冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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肉体美とエロス (水月+セイカ・アキ・カサネ・ミフユ・シュカ・ハル)

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散歩を終え、室内へ戻る。ミフユはボーダーコリーの、カサネはパグ犬の足をそれぞれ拭いている。

「そろそろ夕飯が出来ている頃だ。汗を拭いたら昼にパーティをした部屋と同じところへ来ておくれ」

俺、カサネ、アキ、セイカの犬の散歩に付き合った四人は脱衣所へ行き、湿らせたタオルで身体を拭った。お揃いになってしまうけれど、換えのシャツも用意されている。素晴らしい、高級ホテルに泊まっている気分だ。

「ぁ、秋風くん……バッキバキだべ」

「アキ、すごい身体してますよね。でも先輩、一番セクシーな男の体型は俺くらいじゃないですか? 見てください、このギリシア彫刻のような肉体美を」

上半身裸のまま身体を捻り、ポーズを決める。アキが小さく拍手をした。

「ギリシャの彫刻って全部アレが小さいよな」

「ぶー! 俺は今筋肉の話をしています!」

両手で大きくバツ印を作りながら言った。セイカは「うわぁキッツ」とでも言いたげな顔で俺を見ている。

「ごめん鳴雷くん。俺……その、まだ……男の身体に……セクシーさ? とか感じねぇ」

「大丈夫だぞ繰言、俺も感じてない」

「あっ、さ、早苗ちゃんも? 付き合い長そうなのに……そ、そっか、そんなもんだよね」

「嘘はよくないぞセイカ、感じるだろ」

「感じてない」

「俺をエロい目で見てるだろ!」

「見てない」

「見ろよ! エロい目で!」

既に着替えに袖を通しているセイカにずずいっと近寄り、肉体美を見せつける。じりじりと後退していくセイカを追い詰めて壁に手をついた。

「おぉ……壁ドンだべ、隣がうるさいからする方じゃない方の壁ドンだべ」

元ノンケで抱かれる側だと男の身体に興奮しないものなのだろうかと諦めかけたその時、セイカが俯いた。その頬はゆっくりと赤くなっていく。

「っしゃあ照れたなセイカ! エロい目で見ただろ、俺を! このえっち、ケダモノ!」

「鳴雷くんのノリが分かんねぇべ。顔に照れたのか身体に照れたのか分かんねぇし」

「あっそっか……顔の可能性もあるのか。セイカ、なんで今顔赤くしたんだ?」

尋ねるとセイカはますます頬を赤らめる。そりゃそうだ、照れた理由なんて話したくないだろう。話せるなら照れたりしない。

「……セーイカ、教えて? 俺にだけでもいいから」

耳を近付けるとセイカは諦めた様子で俺の耳に手を添えた。震える声が抱いた感情を説明してくれる。

「す、する時と……景色が、似てて……思い出して」

「…………確かに壁ドンは正常位の時と似た光景になるかも」

「大声で言うなバカぁっ! せっかくお前にだけ話したのに……! クソっ、悪かったな下品で!」

「ご、ごめん。そんな下品だなんて、えっちで可愛いよ」

「……え、何、どういうこと?」

童貞処女のカサネには俺達の会話を理解出来なかったようだ。

《早く飯行こうぜ~?》

呆れた声色に振り向けば、着替え終えたアキが壁にもたれていた。俺と目が合うとため息をつき、顔を赤くしているセイカを抱えた。

「鳴雷、そろそろ行こうって」

「あ、あぁ……すぐ服着るから待ってくれ」

慌てて服を着て、アキを追って脱衣所を出た。カサネは俺の斜め後ろを着いてくる、隣に並べばいいのに。

「晩ご飯なんでしょうね」

「さぁ……」

カサネは酷く痩せていた。肋骨の浮き具合は昔話に出てくる洗濯板を思い出させ、食欲を湧かせてやりたくなる。

「カサネ先輩、さっきはイクラ食べてたって聞きましたけど、イクラ好きなんですか?」

「ん……まぁ」

「またあるといいですね」

「お前ホント……はぁ…………あぁそうだな、あるといいな」

俺に食事を勧められるのにも慣れてきた様子だ。このまま俺に勧められるがままに食事を摂るのも習慣になればいい。



夕飯は昼と同じ形式で、献立もさほど変わりなかった。まぁ、あらゆる物が用意されているのだから、献立も何もないのだけれど。

「……年積さん、タッパー持ってませんか? 私のもう全部詰めちゃって」

「まだ持ち帰りたいのか? 貴様の家の冷蔵庫は業務用か?」

「残ったらもったいないじゃないですか」

「…………タッパーはない。諦めるんだな」

「……さっき詰めたの食べて新しく詰めた方が日持ちしますかね?」

「数時間しか変わらん! いい加減にしろ!」

シュカはプレートに食事を山盛りにしつつ、ミフユにお持ち帰りの方法を相談している。タッパー十個分ではまだまだ物足りないらしい。

「にーにぃ、お肉食べるするです」

野菜ノルマのためのサラダを食べ終え、肉か魚を取りに行こうと立ち上がるとアキが腕に抱きついてきた。このところセイカに張り付いていた彼が一人で俺のところに来るのは珍しい、胸が高鳴る。

「アキ……! お肉食べたいのか? よしよし、行こうなぁ」

セイカはどうしているんだろう。

「アンタ絶対これ食べた方がいいって、肌質改善したいって言ってたじゃん!」

「酸っぱい……」

ハルに世話焼かれてらぁ。一時険悪だった彼らだけれど、今はもう仲良くなったと見ていいのかな?

「あと貧血っぽいからレバーね」

ハルはあまり自由に歩けないセイカの代わりに食事を取ってきてあげている。アキに抱えて動き回られるのと、取ってきてもらうのどっちがいいんだろう。

「えぇ……レバーやだ……なんだよ貧血っぽいって、鳴雷に聞いたのか?」

「見た目」

「……い、いや、俺、手足ちょっと短いからその分血は要らなくて」

「貧血は血そのものの量じゃなくて鉄分とかの話! 血が貧しいんじゃなくて貧しい血なの、アンタなら知ってんでしょ!」

「レバーむり……やだ……おえってなる」

「ワガママ言わない」

「はぁ~……お母さんに似てる」

「最大級の悪口じゃん! アンタの母親のヤバさは聞いてるよ俺!」

セイカ自身はアキに抱えてもらってでも自分で取りに行った方がいいと思っているかもしれないな。
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