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構われても構われなくても (水月+ネザメ・カンナ・カミア)
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フタはヒトが、サンはハルが世話をしてくれている。アキとセイカは互いに支え合っているし、他に助けが必要な彼氏は居ない……かな? カサネは歌見とレイと上手く打ち解けられたようだ、まだゲームの話に花を咲かせている。俺も混ざりたい。
(わぉ、山盛り取ってますなシュカたま)
ほくほく笑顔のシュカが俺の横を通って席に戻っていく。シュカはリュウと一緒に居たはずだが、リュウは?
(フライコーナーに居ますな。揚げ物好きなんでしょうか)
そういえば彼氏達の食べ物の好み、あんまりちゃんとは知らないなぁ。俺にあまり好き嫌いがないから気にならないんだよな、けど好き嫌いが激しい子も居るだろうから把握しておかないと。今回は紅葉家開催のパーティだけど、鳴雷家で開催する日も必ず来る訳だし、俺はこんなバイキング用意出来ないから彼氏達の好物を狙い撃ちしないといけない。
(直接聞くのもいいですが、せっかくのバイキングなので取っている物から把握するのがスマートですな)
しかしもうみんな席に着いてしまった。今立っているのは俺と、カンナとカミアの双子達だけだ。ずっと腕組んでるなぁ、あの二人。
「お兄ちゃんお兄ちゃんっ、チーハンあるよ」
「……! ほんとだ。でかした」
一緒に歩いているのにカミアだけが気付くなんて、やっぱりあの髪型は視界が狭いのかな?
「えへへ」
「カミアは? チーハン、取らないの?」
カンナが普通にスラスラ話せているのは貴重な光景だ。普段小声かつ言葉に詰まっているのは俺を前にして照れているからだと聞いた、だからカンナがちゃんと喋っているところを見るには、俺がカンナに気付かれていないことが条件なのだ。
「チーハンかぁ……久しぶりに食べたいけど、カロリーがなぁ」
俺は普段ハッキリと聞こえないカンナの可愛らしい声を堪能するため、気配を殺して彼らにゆっくりと忍び寄った。二人の会話が一言一句逃さず聞ける距離まで近付くことが出来た。
「……カミア」
「だから僕の分まで好きな物食べてよ、お兄ちゃん」
「カミア……アイドルはね、カロリーの話なんてしないの」
「……え? そ、そうかな、気にしなきゃいけない職業だと思うけど」
「アイドルはね、トイレなんて行かないし、ダイエットなんてしないの」
「そんなの人間じゃないよぉ……」
「チーハン見つけておいて食べないなんて人間じゃない」
カンナはチーズ入りハンバーグを強引にカミアの皿に入れた。カミアはカロリー超過だ何だと文句を言いながらも、その頬は緩んでいた。
(ステーキもう食べましたし……今日は肉はもうダメですな。サラダ取っとこ。お、やった、クルトン入りですぞ)
サラダを皿に少し取って席に戻ろうとするも、俺が先程座っていた席は埋まっている。
「水月くん、こっちこっち」
空いている席を探しているとネザメに呼ばれた。
「失礼します」
「せっかく誕生日なのだから水月くんに隣に座って欲しくて、空けておいたんだ」
「そうなんですか……すいません気が利かなくて。パーティの主役の傍に居るべきですよね」
「その通りだよ、全く……僕を放ったらかしにして。妬けてしまうなぁ、君は今誰に夢中なんだい? 新しい繰言くん? 今日一番スキンシップの多いフタさんかな」
「今、ですか……今ならネザメさんですね」
僅かに目を見開いたネザメの頬を撫でる。じわじわと赤く、熱くなっていく柔らかい頬、滑らかな肌はどれだけ触れていても飽きない。
「俺の席取っててくれて、可愛いヤキモチ聞かせてくれた、あなたに今は夢中です」
「……ずるいよ、水月くん」
「ネザメさん何食べてるんですか? ぁ、点心ですか、いいですねぇ」
「ぅう……そ、その美しい笑顔を、僕だけに向けるのは……ダ、ダメ、だよ。耐えられない……だめ、僕だけを見つめないで、水月くん……」
潤んだ瞳のままうつむき加減になるその仕草こそズルい。
「ほったらかしたら拗ねるくせに、構ったら嫌がるだなんて、俺は一体どうすればいいんですか?」
「放って置かれるのは嫌だよ、でも……でもぉ、そんな、真っ直ぐに見つめられたら、僕……! おかしくなってしまうよ」
「いいじゃないですか、少しおかしくなっても。いつも御曹司として頑張ってらっしゃるんですから……ね? 俺と居る時くらいは気を抜いて、心の赴くままに過ごしてください」
「べ、別に紅葉家の跡取りとしての振る舞いを気にしている訳ではなくてだね……単に、その、君があまりにも美しいから……胸が、苦しくて、食事も飲み物も何も喉を通らなくなってしまっているんだよ」
「そんなに俺にときめいてくれてるんですね、嬉しい……ネザメさんすっごく可愛い人ですよね。もっと深く触れ合いたいなぁ……」
太腿の上にそっと手を置くとネザメはいよいよ耳まで真っ赤になった。照れた顔が見たくて覗き込もうとしたが、ネザメは手で顔を隠してしまう。顔の下半分しか見えなくなった。
「み、水月っ……くん……だ、め……だめ、今僕の顔、見ないで……」
「ネザメさん……分かりました、そんなに俺のこと気になっちゃってたら食事になりませんもんね。スキンシップは控えます、今は」
「…………今、は?」
「また後で、たっぷり。ふふ……食べ過ぎちゃダメですよ、軽い運動をすることになるかもしれませんから」
肩に腕を回して抱き寄せて、頬にキスをする。食事中のネザメへのスキンシップはひとまずこれで終わりにしよう、これ以上やったらネザメが倒れてしまう。
(わぉ、山盛り取ってますなシュカたま)
ほくほく笑顔のシュカが俺の横を通って席に戻っていく。シュカはリュウと一緒に居たはずだが、リュウは?
(フライコーナーに居ますな。揚げ物好きなんでしょうか)
そういえば彼氏達の食べ物の好み、あんまりちゃんとは知らないなぁ。俺にあまり好き嫌いがないから気にならないんだよな、けど好き嫌いが激しい子も居るだろうから把握しておかないと。今回は紅葉家開催のパーティだけど、鳴雷家で開催する日も必ず来る訳だし、俺はこんなバイキング用意出来ないから彼氏達の好物を狙い撃ちしないといけない。
(直接聞くのもいいですが、せっかくのバイキングなので取っている物から把握するのがスマートですな)
しかしもうみんな席に着いてしまった。今立っているのは俺と、カンナとカミアの双子達だけだ。ずっと腕組んでるなぁ、あの二人。
「お兄ちゃんお兄ちゃんっ、チーハンあるよ」
「……! ほんとだ。でかした」
一緒に歩いているのにカミアだけが気付くなんて、やっぱりあの髪型は視界が狭いのかな?
「えへへ」
「カミアは? チーハン、取らないの?」
カンナが普通にスラスラ話せているのは貴重な光景だ。普段小声かつ言葉に詰まっているのは俺を前にして照れているからだと聞いた、だからカンナがちゃんと喋っているところを見るには、俺がカンナに気付かれていないことが条件なのだ。
「チーハンかぁ……久しぶりに食べたいけど、カロリーがなぁ」
俺は普段ハッキリと聞こえないカンナの可愛らしい声を堪能するため、気配を殺して彼らにゆっくりと忍び寄った。二人の会話が一言一句逃さず聞ける距離まで近付くことが出来た。
「……カミア」
「だから僕の分まで好きな物食べてよ、お兄ちゃん」
「カミア……アイドルはね、カロリーの話なんてしないの」
「……え? そ、そうかな、気にしなきゃいけない職業だと思うけど」
「アイドルはね、トイレなんて行かないし、ダイエットなんてしないの」
「そんなの人間じゃないよぉ……」
「チーハン見つけておいて食べないなんて人間じゃない」
カンナはチーズ入りハンバーグを強引にカミアの皿に入れた。カミアはカロリー超過だ何だと文句を言いながらも、その頬は緩んでいた。
(ステーキもう食べましたし……今日は肉はもうダメですな。サラダ取っとこ。お、やった、クルトン入りですぞ)
サラダを皿に少し取って席に戻ろうとするも、俺が先程座っていた席は埋まっている。
「水月くん、こっちこっち」
空いている席を探しているとネザメに呼ばれた。
「失礼します」
「せっかく誕生日なのだから水月くんに隣に座って欲しくて、空けておいたんだ」
「そうなんですか……すいません気が利かなくて。パーティの主役の傍に居るべきですよね」
「その通りだよ、全く……僕を放ったらかしにして。妬けてしまうなぁ、君は今誰に夢中なんだい? 新しい繰言くん? 今日一番スキンシップの多いフタさんかな」
「今、ですか……今ならネザメさんですね」
僅かに目を見開いたネザメの頬を撫でる。じわじわと赤く、熱くなっていく柔らかい頬、滑らかな肌はどれだけ触れていても飽きない。
「俺の席取っててくれて、可愛いヤキモチ聞かせてくれた、あなたに今は夢中です」
「……ずるいよ、水月くん」
「ネザメさん何食べてるんですか? ぁ、点心ですか、いいですねぇ」
「ぅう……そ、その美しい笑顔を、僕だけに向けるのは……ダ、ダメ、だよ。耐えられない……だめ、僕だけを見つめないで、水月くん……」
潤んだ瞳のままうつむき加減になるその仕草こそズルい。
「ほったらかしたら拗ねるくせに、構ったら嫌がるだなんて、俺は一体どうすればいいんですか?」
「放って置かれるのは嫌だよ、でも……でもぉ、そんな、真っ直ぐに見つめられたら、僕……! おかしくなってしまうよ」
「いいじゃないですか、少しおかしくなっても。いつも御曹司として頑張ってらっしゃるんですから……ね? 俺と居る時くらいは気を抜いて、心の赴くままに過ごしてください」
「べ、別に紅葉家の跡取りとしての振る舞いを気にしている訳ではなくてだね……単に、その、君があまりにも美しいから……胸が、苦しくて、食事も飲み物も何も喉を通らなくなってしまっているんだよ」
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