である雪凪が、ここで雪風をオモチャにしていたら? あぁ、ただの妄想なのに殺意が溢れて止まらない。

「まーひろっ、ほら、ここ座れ」

脳内で殺害計画を練り始めてしまった俺の異常を感じ取ったのか、雪風は俺を手術台のような無機質なベッドに座らせた。

「……拘束?」

「そ。ガッチガチに拘束できるベッド。暴れてベッドごと倒れたりしないよう、床に固定されてるから運べねぇんだよな。ほら、寝転がれ」

雪風の言いなりになってベッドに仰向けになり、手足を伸ばす。頭のすぐ上で手首が金属製の枷に拘束され、全く動かせなくなる。

「すげぇなこれ、既にちょっと手首痛い」

「次、足いくぞー」

ピンと伸ばした足は閉じたまま手首と同じように枷に拘束される。

「足、開かないんだな」

「開脚させるのは別のベッドでいいからな」

「……種類豊富。富豪で変態ってタチ悪いんだな」

「タチ悪いの、嫌いか?」

「めちゃくちゃ好き」

ベッドと一体化しているベルトが臍の少し上を押さえる。手首、足首、そして腹もベッドから離れさせられない。肘や膝を曲げるのも、腰を浮かすのも、背骨を少し曲げることも、何も出来ない。

「すっごい……全然動けない」

「これでお前は俺の好きなように遊べる玩具ってわけだ。どんな気分だよ真尋ぉ」

「……首絞められたい」

「はは、そこまでやったら雪兎に怒られちまう。俺はSってわけじゃねぇからな、ただの変態だ。さて、今日のプレイを先に説明しておくぞ」

せっかく身動きが取れないのだから、どうせなら死の危険を感じるようなプレイがしたい。しかしそういうのは雪兎に任せたいというのもある。雪兎が日本に帰ってきたらこの部屋に一緒に来よう。

「まずはミントを食いながら俺がしゃぶる。その後はうちわでも使って痛めつけてやるよ」

雪兎なら俺に怪我させず俺に最高の痛みを与えてくれるだろう。泣き叫んで命乞いするような痛みを──興奮してきた。

「せっかく酒持ってきたし、ワカメ酒でも頼もうかな。でも……お前毛ねぇんだよな、ツルツルで色黒で筋肉とかボディビルダー目指してんのか。眉毛と髪しかねぇじゃん……まつ毛は? まつ毛あんのかこれ、虹彩もねぇ。怖っ、なんだこの目……」

雪兎が失敗するなんてありえないし、雪兎に罪悪感を背負わせたくないし、雪兎を寂しがらせたくはないけれど、自分勝手に考えればプレイ中に雪兎に殺されるのは最高の死に方だな。

「あとは氷責めだな。冷やすと萎えるけどさ、乳首とか冬は勃つじゃん? 下はミントで上は氷、これ完璧……真尋、聞いてる? 真尋ー? ま、ひ、ろっ!」

雪風に軽く頬を叩かれて妄想の海から浮上する。不満げな顔の彼に笑顔を向けると呆れたため息が返ってきた。
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