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元不良と元ヤクザ

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ハル、カンナ、レイは玩具を挿入完了。リュウとネザメはSMプレイ中。シュカは確かサンと……だったかな?

(次に手を出す彼氏を決める前にお二人の様子を見ておきまそ)

経験豊富なシュカがリードしているのかと思いきや、彼は胡座をかいたサンの膝に乗せられ一方的に身体をまさぐられていた。

「怪我だらけだねぇ。お腹も結構危ないとこに……これは刺し傷かな? 角度はこうかな……骨盤に当たったから刺さり過ぎなくて重傷を避けられたんじゃないかな」

「……よく分かりますね」

「まぁね~」

サンの指は硬い。盲目で好奇心の強い彼が気になった物を調べるのに使うのは手だからだ、感覚の鋭い指先で硬い物やヤスリのような物でも触りまくってきたのだろう。だから指が硬い、しかも日常的に油絵の具に触れて少し荒れている。
シュカは余裕ぶった顔を保ってはいるが、そんな指で敏感な傷跡をなぞられて、ピクピクと足を跳ねさせている。シュカを膝に乗せているサンにその振動が伝わらない訳はないが、言及はしていないようだ。もうしばらく泳がせるつもりなのだろうか。

「……背中よりお腹側の方が傷多めかな?」

「そ、う……ですね、奇襲は受けないように気を付けていたので、背中はあまり切られていないはずです」

「刃物持った相手と真正面からやり合ったんだねぇ、すごいすごい」

「それほどでも……あなたは元ヤクザだそうですが、傷などはありませんね?」

シュカのその言葉を聞いてサンの身体を観察する。確かに、シュカのような切り傷の跡は一つもない。膝には傷跡があるが、アレはおそらく幼い頃に盛大に転んだとかそういうのだ。ああいう傷跡がある人間は少なくない、生来のインドア派の俺にはないけれど。

「盲目の組長前線に出すバカは居ないよ。ずっと兄貴が傍にいて守ってくれてたし、襲撃とかでも怪我したことはないかなぁ」

「なるほど……」

「それよりシュカくん、お尻触らせてよ」

「……いいですけど、ちゃんとローション使ってくださいね。取ってきますからちょっと下ろしてください」

俺はすかさずローションを手に取り、シュカに投げた。

「……大丈夫です、気の利くヤツが居ました」

「誰か取ってくれたの? あっちの方かな? ありがと~」

サンは俺一人分右側の空白に向かって手を振る。

「これを……まぁ、指なら私に入れなくてもいいでしょう。指に絡めてください」

「ぬるぬる。ちょっと熱いね」

「そしたらこちらに……」

「いきなり入れていいの? 前レイちゃんの触らせてもらった時は事前に水月がめちゃくちゃ触ってたんだけど」

「いいですよ別に。どうぞ」

膝を曲げた足を抱くようにコンパクトな開脚をしたシュカはサンの手首を掴んで自らの後孔に誘導し、濡れた指を後孔に触れさせた。

「そこです、押し込んで……んっ、水月よりは、指が太いですね……ガタイがいいので当然ですが」

「すっごい締まるね、レイちゃんもう少し柔らかかったよ?」

「水月が弄り回した後だからでしょうっ……」

「なるほど~。じゃあボクがシュカくんのずっと触ってたら柔らかくなるの?」

「……おそらく、多少は」

「ふぅん……楽しみ。じっくり観察させてね」

笑顔で見下ろされたシュカが「まずい」という顔をしたのを俺は見逃さなかった。これからじっくりたっぷりねちっこく隅々まで触られることを察し、相手選びを間違えたと思ったのだろう。後でトロトロになったシュカを楽しませてもらおう、いいとこ取りが出来るなんてハーレム主は最高だ。

(っとそれどころではありませんぞ、わたくしのお相手を探さねば)

ハーレム主がポツンとしている訳にはいかない。相手が居ないのは──とベッドの上を見回す。

「鳴雷一年生……暇、か?」

「みつっ……ぁ」

俺が相手探しに慌てているのを見てミフユが声をかけてきてくれた、一瞬遅れて歌見も。

「はい、ちょうど手が空いちゃってました。お相手してくれますか? ミフユさん、歌見先輩」

「そのつもりだ」

「……俺も」

ミフユに先を越されて遠慮しかけていた歌見が正座をしたままずりずりと寄ってきた。性に関しては見た目に合わない消極的なところが可愛い。

「みんな各々相手見つけて前戯始めちゃってますけど、お二人はお二人でやったりしないんですね」

「……歌見殿と? いや、自分は……その、貴様とネザメ様以外とは、勝手がよく分からなくて」

「…………俺もだ。アキくんみたいに向こうから来てくれたら何とか対応するけど、自分から誘うのは……ちょっと。そもそも乱交に慣れてる方がおかしいだろ」

「なるほど、受け身同士が残っちゃったから上手くいかなかったと……ぁ、歌見先輩、乱交じゃないですよ、本番は俺とだけなんで」

「乱交以外なんて言えばいいんだこんな状況」

「……乱、前戯……大会。ってそんなことはどうでもいいんですよ。ミフユさん、歌見先輩」

ローションボトルを一本掴み、大量の玩具を一瞥しつつ、二人に少し近付く。

「俺は彼氏達にはみんな仲良くして欲しいんです、前戯を済ませておいて「どっちから抱く~?」的なことして欲しいんです……! 美少年同士のイチャイチャが見たい、俺がイチャついても可愛い男の子一人しか見れないから俺は一旦壁になりたい」

「よく分からんが、やはり貴様は変態だ」

「ミフユさんはネザメさんにたっぷり開発されて経験豊富でいらっしゃって、みんなに色々教えられる先輩の立場なのに……俺かネザメさんに何か言われない限り、じーっと忠犬みたいに待ってる……よくないですよ? もっとみんなと仲良くならないと」

「ミフユに積極性がないと言いたいのか。むぅ……それは、まぁ……うむ。その通りかもしれん」

俯いてしまったミフユの顔に触れる。小さな頭、すべすべの頬、やはり子供に触れているような背徳感がある。

「む……?」

「とりあえず、今日はいいです。緊縛一つ覚えたので体験してもらえますか? 自分で作った縄も持ってきましたから」

「ふむ、分かった」

赤い麻縄を掴み、手触りを改めて確認する。ちょこんと目の前に座ったミフユを見つめ、生唾を飲んだ。
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