冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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断れない神指名 (水月+カンナ・リュウ・シュカ・ハル・セイカ・ミタマ・ネザメ・ミフユ)

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鏡の前で膝をつく。

「……っ、俺は……俺はっ、リズム感クソ雑魚の、ダサダサ残念イケメンですっ、俺はこのグループのお荷物だっ」

体育館の壁の一部は鏡になっている。普段は引き戸のような物で隠されているが、今のようにダンスの練習をする時などに解放するのだ。

「俺は顔だけの人間……」

そう、今は体育祭で披露する創作ダンスの練習時間。リズム感をカンナに酷評された俺の心は折れていた。

「みっつん泣いちゃった」

「ヘコんどるなぁ」

「確かに水月は下手くそですからね……」

「りゅー意外と上達したよね~。みっつんよりマシってレベルだったのに」

「ノれたらこっちのもんやろ。後は足もつれんように慣れさせたらしまいやね」

「……みぃくん、リズム感……ない」

「悪いとか死んでるとかじゃなくて元からないんだ? あははっ、合ってる~」

「鳴雷、音ゲーとか上手いのに……」

俺を嗤う四人に反し、セイカは心配そうに俺の顔を覗き込んだ。そんな表情をされては俺のリズム感のなさが、ダンスの下手さが、笑えないほど異質なものに思えてくる。ヘラヘラとバカにしてくれた方がマシだ。

「ちゃんと音楽聞いてるか? 体動かす方に頭が行って音聞けてないんじゃないかな」

「でも、みーくん……手拍子も、へたくそ、だったよ?」

「手拍子も手動かすから……? 鳴雷ほんとに音ゲー上手いんだよ、リズム感覚はいいと思う」

「動体視力いいだけなんじゃない? アレは? リズ天。みっつんやったことある?」

「…………リズム地獄だよあんなもん。人間が出来るゲームじゃない」

「りず、む……の、ゲーム?」

「そうそう、姉ちゃんが持ってて~……ちっちゃい頃ちょっとやったんだよね。ムズかったな~」

「みぃくん、それ、持って……なら、そ……で、りず……感覚、きた……て?」

「はい……頑張ります……」

ダンス練習は一グループにつき十分程度と決まっている。俺達は体育館を後にし、運動場で他の競技の練習へと移るのだった。



昼休み、俺はスクールバッグを抱えて彼氏達と共に生徒会長室へ向かった。

「随分な荷物ですね、重箱弁当でも入れてるんですか? 私への」

「違うけどそんなに遠くもないかな」

鞄の中身は遊園地のお土産だ。クッキーなどお菓子があるので、食べ物というのは合っている。そんなことは知らないシュカは訝しげな目で俺を見ている。

「りゅーちゃん、頼みがあるんじゃが」

行き交う生徒達が次第に減っていく。校舎を移り、階段を上り始めたところでポンッと軽い音を立ててミタマが現れた。

「うわびっくりしたぁ! もぉ~! 急に出てこないでよコンちゃん!」

「す、すまん……もう人居らんからええかと思うて」

「階段はダメ! びっくりしたら危ないじゃん!」

「すまん……」

「まぁそない怒りなやハル」

「しぐしぐが必死に深呼吸してて可哀想なんだもん~。あんまり脅かさないでよ~?」

「頼みてなんですのん」

ハルはカンナの背をさすり、リュウは何も気にしていない様子でミタマに問いを返す。そんな彼らを見下ろし、シュカは深いため息をついた。彼も驚いていたらしい。

「像が届いたからの、本霊を作ろう思うて」

「あー……そういや祠作っとる言うとりましたなぁ」

「やっとくれ」

「……何をです?」

リュウの敬語の独特なイントネーションに耳が惹かれる。敬語なのにかしこまり過ぎてはいないような、そんな雰囲気がある。

「空っぽの像にワシを宿らせることを、じゃ」

「えっ……俺そんなん出来ませんて! 何を過大評価してはるんか知りませんけど俺ただ神主の孫に生まれただけで、なんも習てへんのです。祝詞の一つも出来やしまへん、神様の移動やなんてそんな……そんなん、出来へん」

昨日ミタマがリュウを家に呼べと言った時から気になっていたけれど、彼は具体的に何をリュウにさせたいのだろう。

「ねぇコンちゃん、リュウ呼んで何するの?」

「祠や神社の移設を見たことはないかのぅ、ああいう感じのじゃ。ワシも実際この目で見たことはないからやり方はよう分からん。じゃからりゅーちゃんに頼みたいんじゃが」

「俺も分からへんて……」

「そうか……じゃが急ぎでやって欲しいのじゃ、ひとまず来てくれんかの? よーつーぶでも見ながら何となくでやってくれて構わん」

「…………そない言いはんねやったら行きはしますけど、ご期待に添えしまへんやろから承知しといてくださいよ」

「なに、ヌシならきっとやれる」

ミタマはどこか狐らしさを感じる妖しい笑みを絶やさない。線のような細い目を更に細め、歪め、口角を吊り上げる。

「お久しぶりです、ネザメさんミフユさん」

生徒会長室の扉を開いて中で待つ愛しい彼氏達に笑顔を見せる。

「久しぶりとは大袈裟だな、鳴雷一年生」

「ミフユ、大袈裟だなんて決してそんなことはないよ。会いたかった、水月くん」

「一日千秋の思いでした……!」

ダメ元で両腕を広げてみるとネザメは目を見開き、それから伏し目がちになり亜麻色の睫毛で瞳を隠した。

「…………」

照れながら、躊躇いながら、ネザメはそっと俺の腕の中に収まり、俺の背に腕を回した。

「ネザメさんっ……!」

ハグに応えてくれたのが嬉しくて、恋する乙女のような切なげな表情が愛おしくて、抱き締める腕についつい力が入る。

「……っ、あ…………み、水月くん? その、腰……に、当たって……いるのだけれど」

ネザメの体温を味わううち、ネザメの髪の香りで肺が満ちるうち、俺の愚息は自然と勃ち上がりネザメの足の付け根の辺りにくい込んだ。

「…………ベルトの金具ですよ」

「……そういうことにしておいてあげるよ」

一歳歳上なだけなのに包容力を感じる優しい笑顔。俺の陰茎はますます元気にいきり立った。
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