冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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観光どこ行く?

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セイカについて少々不安なことを聞いたし、アキの生まれや体質はあまりちゃんと理解してもらえなかったようだった。けれどまぁとりあえずのところは、リュウのご両親からの印象はいい。まずまずの結果と言えるだろう。超絶美形だから当然のことだが。

(じわじわ信頼を勝ち取っていって、いずれリュウどのを嫁にいただく……完璧な作戦でそ)

作戦立案も出来るなんて自分の才能が怖い、と冗談を考えつつリュウの両親と談笑する。内容はもっぱら学校でのリュウの話だ。

「センはほんま学校の話してくれへんねん、聞けて嬉しいわぁ」

「そうなんですか。いやぁ……すごいですよ彼は、授業中寝てたってテストで満点取っちゃうんですから。テスト前はよく教わってます」

「セン寝とんの? アンタは特待生やから免除されとるけどほんまは高い金払て聞くようなもんなんやから寝なや、もったいないで」

平常点が下がるとか先生に失礼だとかじゃなく、金の問題なんだ。しかも架空の。

「余計なこと言うなや水月ぃ」

「えぇ……俺は純粋にすごいと思って言ったんだぞ、ちゃんと起きてる俺は半分取るのがギリギリなのに寝てても満点なんだから。それに他の授業は割と起きてるし。国語と社会はたまに寝てるけど……まぁアレはしょうがないよ、先生の声が悪い」

「歴史はウチも昔よぉ寝とったわぁ……水月くんよぉセンのこと見とるんやね、席近いん?」

「黒板見てると視界に入る位置なんです」

嘘だ。俺の席は最前列の右端、リュウは左端の方だから見ようと思わなければ見えない。彼氏のことを見たいから見ているだけだ。流石に授業中に振り向く訳にはいかないから、後ろの方の席のハルやシュカの様子は見られなくていつも歯がゆい思いをしているけれど。

「体育とかどない? セン運痴ちゃう?」

「一生懸命やってて見てるだけで勇気もらえますよ、ボールの投げ方とかアドバイス受けるとすぐよくなりますし。ただ、実践より理論派な感じはしますね」

「理論派……ぁー、せやねぇ、センそういうとこあるかも……」

「…………水月ぃ、もぉええやろ。大阪観光すんねんやろ、案内したるから来ぃ」

両親に学校でのことを話されるのは恥ずかしいようで、リュウは俺の袖を掴んでくいくいと引っ張った。可愛い。

「あぁ、どこ案内してくれるんだ?」

「あー……大阪で観光っちゅうたら、やっぱり…………通天閣周り? 高くてもええんやったらユニバ?」

「あぁ、聞き覚えあるある。あれは? あの看板、両手と片足上げてる……」

俺はVの字を作るように両手を上に挙げた。

「道頓堀やね。そこにかかっとるんが日本橋やよ」

「あぁ、聞いたことある。日本橋って大阪にもあるのか? ふぅん……知らなかったよ。あそこでインタビューしてるのよく見るんだよな。んー……リュウが案内してくれるって言ってたから、俺はあんまり調べずに来たんだよな。その方が楽しみ大きいかと思ってさ」

「そぉなん。とりあえずジャンルは選んでや、飯、見るだけ、遊べる、この三つからや」

「見るだけのあんまり興味ないな、美味しいの食べて遊びたい。あと買い物もしたい」

「ほうか。実は今日もう水月より先に案内の予約入ってんねん、そん人も見るだけのなんや要らん言うててなぁ。被ってくれて助かるわ」

「へぇ……俺の知ってる人か?」

「んふふ、ひみつー。準備してくるからちょい待って……ぁーいや、部屋来てくれへん?」

人差し指を唇に当てる仕草が何とも可愛らしいが、俺に秘密には出来ていない。だってリュウの大阪案内の宣伝は俺のハーレムグループチャットで行われたものだ、となればそれに食いつくのは当然俺の彼氏。不参加が多い中、俺の他に乗り気だった者は……? ほら、もう見当がついた。

「失礼します」

リュウの家族に一言断ってからリュウに着いていった。昔から別々で住んでいて、東京に引っ越し済みのリュウの部屋が祖父の家にある訳もない。ただこの家はとても広く空き部屋が多いそうで、そのうちの一つを帰省中の寝室として使っているらしい。そこに俺は連れて行かれた。

「……実際のリュウの部屋も見てみたいな」

旅行鞄から出された少量の日用品しかないがらんとした部屋を見回し、呟く。

「そないおもろいもんあれへんけど、まぁ気になりはるんやったら今度招待させていただきますわ」

途中から独特なイントネーションの敬語に切り替わったことを不思議に思い、思わずじっとリュウを見つめる。

「……ご主人様、久しぶりに虐めて欲しいんやけど……あきません?」

「久々なのに飽きないかなんて変なこと聞くんだな。ま、飽きないかどうかはお前次第だよ。せいぜい俺を楽しませてみろ」

「……? あの、水月ぃ? 俺……飽きてへんかなんて聞いてへんけど……虐めんの、あかんことないかって聞いただけやねんけど」

勘違いをした上にドヤ顔をかましていたのだと気付いた瞬間、頬がどんどんと暑くなっていくのを感じた。

「…………ふっ、ぐぅゔう……めっちゃ恥ずかしいっ! あかんがダメとか違うとかなのは分かってるけどっ、敬語あったのかよそれ! 知らねぇよ!」

「ご、ごめん……」

「いいよぉ関西弁可愛いから一切抑えずもっと聞かせてぇ!」

思わずリュウを抱き締めてしまった。これはよくない、リュウが謝るのはその失態を理由に自分を虐めて欲しいという意思表示であることが多いのに、失念していた。

(くっ……軌道修正でそ!)

そっとリュウの顎を撫でて上を向かせる。顔の熱を引かせて、改めてキメ顔を作る。

「……俺には馴染みのない方言だって分かっていながら使って、ご主人様に恥をかかせたんだ。主人の勘違いを真っ向から指摘するような、主人の顔を立てることを知らない愚鈍な肉奴隷には、たぁっぷりのお仕置きが必要だよな?」

「はい……! お仕置きしてくださいご主人様ぁ」

リュウに恍惚とした表情で見上げられる快感を久々に味わって、俺はもうそれだけで達してしまいそうだった。
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