冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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鞄の中身はなんだろな

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ゲーム機の話は程々に、暇を持て余した俺達はハルの提案に乗って鞄の中身を晒すことにした。もちろん、見せたくない物を隠しておく権利はある。アキへの誕生日プレゼントは事前に鞄から出し、ミフユによってある部屋に隠された。

「よ~しじゃあ順番どうする~? 俺らの中で順番決めるってなったらぁ~、アレだよね? みっつんに口説かれた順~! どんどんぱちぱち~」

「彼氏No.順っすね」

「俺はどうなるんだ?」

「じゃあみっつんはトップバッターね」

「えぇ……まぁいいけど」

オタクがバレるようなグッズは持ってきていない。恋愛系のゲームソフトすら家に置いてきているし、ダウンロード分は一旦ホーム画面から消している。当然痩せる前の写真なんて持ち歩いてはいない。晒して困ることなど何一つない。

「この鞄は着替えだから別にいいだろ?」

「うん、見るの楽しみにしとく~」

「こっちは大人の玩具と、ローション、コンドーム、首輪、手枷、麻縄、注射器、玩具固定具……」

「モザイクモザイク~、放送事故だよこんなの」

「放送してないだろ」

使用時の想像をしたのかレイやリュウなど一部の彼氏が顔を赤くしている。

「あれ、これ……リンコンじゃ~ん」

「一文字くらい略すなよ……一瞬何か分からなかった。半年くらい前に買ったんだ。何もなしに運動するのってキツいし」

「みっつんのムキムキはこれのおかげかぁ。さてお次は~……? 何これ」

ハルが俺の鞄から引っ張り出したのはネットで注文し、旅行前にギリギリ届いた介護用品だ。

「おんぶ紐」

「デカ……」

「大人用だからな」

「何に使うのこんなの~、誰か足折るの~?」

山登りならともかく海で骨折はまずないだろう。飛び込むような崖もないのだし。

「セイカ用だよ」

「えっ」

「おい本人聞いてないって顔してるぞ」

「言ってないですもん。セイカはもったいない精神強めだからこういうのは返品不可能にしてから知らせるんです。セイカ、浮き輪とかライフジャケットもあるからな、一緒に海水浴楽しもうな」

「う、うん……ありがとう」

「…………次ぃ~」

ハルは露骨に不機嫌を声に表した。

「もうめぼしいものはないと思うぞ? 歯磨きとかタオルとかドライヤーとか……」

「そうだね~。あ、化粧水じゃ~ん。青缶もある~。みっつんこういうのちゃんと使うんだね~、えら~い」

「あぁ、それもセイカ用だ。ちなみにこのヘアオイルもセイカ用」

「……甲斐甲斐し~。もういいや、次は~……しぐ!」

膝の上で丸まったウサギを撫でていたカンナがビクッと身体を跳ねさせる。ハルは俺の鞄を雑に蹴りどかし、カンナの鞄を移動させた。

(……あ、言い忘れてましたがわたくし達は今、暖炉のある絨毯ふわっふわのところで円になってまそ。ネザメちゃまだとかはクッションの上に座ってますが、みなさまほとんど絨毯に直ですな。ワン様はミフユたんの膝に頭乗せてまそ)

着替えなどは除外し、ハルの気になる物がピックアップされていく。

「草、草、草、草~……草! 草! 草ばっかり入ってるこの鞄! えっと……ウサギ、ぷぅ太ちゃんだっけ? その子の?」

「ぅん……」

「すごい量だな」

「寝床とかは持ってきてへんの?」

「けー、じ……あっちに、置い……る」

ウサギ用品鞄だったようだ、空いたスペースに着替えの一部を詰め込んでいたんだな。

「こ、ちが……ぼく用」

「……わ、しぐしぐ結構お高めの化粧水とか使ってんだね~」

「かみ、ぁ……くれた、やつ」

「カっ、カカ、カミア!? カミアセレクションっ……メ、メモっていい? てか撮っていい!? さ、さわ、触っちゃったぁ……ひぇえ……」

「……届け先の住所カンナのところにしただけで、カミアが手に持ったりはしてないと思うぞ?」

「マジレスやめて」

真顔レスやめて。怖い。ごめんなさい。

「しぐしぐほっぺたもっちもちぷるんっぷるんだもんね~。唇もぷるぷるだし~。やっぱりちゃんとケアしてたんだ~……あれ、普通にメイク道具もあるね。アイブローにコンシーラー、つけま……結構ガッツリしてる~。しぐしぐ俺並みに化粧するの~?」

「……一発芸、用。みん……なで、集ま……なら、そーゆ、こと……する……かな、て」

「ふ~ん? じゃあ詳しくは聞かない方がいいのかな~? ネタバレになっちゃうもんね。あ、ヅラもある。くるくるしてて可愛い~、カミアみた~い」

…………カンナの一発芸の内容、俺分かっちゃったな。

「さ、どんどん行こ~、次リュウだね」

「あんまおもんないで俺のん。見せる分かっとったらネタ仕込んどいてんけど……」

なんか悔しそうだな。

「あ、ホント面白くない、大人の玩具とかもないんだ、意外~……え? えっ? ちょ……なんでこんなに角砂糖何袋もあるわけ? 金平糖はまだいいけど」

「角砂糖の徳用袋初めて見たっす」

「なんか変な棒出てきた」

「神主さんが振ってるアレだねぇ」

大幣おおぬさ、と言うのですよ。ネザメ様」

「あぁ、大麻たいまって書いたりもするヤツ」

「……なんかサンが言うと危ないなぁ」

「やだなぁ先代で麻薬はやめたんだよウチの組は」

結構最近まで売ってたんだな、あの辺りの治安が悪いわけだ。

「何? お祓いすんの~? ってか出来んの? アンタよく継いでないとか関係ないとか言うくせに~」

「掃除用の棒や。汚れよぉ吸うねんその紙」

「えぇ……? 絶対嘘じゃん……あっなんか塩もある……え、何、マジでお祓いすんの? 怖いんだけど」

「……砂糖ばっかりやったら飽きるやろ」

「味変用!? えぇえ……えぇ~……う~ん……まぁいいや、なんか怖いしもう聞きたくない……」

お祓い棒、もとい大幣をハルは丁寧に鞄に戻し、シュカの鞄と丁寧に交代させた。

「ちょっと、次はあなたでしょう」

「バレた? えへへ……でも俺の鞄面白いもんないよ?」

隅々まで見たが、面白い物は本当になかった。美容グッズばかり詰め込まれていた。

「女の子の鞄を見せてもらっているような背徳感を覚えるねぇ」

「や、やっぱり女子っぽい……? みっつん、こういうの……嫌?」

「男の娘だと思ったキャラが女の子だとテンション下がるよな」

「会話をしろ」

「会話のキャッチボール中に紙飛行機投げてきたっすね……」

そんなに変な返事したか? 今。

「女の子には興味ないけど女の子みたいな男の子は好きだよ、すごく……すごく……! ってこと」

「すっごい熱量感じる~。えへへ……」

「まぁ、女子の荷物って言うには大事なアレが足りないしな。妹の修学旅行の荷造り手伝わされたから分かるんだが」

「何すか? 匂い玉っすか?」

「女子小学生か。ナプキンだよ」

「あー……妹居るって聞いてるからアレっすけど、パッと分かるの変態っぽいっすね……」

「お前みたいな感覚の人間ばっかりだから妹にパシられた時に変な目で見られるんだ! いいだろ男がナプキン買っても!」

「知らないっすよ俺変な目で見たことないっすよ、買ってる人見たことないっすもん。知らない人への鬱憤後輩にぶつけないで欲しいっす」

「バイト辞めたくせにいつまでも後輩ぶりやがってこの歳上……!」

「次しゅ~ね~」

口論を始めた歌見とレイを放ってハルがシュカの鞄を開く。

「……しゅ~の近所の服屋って四文字熟語の服しか売ってないの~?」

シュカが今着ているシャツには「焼肉定食」と書かれている。着替えのシャツもそういったものばかりのようだ。

「他は~メガネケースとクロス~……コンタクトにすればいいのに~」

「嫌ですよ、目に物突っ込むなんて恐ろしい真似出来ません」

「身体に色々ぶっ刺されてきたくせに~……しゅーもゴムとかローション多いね~……」

「シュカってナマ過激派じゃなかったか?」

「私用ですよ。他人の家で撒き散らすのは悪いので。水月はナマでしてくださいね、零さないようにしますから」

勃った。
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