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アイドルの夢 (水月+カミア+サキヒコ)

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身体を清め終えたカミアをお姫様抱っこでベッドまで運んだ。後孔から精液を掻き出す際にも何度か絶頂を迎えたカミアはぐったりとしていて、俺の首に腕を回すこともなかった。

「ありがと……」

ただ、小さな声で話してはくれる。ベッドに横たわらせた彼に毛布を被せ、額にキスを落とした。

「おやすみ、カミア。俺シャワー浴びてくるから先寝ててくれ」

「……腕枕して欲しいなぁ」

「ん……じゃあ、起きててくれ。出来そうか?」

「うん、待ってる」

ベッドに敷いてあったタオルを片手に浴室へ戻る。タオルを洗い、素早くシャワーを浴び、すぐにカミアの元へ戻った。

「ただいま!」

「…………ぁ、みーくん……ふわぁ……」

かなり眠そうだ。

「腕枕させてくれ。ほらカミア、ここに頭乗せて」

「んー……」

重たそうな瞼を無理に開けているから面白い表情になっている、白目を剥くのが下手くそな人のようだ。アイドルのこんな顔、きっと俺しか見られないだろうな。

「…………みぃくんの、腕。ふとぉい……えへへ、食べごたえ、ありそー……ふふ」

俺の二の腕に頭を乗せ、顔のすぐ前に右手を置いて、揉んでいる。揉みながらなんとも猟奇的な発言をしてみせたカミアは緩んだ笑顔を浮かべている。

「怖いこと言うなぁ……」

まぁ、柔らかい筋肉を胡乱な頭で褒めただけなんだろうけど。

「みーくん……だいすき、おやすみ」

「……あぁ、おやすみカミア」

枕にさせていない方の手でカミアの頭を優しく撫でる。髪を梳いてもらうと心地よくて眠くなるとハルが言っていた、カミアにも試してみるか。

「ん……? ふふ……」

笑ってくれた。俺が眠るまで梳き続けていよう。



いつの間にか眠っていて、いつの間にか発進前のジェットコースターに乗っていた。

「……?」

異様なはずなのに不思議と焦燥感はない。まさかここは──

「ミツキ、失礼しているぞ」

「サキヒコくん」

──俺の夢の中なのか? 俺はジェットコースターに乗る夢を見ているのか、まぁ直近で一番強烈な記憶だけども。

「疲れているようだが、滅多に会えない者の夢が気にならないかと誘いに来た。どうする? 彼は今夢を見ているようだが……行ってみるか?」

「カミアの夢っ!? イイね……行こう行こう! あの、これ……どうやって降りるの?」

俺をジェットコースターに拘束する頑丈なベルトを指して言った。

「……一周してくれば外れるんじゃないか? じぇとこぅすたぁとはそういうものだろう」

そう言いながらサキヒコは俺の隣に腰を下ろし、ベルトを締めた。ほどなくしてピルルルル……とどこからか音が鳴る、ジェットコースター発進を知らせる音だ。

「水月の夢のじぇとこぅすたぁ、どんなものか楽しみだ」

「待ってヤダヤダ降ろして降ろしてぇーっ!」

俺の夢なのに何一つ俺の思い通りにはならず、恐ろしいジェットコースターを味わった。夢の中だからかレールが途切れていてジャンプとかしたような……

「はぁ、はぁ……ぉえっ」

一周して戻り停止したジェットコースターから降り、ふらつく。

「夢の中で嘔吐はしない方がいい、現実でもそうなりかねない……排尿や射精なども同様だ。夢において何かを吐き出すというのは危険だ」

「吐きまでは、しないけどっ……はぁ…………カミアの夢、行こうか。案内してくれる?」

「あぁ、こっちだ」

気を取り直して、サキヒコに手を引かれていく。夢を覗き見するなんてメッセージ履歴をこっそり見るよりも悪質な行為かもしれない、けれど好奇心は止められない。カミアはどんな夢を見ているんだ? そこに俺は居るのか?

「ん……? なんか暗いね」

カミアの夢へ移ったはずなのに、真っ暗だ。室内なのだろう、大勢の人のざわめきが反響している。体育館か? いやもっと広そうだ。

「わっ、何、眩し……」

突然一箇所が光る。舞台だ。そうか、これはライブなのか。

「仕事の夢かぁ。なんて言うか……カミアっぽい、のかな? ワーホリだよ」

「わぁほり」

「働かなきゃ働かなきゃって思ってる人のこと」

「……いいことではないか?」

「表向きはね。ただプライベート犠牲にしたり休まずにやってたら友達失くすし体調崩すんだよ」

起きてから寝るまでずっと仕事の中に居る、紅葉という主に仕える一族である年積家に生まれ、殉職を遂げたサキヒコには分からない話かもな。

「あれ……? 二人居る?」

夢の中の人間達は俺を認識することがない。俺はライブ客を押しのけて舞台へ進み、策を乗り越えて間近で舞台を眺めた。

「カミアが、二人……まさかこれどっちかカンナなのかな?」

「見分けがつかないのか?」

「今のカンナならつくんだけど、肉付き一緒だしなぁ……カミア、なんで今のカンナのぷにぷにボディを再現してないんだよ」

愚痴りながら眺めていると、二人のダンスのキレに違いがあると分かり始めた。

「……上手い方がカンナなのかも」

ダンスはカンナの方が上手いと、カミアはもちろんカンナも言っていた。

「カンナが一緒でカンナの方が上手いとか、ちょっと思うところはあるけど……ライブ最前列で眺められるのは最高だな。ハルに嫉妬されちゃうよ」

カミアのワーカーホリックっぷりや卑屈さを体感し、複雑な気持ちにはなるが素晴らしいライブであることに間違いはない。夢の中だからなのか、ワイヤーなしで飛び回ったりしてるし。

「……しかしモブのディテールが細かいな。シュカの夢とかモブのパターン少なかったよな? 同じ人いっぱい居てさ、容量の少ないゲームみたいになってた」

「同じ顔をした者は一人も居ないように見える」

「…………やっぱ記憶力えげつないな」

体感数十分ライブを眺めて休憩なのか終わりなのかカミア達が舞台袖に引っ込んでいったら舞台によじ登って後を追った。現実なら絶対に出来ないことだ。

「カンナ、カミア、お疲れ様!」

追っていった先には俺が居た。スタッフらしき衣装に身を包み、二人に水筒を手渡している。

「俺お手製ドリンクのお味は?」

「最高!」

「みぃくん大好き!」

こそばゆいような、偽物の俺が妬ましいような。

「ライブ後半も頑張れよ。終わったらホテルでたっぷり労ってやるから」

二人を抱き締めた俺は二人の尻を同時に揉みしだいている。

「アァーッ!? お前お前お前ぇ! そこ代われェ! 俺が本物だぞカンナカミアぁ!」

「お、落ち着け水月! 他人の夢には干渉出来ない、前に説明しただろう。よかったではないか、夢に見るほど愛しく思ってもらえている証拠だぞ」

「代われ貴様ァア……顔だけのくせに、顔だけのくせにぃっ」

「……もう帰ろうか。早く休まねばな」

「やだライブ最後まで見る! 俺と二人のライブお疲れ様3Pも見る!」

「代われと騒がないなら……まぁ」

そう約束した俺はライブを最後まで見ることが出来たが、楽屋でイチャつき始めた三人に対してまた喚き散らしたため、サキヒコにより強制退場の運びとなった。
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