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可愛過ぎるお土産 (水月+セイカ・ハル・ネザメ・ミフユ・リュウ・シュカ)
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昼食を食べ終えた後、俺はスクールバッグを開いて遊園地土産を配った。まずはクッキーなどのお菓子だ。ネザメとミフユには断られるかもと予想していたが、彼らは笑顔で受け取ってくれた。
「ミフユ……食べてもいいかい?」
しかしネザメに渡した分はミフユに渡された。続けて彼は箱を要求し、記載されている成分表を真剣な顔で読み始めた。無言のままクッキーを一つ齧って半分にし、よく味わって食べると、残り半分をネザメに差し出した。
「どうぞ、ネザメ様」
「ありがとうミフユ」
にっこり微笑んで受け取っている。ネザメにとっては日常的な行為のようだ。成分表を見るのはネザメに接種させるカロリーだとか栄養素だとかが決まっているからだろう、半分食べたのは許容量が半分だったからなのか? それとも毒味?
「絵柄可愛い~、食べんのもったいないかも」
「撮っといたらええやん」
「…………なぁ、鳴雷……俺昨日ももらったんだけど、いいの?」
クッキーに描かれたウサギの絵を愛でるハルを眺めていると、セイカが俺の肩をつついた。小さな声での質問はセイカらしく愛らしい。セイカに今渡したクッキーは彼氏達に配る流れでつい渡してしまったもの、つまり単なるミスだ。
「秘密だぞ」
だが今更セイカからクッキーを取り上げるのは心苦しい。俺は人差し指を立てて唇に当てた。
「……いいの? ありがとう……嬉しい」
「大袈裟だよ。本当にお菓子好きなんだな」
「好きだけど違う、クッキーもらえたから嬉しいんじゃなくて……あ、もちろんそれも嬉しいけど、でも、俺が嬉しいのは…………」
「……? セイカ?」
「性格、悪いかな。俺」
「なんで?」
セイカは黙り込んでしまった。嬉しく思った理由が性格の悪いことだった、ということだろうか? なんとなく予想が付いたな。
「大丈夫だよセイカ、話して?」
「……でも」
「中学の時に底見てるから今更セイカが何言っても失望しないって」
「………………それもそうか」
呆れたような、諦めたような、そんな表情だ。ちょっと言い方が悪かったかな。
「……俺だけってのが嬉しかった。贔屓されてるみたいで……鳴雷の、特別になれた気がして」
包装されたままのクッキーを握り締め、俯いたまま話してくれた。
「みたいとか、気がしたとか、それは違うよセイカ。その通りなんだから……な?」
「え……?」
「秘密、だからな」
「…………うん」
俺の彼氏達は平等な扱いを望むし、ハーレムを作る上でそれは絶対条件だ。誰かを特別扱いすれば他の彼氏達は抗議の声を上げる。しかしこっそりと自分だけが贔屓されるなら、押し黙って俺の寵愛に身を任せる。ハルやヒトなら自慢して回るだろうが、セイカは俺やアキ以外にあまり自分から話しかけないから秘密を守れる。
「他にもお土産あるぞー」
この贔屓でしばらくセイカの精神は安定するだろう。ポンと頭を撫でて立ち上がり、彼氏達の視線を集め、他の土産を配った。
「で、こっちはカミアから」
「カミアからのあるの!? ヤッバ……家宝にする……」
「ん……? あっ」
「どうした?」
「……アキのお土産、服の方……昨日渡すの忘れてた。服系はまとめて下に入れてたからなぁ……今日帰ったら渡さないと」
アキの好きなドクロがあしらわれた服を畳み直して鞄に入れた。
「っとそうだ、ハルにはカミアからメッセージ動画もあるぞ。今送るから見てくれ」
「えっ!?」
「……動画ちょっと時間かかるな。見る前に言ってくれ、ハルのリアクション撮って送ってって頼まれてるんだ」
「へっ? えっ、えぇ……?」
さて、動画の送信完了を待つ間に彼氏達のお土産へのリアクションでも見ていくかな。まずはカンナ、俺からのもカミアからのも両方服だ。カミアはウサミミフード付きの可愛らしい部屋着、俺は外にも着ていけるモノクロのシャツを選んだ。
「……! うさぎ…………みぃくん、あり……がと」
頬をほんのりと色付けて、嬉しそうに微笑んでいる。カミアには特に何も頼まれていないが、最愛の兄の反応を見たくない訳はない。撮っておこう。
「……!? な、で……撮っ……?」
さて、次はリュウだ。彼は物の趣味がよく分からないから選ぶのもカミアにアドバイスを求められたのも辛かったな。
「俺のんもウサギや、看板キャラなん?」
「あぁ、ハロウサランドって言って……なぁリュウ、お土産それでよかったか?」
「ん……? うん。おおきにな水月ぃ、使わせてもらうわ」
俺はカボチャとウサギ柄の定期入れ、カミアは魔女帽子を被ったウサギ型のシュガーポットを選んだ。リュウの表情から不満は読み取れない。
「……サキヒコくん、リュウの感情読める?」
「少し待て…………喜んでいるようだ」
土産をもらえて普通に喜んでいる? 男子高校生には可愛過ぎるデザインなのに? 喜んでもらえて嬉しいけれど、リュウの趣味はやっぱりよく分からないままだな。
「ハロウサ……聞いたことあるような気がします。見るのは初めてですが」
俺はシュカにはカトラリーセットを選んだ、カミアが選んだのはメガネケースとクロスだ。シュカはあまり物を喜ぶタイプではないから、実用性を考えてみた。
「フォークちょうど欲しかったんです、今使ってるの錆び始めていて……」
「それステンレスだから結構長持ちすると思うんだよな。ところで、カミアチョイスのメガネケース、どうだ?」
「……可愛過ぎて、ちょっと……普段使いは。寝る時にでも使います」
少し気まずそうな苦笑い。ウサギのグッズを贈られた男子高校生の反応って普通こうだよな。
「みっつーん……読み込み終わったぁ……こ、これ、カミアがっ、カミア……」
「落ち着け落ち着け、深呼吸。はい、吸って~……」
「すーっ……」
「吸って~……」
「すー……」
「吸って~」
「すっ…………無理! 吐かせてよもぉ!」
「ごめんごめん、でも落ち着いたみたいだな。リアクション撮らせてもらうぞ?」
「……うん」
ハルは改めて深呼吸をするとスマホを横に倒し、キッと目つきを鋭くしてから動画を再生した。
「ミフユ……食べてもいいかい?」
しかしネザメに渡した分はミフユに渡された。続けて彼は箱を要求し、記載されている成分表を真剣な顔で読み始めた。無言のままクッキーを一つ齧って半分にし、よく味わって食べると、残り半分をネザメに差し出した。
「どうぞ、ネザメ様」
「ありがとうミフユ」
にっこり微笑んで受け取っている。ネザメにとっては日常的な行為のようだ。成分表を見るのはネザメに接種させるカロリーだとか栄養素だとかが決まっているからだろう、半分食べたのは許容量が半分だったからなのか? それとも毒味?
「絵柄可愛い~、食べんのもったいないかも」
「撮っといたらええやん」
「…………なぁ、鳴雷……俺昨日ももらったんだけど、いいの?」
クッキーに描かれたウサギの絵を愛でるハルを眺めていると、セイカが俺の肩をつついた。小さな声での質問はセイカらしく愛らしい。セイカに今渡したクッキーは彼氏達に配る流れでつい渡してしまったもの、つまり単なるミスだ。
「秘密だぞ」
だが今更セイカからクッキーを取り上げるのは心苦しい。俺は人差し指を立てて唇に当てた。
「……いいの? ありがとう……嬉しい」
「大袈裟だよ。本当にお菓子好きなんだな」
「好きだけど違う、クッキーもらえたから嬉しいんじゃなくて……あ、もちろんそれも嬉しいけど、でも、俺が嬉しいのは…………」
「……? セイカ?」
「性格、悪いかな。俺」
「なんで?」
セイカは黙り込んでしまった。嬉しく思った理由が性格の悪いことだった、ということだろうか? なんとなく予想が付いたな。
「大丈夫だよセイカ、話して?」
「……でも」
「中学の時に底見てるから今更セイカが何言っても失望しないって」
「………………それもそうか」
呆れたような、諦めたような、そんな表情だ。ちょっと言い方が悪かったかな。
「……俺だけってのが嬉しかった。贔屓されてるみたいで……鳴雷の、特別になれた気がして」
包装されたままのクッキーを握り締め、俯いたまま話してくれた。
「みたいとか、気がしたとか、それは違うよセイカ。その通りなんだから……な?」
「え……?」
「秘密、だからな」
「…………うん」
俺の彼氏達は平等な扱いを望むし、ハーレムを作る上でそれは絶対条件だ。誰かを特別扱いすれば他の彼氏達は抗議の声を上げる。しかしこっそりと自分だけが贔屓されるなら、押し黙って俺の寵愛に身を任せる。ハルやヒトなら自慢して回るだろうが、セイカは俺やアキ以外にあまり自分から話しかけないから秘密を守れる。
「他にもお土産あるぞー」
この贔屓でしばらくセイカの精神は安定するだろう。ポンと頭を撫でて立ち上がり、彼氏達の視線を集め、他の土産を配った。
「で、こっちはカミアから」
「カミアからのあるの!? ヤッバ……家宝にする……」
「ん……? あっ」
「どうした?」
「……アキのお土産、服の方……昨日渡すの忘れてた。服系はまとめて下に入れてたからなぁ……今日帰ったら渡さないと」
アキの好きなドクロがあしらわれた服を畳み直して鞄に入れた。
「っとそうだ、ハルにはカミアからメッセージ動画もあるぞ。今送るから見てくれ」
「えっ!?」
「……動画ちょっと時間かかるな。見る前に言ってくれ、ハルのリアクション撮って送ってって頼まれてるんだ」
「へっ? えっ、えぇ……?」
さて、動画の送信完了を待つ間に彼氏達のお土産へのリアクションでも見ていくかな。まずはカンナ、俺からのもカミアからのも両方服だ。カミアはウサミミフード付きの可愛らしい部屋着、俺は外にも着ていけるモノクロのシャツを選んだ。
「……! うさぎ…………みぃくん、あり……がと」
頬をほんのりと色付けて、嬉しそうに微笑んでいる。カミアには特に何も頼まれていないが、最愛の兄の反応を見たくない訳はない。撮っておこう。
「……!? な、で……撮っ……?」
さて、次はリュウだ。彼は物の趣味がよく分からないから選ぶのもカミアにアドバイスを求められたのも辛かったな。
「俺のんもウサギや、看板キャラなん?」
「あぁ、ハロウサランドって言って……なぁリュウ、お土産それでよかったか?」
「ん……? うん。おおきにな水月ぃ、使わせてもらうわ」
俺はカボチャとウサギ柄の定期入れ、カミアは魔女帽子を被ったウサギ型のシュガーポットを選んだ。リュウの表情から不満は読み取れない。
「……サキヒコくん、リュウの感情読める?」
「少し待て…………喜んでいるようだ」
土産をもらえて普通に喜んでいる? 男子高校生には可愛過ぎるデザインなのに? 喜んでもらえて嬉しいけれど、リュウの趣味はやっぱりよく分からないままだな。
「ハロウサ……聞いたことあるような気がします。見るのは初めてですが」
俺はシュカにはカトラリーセットを選んだ、カミアが選んだのはメガネケースとクロスだ。シュカはあまり物を喜ぶタイプではないから、実用性を考えてみた。
「フォークちょうど欲しかったんです、今使ってるの錆び始めていて……」
「それステンレスだから結構長持ちすると思うんだよな。ところで、カミアチョイスのメガネケース、どうだ?」
「……可愛過ぎて、ちょっと……普段使いは。寝る時にでも使います」
少し気まずそうな苦笑い。ウサギのグッズを贈られた男子高校生の反応って普通こうだよな。
「みっつーん……読み込み終わったぁ……こ、これ、カミアがっ、カミア……」
「落ち着け落ち着け、深呼吸。はい、吸って~……」
「すーっ……」
「吸って~……」
「すー……」
「吸って~」
「すっ…………無理! 吐かせてよもぉ!」
「ごめんごめん、でも落ち着いたみたいだな。リアクション撮らせてもらうぞ?」
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ハルは改めて深呼吸をするとスマホを横に倒し、キッと目つきを鋭くしてから動画を再生した。
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