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パーティ開始! (水月+カサネ・ネザメ・アキ・セイカ・リュウ・シュカ・歌見・ヒト・フタ・サン)
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犬同士で遊んだりするところを見てみたかったのだが、そう上手くはいかなかった。見られたのは尻を嗅ぎ合うちょっと気まずい光景だけ。
「……仲良く出来そうでよかった」
「そうなんですか? 全然遊んでませんけど」
「ぇ……あっ、あぁ、匂い、か、嗅がせてくれたからっ……好感触。ぁ……遊んでなきゃ上手くいってなさそうとか小学校の先生的価値観なんですけどっ、目線外して同じ空間に居られるってだけで犬的にはだいぶ相性いい……」
「へー……メープルちゃんの方はなんか、寂しそうというか気まずそうというか、そんな感じですけど」
他人の家で躊躇なく寝る初対面の相手を起こすのには勇気が必要だろう。前足を上げては下ろしたり、微かな声でクゥンと鳴いたり、なんだか構ってやりたくなる仕草を見せている。
「フランクも遊ぶの嫌いって訳じゃないから、気が向いたら遊ぶと思うべ……ぁ、そ、そろそろ部屋戻るっ? 俺待ってたんだよな……ほっときゃいいのに。ごっ、ごめんな? 腹減ってるよなっ」
「ゃ、大丈夫ですけど……そうですね。戻りましょうか」
「犬置いてくの~?」
「毛が舞っちゃうので、ご飯の間はこっちに居させるみたいです」
「ふーん……んじゃイチニィミィもこっち居る?」
フタが肩の上や足元に目線をやる。当然、そこには何もない。いや、俺には何も見えていない。
「居なよ~。でっかい方の犬なんかおたおたしてるし、遊んであげな? ね? うん……いい子いい子。適当に戻ってきなね~?」
何もないところを撫で、手を振る。そんなフタの様子をハルとヒトは不審そうな目で見つめている。
「……戻りましょうか」
「うん、行こ~」
フタが俺の腕を抱く。ハッとしてヒトが俺の腕からフタを剥がし、ハルが反対側の腕に抱きつく。カサネは数歩後ろをとぼとぼと着いてきている。腕が片方余ってしまったな、ヒトはフタを剥がしたくせに抱きついては来ないのか?
「たっだいま~」
ごちゃごちゃ考えているうちに着いてしまった。ヒトを誘うことも、フタを呼び戻すことも出来ないまま、ハルが俺の腕を離して他の彼氏達の元へ駆ける。
「おかえり、水月くん達。じゃあそろそろ始めようか、みんな集まって。半立食のようになってしまうだろうから、席決めで揉めないでね。その時々で変えていいものだから」
部屋の中心に集まり、ネザメの話を聞く。
「……では、いただきます」
「いただきまーす!」
散らばり、各々好物を探しに行く。俺は……何を取ろうかな。とりあえず見回って、何があるのか見て、何をどれくらい食べるか考えよう。
《ステーキ焼いてくれ、二人分!》
「ステーキお願いします、二人前」
「部位と焼き加減はどうします?」
《焼き加減どうするって》
《フィレ、よく焼いてくれ》
アキは早速ステーキを注文か。セイカも傍で翻訳してくれているみたいだな。ステーキは絶対食べたい……でも、一番最初ってのもなぁ。
「しゃけちょーだい」
「すみません、サーモンとコハダを……あぁ、フタ……この子、サーモンばっかり食べるので、多めに切っておいてあげてください」
ヒトはフタを連れて寿司……寿司も欲しいな、マグロ食べたい。
「え、一発目からカレー行くん? アホやん、カレーなんかその後何食うてもカレーやん」
「いいでしょう別に何から食べても。あ、トンカツ……カツカレーにしましょう」
「あ、トンカツは俺も欲しい」
トンカツもあるのか。イイな。でもステーキも食べる予定だし……どっちかにしておかないとカロリーが心配かも。
「ここは、えー……中華料理ですね。点心、春巻き、炒飯もあります。こっちは……麻婆豆腐です」
「中華かぁ……んー、次のテーブル行こっか」
「はい……」
歌見はサンに肩を掴まれ、案内と料理の説明をさせられている。誰かがやらなければいけないことだが、大変そうだなぁ。
「……先輩、見に行かないんですか?」
席に座ってボーッとしているカサネに声をかける。
「お前だってまだ何も取ってないじゃん」
「バランス考えようと思って、全部見てから決めようかと……先輩も行きましょ、食べるでしょ?」
「俺は……」
「カサネ先輩、好物は何ですか?」
無理矢理立たせて腕を組み、強引に連れて行く。
「スープとかどうです? ポタージュありますよ、こっちはコーンで……こっちは、ジャガイモかな?」
「…………お前本当に彼氏多いんだな。人数は聞いてたけど、実際見ると……やっぱ違うべ」
「肉焼いてる人と寿司握ってくれる人は違うよ」
「それは何となく分かる……あの、なんか、デカい人達も?」
「ヒトさんフタさんサン? そうだよ。あの人達だけ大人で……ゃ、歌見先輩もこないだ成人したから、先輩もですね」
「どれが誰だか」
「一通り取ったら席に戻って自己紹介タイム入る予定なので」
「あぁそ……ん? 待って待ってえっなんか見たことあるっ……えっあれカミアじゃない!? ねぇカミア居ない!?」
「あっ」
「えっ!?」
カンナと腕を組んでいるカミアをカサネが見つけた途端、ヒトもカミアを見つけて大声を出す。突然指を差され驚いたのかカミアはカンナの背後に隠れてしまった。
「……仲良く出来そうでよかった」
「そうなんですか? 全然遊んでませんけど」
「ぇ……あっ、あぁ、匂い、か、嗅がせてくれたからっ……好感触。ぁ……遊んでなきゃ上手くいってなさそうとか小学校の先生的価値観なんですけどっ、目線外して同じ空間に居られるってだけで犬的にはだいぶ相性いい……」
「へー……メープルちゃんの方はなんか、寂しそうというか気まずそうというか、そんな感じですけど」
他人の家で躊躇なく寝る初対面の相手を起こすのには勇気が必要だろう。前足を上げては下ろしたり、微かな声でクゥンと鳴いたり、なんだか構ってやりたくなる仕草を見せている。
「フランクも遊ぶの嫌いって訳じゃないから、気が向いたら遊ぶと思うべ……ぁ、そ、そろそろ部屋戻るっ? 俺待ってたんだよな……ほっときゃいいのに。ごっ、ごめんな? 腹減ってるよなっ」
「ゃ、大丈夫ですけど……そうですね。戻りましょうか」
「犬置いてくの~?」
「毛が舞っちゃうので、ご飯の間はこっちに居させるみたいです」
「ふーん……んじゃイチニィミィもこっち居る?」
フタが肩の上や足元に目線をやる。当然、そこには何もない。いや、俺には何も見えていない。
「居なよ~。でっかい方の犬なんかおたおたしてるし、遊んであげな? ね? うん……いい子いい子。適当に戻ってきなね~?」
何もないところを撫で、手を振る。そんなフタの様子をハルとヒトは不審そうな目で見つめている。
「……戻りましょうか」
「うん、行こ~」
フタが俺の腕を抱く。ハッとしてヒトが俺の腕からフタを剥がし、ハルが反対側の腕に抱きつく。カサネは数歩後ろをとぼとぼと着いてきている。腕が片方余ってしまったな、ヒトはフタを剥がしたくせに抱きついては来ないのか?
「たっだいま~」
ごちゃごちゃ考えているうちに着いてしまった。ヒトを誘うことも、フタを呼び戻すことも出来ないまま、ハルが俺の腕を離して他の彼氏達の元へ駆ける。
「おかえり、水月くん達。じゃあそろそろ始めようか、みんな集まって。半立食のようになってしまうだろうから、席決めで揉めないでね。その時々で変えていいものだから」
部屋の中心に集まり、ネザメの話を聞く。
「……では、いただきます」
「いただきまーす!」
散らばり、各々好物を探しに行く。俺は……何を取ろうかな。とりあえず見回って、何があるのか見て、何をどれくらい食べるか考えよう。
《ステーキ焼いてくれ、二人分!》
「ステーキお願いします、二人前」
「部位と焼き加減はどうします?」
《焼き加減どうするって》
《フィレ、よく焼いてくれ》
アキは早速ステーキを注文か。セイカも傍で翻訳してくれているみたいだな。ステーキは絶対食べたい……でも、一番最初ってのもなぁ。
「しゃけちょーだい」
「すみません、サーモンとコハダを……あぁ、フタ……この子、サーモンばっかり食べるので、多めに切っておいてあげてください」
ヒトはフタを連れて寿司……寿司も欲しいな、マグロ食べたい。
「え、一発目からカレー行くん? アホやん、カレーなんかその後何食うてもカレーやん」
「いいでしょう別に何から食べても。あ、トンカツ……カツカレーにしましょう」
「あ、トンカツは俺も欲しい」
トンカツもあるのか。イイな。でもステーキも食べる予定だし……どっちかにしておかないとカロリーが心配かも。
「ここは、えー……中華料理ですね。点心、春巻き、炒飯もあります。こっちは……麻婆豆腐です」
「中華かぁ……んー、次のテーブル行こっか」
「はい……」
歌見はサンに肩を掴まれ、案内と料理の説明をさせられている。誰かがやらなければいけないことだが、大変そうだなぁ。
「……先輩、見に行かないんですか?」
席に座ってボーッとしているカサネに声をかける。
「お前だってまだ何も取ってないじゃん」
「バランス考えようと思って、全部見てから決めようかと……先輩も行きましょ、食べるでしょ?」
「俺は……」
「カサネ先輩、好物は何ですか?」
無理矢理立たせて腕を組み、強引に連れて行く。
「スープとかどうです? ポタージュありますよ、こっちはコーンで……こっちは、ジャガイモかな?」
「…………お前本当に彼氏多いんだな。人数は聞いてたけど、実際見ると……やっぱ違うべ」
「肉焼いてる人と寿司握ってくれる人は違うよ」
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