冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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コスプレの相談

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ずんっ、と腹の上に何かが乗った重みで目が覚める。唸りながら目を擦って開けてみれば、俺の上で首を傾げるアキが居た。

「にーにぃ、起きるするです、朝です」

「……えっ?」

頭の横に置いてあったスマホを取り、普段起きる時刻を大幅に過ぎていることを理解する。

「やばっ……アキどいてくれ!」

アキを腹から下ろして起き上がってみれば、オーブンが何かを焼き終えた音が鳴った。

「え……あっ、先輩」

キッチンに行ってみると俺の部屋着を着たままの歌見がレタスをちぎって皿に置いていた。

「水月、おはよう」

「おはようございます……先輩、朝ごはん作ってくれてるんですか?」

「そんな大したもんじゃないぞ」

「すいません、寝坊して。アラームかけてたんですけど」

「俺が止めた。昨日は寝るの遅くなったからな、もう少し寝かせてやりたくなったんだ」

朝食の準備の必要がないとなれば十二分に余裕がある。俺は安心し、顔を洗いに洗面所に向かった。その後をぽてぽてとアキが着いてくる。

「どうした? アキ」

《暇だから綺麗なツラ拝んどこうと思ってるだけだから気にしなくていいぜ》

「お兄ちゃんロシア語分かんない……」

「にーに、きれー、です。ぼく、にーに、見るする欲しいです」

「今日は顔置いて学校行くぅ~!」

アキに頬擦りをしてからダイニングに戻り、歌見が作った朝食を食べた。トーストとレタスとハムと卵という組み合わせは普段と同じだが、俺が目玉焼きやスクランブルエッグを作りがちなのに対して彼はゆで卵を作っていた。

「卵を焼くのは苦手でな……なんか、ぐちゃぐちゃになるんだ」

「めっちゃ分かるっす! スクランブルエッグにしてもスクランブル過ぎてスクランブルエッグとは言えない何かになるんすよね!」

「ゆで卵は茹でるだけだから楽だ」

箸でゆで卵を挟んでみた。とても硬かった。

「あ、剥いてないぞ。俺は不器用だからぐっちゃぐちゃになる」

と言いつつ歌見は卵をテーブルの角にぶつけて割った。中身まで割れてしまったようで半熟の黄身が歌見の手に垂れている。不器用と言うか、力加減が出来ていない。こんな可愛い一面があったとは。

《マジで生卵食うんだ……》

手についた黄身を舐める歌見を眺めていた俺は、アキが何かを呟いたのを聞いた。アキを見てみれば驚きと不快が混じったような表情をしていた。

「アキ、どうした?」

《火ぃ通しゃ食えるんだから火ぃ通しゃいいのに生で食えるようにするとか、日本人の生食への執念ってえげつねぇよな》

「お兄ちゃんロシア語分かんない」

《俺はその執念好きだぜ、前にコノメが作ってくれた卵かけご飯美味かったもん》

「アキ……お兄ちゃん分かんない……」

《生はいいもんだ。肉も魚も卵も、セックスもな》

「分かんないよぉ……」

俺には分からないロシア語で好き放題話したアキは機嫌良さげに卵の殻を剥き始めた。

(わたくしも剥きますかな……卵の話ですぞ?)

殻を剥く手間のせいで時間に余裕はなくなったが、久しぶりのゆで卵はとても美味しかったし歌見の手料理が食べられたのだから文句は言うまい。

「行ってきます」

「おぅ、行ってらっしゃい」

「行ってらっしゃいっす」

「いってらっしゃい、です。にーに」

愛しい三人の彼氏達に別れを告げ、その寂しさを学校で四人の彼氏に癒してもらう。

「なぁカンナぁ、旧スク買ったら着てくれるか? あのお尻と股にくい込む女子用のスクール水着を着てくれたら俺はもう……もう、な!」

「み……くん、着て……欲し、なら……な、でも……いー、よ?」

「よっしゃあ!」

休み時間中、昼休みにはすっかり使わなくなった屋上への扉前の広いスペースに集って教室では出来ない猥談を楽しんだ。

「え、昔のスク水これなの?」

通販サイトでコスプレ衣装を調べている俺のスマホを背後から覗き、ハルは眉をひそめた。

「うっわぁ……マジぃ? セクハラじゃんこんなの」

「男のんは変わらんなぁ」

「ちょっと丈長くなった気もしますが」

「んなもん今でもあるメーカー差やろ。なぁ水月ぃ、俺にはスク水着て欲しないん?」

「全員にスク水着せて狭めのプールでもみくちゃにされたいが……?」

今度は三人揃って「うわぁ」という顔をした。俺の救いはもはやカンナだけなのかもしれない。

「全員スク水て……鳥待とか歌見の兄さんとか地獄やろ」

「てめぇのズボン全部旧スク丈にしてやろうか。と冗談はさておき私は嫌ですよそういうの」

「俺も~」

シュカには断られるだろうと思っていたが、ハルもダメか。リュウはいいのかな? 旧スクと赤い首輪の組み合わせとか最高だと思う、リュウに絶対似合う。

「ハルよぉ女装しとるやん」

「レディースの方が似合うし好きだから着てるだけ、俺アンタらみたいに変態じゃないから!」

「喧嘩すんなよお前ら。スク水が嫌なら他のコスプレ選べ、ミニスカナースとかセーラー服とかが定番だけど、他にも色々あるぞ」

今度は二人揃って「なんでコスプレする前提なんだ」と怒られてしまった。

「水月ぃ、俺これがええわ」

リュウは元からコスプレに乗り気なようで、ボンテージ衣装を指した。爪先から頭のてっぺんまで黒のレザーで包むもののようだ。目や口の位置に穴が空けられているものが多い中、顔まで完璧に包むものを欲しがるとは流石リュウだ。

「これから山に埋める死体みたいだな……」

「これケツんとこファスナーついとるやん? これ開けてオナホみたいに使ってくれてもええし、バイブとか突っ込んで足で押し込んでくれてもええし、何もせんと部屋の隅っこに転がされるんも、サンドバックみたいにされるんもええわぁ……殴り過ぎ蹴り過ぎで殺してもうたらそのまま埋めてな」

「自首するよバカ! じゃなくて殺さなっ、殴らないし蹴らないよ! 三つ全部ありえないから!」

「うわ、全身タイツ? 探偵ものの犯人みたい……」

「血ぃ吐かせても床汚れなさそうでいいですね」

喚く俺のスマホをハルとシュカが頬をむにんと押し付け合いながら覗いている。可愛い。

「ねぇみっつん、俺セーラー服くらいなら着てもいいよ? アレ可愛いし、ちょっと憧れあったんだよね~」

「私はやっぱり何も着たくないです」

気が変わったらしいハルのため、スク水とボンテージに加えてセーラー服もカートに入れた。テストが終わったらコスプレを堪能させてもらうとしよう。
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