冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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忘れて欲しい (水月+カンナ・カサネ)

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カンナと共にシャワーを浴び、持ってきておいた服を着て、乾いた髪にワックスを塗ってセットする。

「……よし、完璧」

「かみ、が……変え、の?」

「色んな俺が見られて嬉しいだろ?」

「ぅん……うれ、しぃ」

「それよりカンナ、なんか辛そうな顔してるけど……どうしたんだ? 太腿とか筋肉痛になっちゃった?」

「お、なか……痛、ぃ」

「ごめんなさい!」

深くに中出しをして、掻き出さずに寝落ちしてしまった俺の失態だ。思わずその場で土下座した。

「……!? み、くんっ? な、で……あやま、の? ゃめ、てっ」

優しいカンナは俺に顔を上げさせてくれる。

「はだか、で……ねちゃ、た……から、かも…………みぃ、くん……は? だい、じょぶ?」

「俺は健康体だよ……ごめんなカンナぁ、後始末出来なくなるまでヤるとか男失格だ」

騎乗位の体位のまま動いたからか、ちょっと腰痛いかも。まぁ大したことはない、シュカに昼間搾られた後、アキに夜通し求められた時よりはずっとマシだ。

「も、あやま……な、て……いい、からぁ……みんな、とこ……行こ?」

「あぁ、そうだな。カンナは先にみんなのとこ行ってくれるか? 俺カサネ先輩起こしてくるよ」

「ぅん……ちょ、と、さみし……けど、がんばる」

「はぁんかわゆいカンナたん! 嘘だよ一人にしないよぉ一緒に行こぉ?」

「……? ひと、りで……行け、るよ?」

「俺が無理だから一緒に行こっ」

不思議そうな顔をするカンナを連れて、カサネが居るはずの部屋へ。昨日パーティをした部屋の隣、犬達用に整えられた部屋だ。そっと扉を開け、柔らかい床を踏む。

「もぉ~イヤイヤしないの! イヤイヤちない! お顔ふきふきイヤイヤじゃないよ! は~いふきふき…………うわくっせ! 顔臭っ、たまんねっ。くちゃくて可愛いでちゅね~フランクたん」

カサネはもう起きていた、犬と戯れているようだ。

「ん? どちたのふーたんどこ行く、の……」

俺達に気付いたパグ犬がカサネの傍を離れ、俺達の元へやってくる。カサネはパグ犬を追って振り返り、俺達を見て硬直した。俺もかける言葉が見つからず、動くことも出来ず、部屋の中で唯一動いているのは俺達の足の周りをぐるぐる回るパグ犬だけとなった。

「…………えっと」

パグ犬が吠える。威嚇ではないようだ、カンナがしゃがんで背を撫でると腰を下ろし、舌を出して尻尾を振った。懐っこいなぁ。

「……パグって、ワンじゃなくてオウって鳴くんですね」

「…………パグに、よるよ」

「あ、ですよね」

「フランクだって、ワンって鳴くことは、まぁ……あるかも、だし」

聞いたことないんだな。

「ふー……鳴雷くん、カンナちゃん…………オブリビエイト!」

「……カサネ先輩はノーマジのようですね」

「忘れろ忘れろ忘れろビィームッ! ちくしょう! ノックしろよバカァ! 何ぬるっと入ってきてんだっ! こ、この先お前らと山登りすることがあって……お前らが崖に立った時に、この手はお前らを押ささってしまうかもしれねぇ……でも許してくれるよな、押ささっちまっただけなんだから、わざと押そうだなんて、そったらつもりはなかったんだから……」

「殺害予告じゃないですか! 誰にも言いませんよ。な、カンナ」

「ぅん……ぼく、も……ぷー太、と……はな……時、そ、なっちゃ……時、ある……し」

「……ぷぅ太?」

「うさ、ぎ……飼って、の……ぼく」

「へぇー……! 写真とかある?」

おっ、ペット飼い同士で打ち解けてくれるか? ペットに赤ちゃん言葉で話しかけてしまうのは飼い主あるあるなのかな、ミフユはそういうことしてなさそうだけど、どうなんだろう、しているのなら是非見たい。

「この、子……白、うさぎ」

カンナはカサネに飼っているウサギの写真をスマホで見せている。

「へぇー、可愛い……」

「……フランク、ちゃん……うさぎ、食べ、な……よね? メープル、ちゃん……怖、けど……フランクちゃん、なら」

「えぇ? いや、どっちかっつぅと賢いボーダーコリーのがマシだと思うべ……フランクは大人しいし、まぁ食べたりなんてぜってぇしねぇと思うけど……」

「…………あぶ、な……の?」

「いや大丈夫だとは思うけどな? そもそも犬と育ってきてねぇウサギを急に犬に会わせるのは、やめた方がいい。環境変えんのはどの生き物でもよくねぇ」

「……そ、か。ぼく……みぃくん、の……おかげで、友達……増えた、から……ぷぅ太も、て……思った、けど……ぅん、やめとく……ありが、と。くー、さん」

「あぁ……えっ、くーさんって俺のこと?」

「うん」

繰言、だからかな?

「……そ、そっか。へへ……あだ名、なんか仲良くなったみてぇでいいな。カンナちゃん、カンナちゃん……んなちゃん?」

「ふわふわのぬいぐるみって感じですね」

「…………思い付かねぇから、カンナちゃんでいいか」

「……先輩、俺みたいにくん付けの時とちゃん付けの時ありますけど、どういう区別なんです?」

セイカにはちゃん付けだったな、ハルにもだったか。一体どんな判断基準があるのだろう。

「雄々しいのと、女々しいの……」

「……じゃあ先輩的には自分はカサネちゃんなんですか?」

「えっ!? 俺ちゃんと男っぽいべ!? ハルちゃんとかカンナちゃんみたいに可愛くねぇべさ」

「ハルやカンナやレイは分かりますけど、セイカは刈り上げですし……あんまり女の子っぽくないかと」

「細ぇし、物腰柔らかいから……」

「細いが基準ならやっぱりカサネちゃんじゃないですか」

「いや俺肩幅あるべ」

「ねぇよ」

カサネは骨格からして華奢だ。細身かつメス堕ちしきった肉付きをしているだけで骨格は立派なレイとは違う。

「まぁ、今回は俺が聞きましたけど……あんまり女々しいとか言わないでくださいね、気にする子も居るかもなので」

「あ、そっか……えと、カンナちゃん、不快に思ったりした? 変な意味じゃなくて、その、可愛い系かカッコイイ系かで言ったら可愛い系かなっつーか、そんなふわっとした基準だから……」

「……ぼく、みぃくんの…………だから、女の子っぽくて、大丈夫」

「そ、そかっ、ならいいんだ、これからも……よろしく?」

「ぅん……よろしく、くーさん」

共に気弱で口下手な彼らの交流はぎこちないものになるかと予想していたが、案外仲良くなれたようだ。人見知り同士だからこそ上手くいくこともあるのだな。新たな知見を得た俺は気配を殺して二人のやり取りを眺め、楽しんだ。
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