冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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命令遂行は最優先事項

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夕飯の後、昼間に行ったというレイとアキの玩具プレイの隠し撮りを見せてもらった。たまらない……鼻血が出そうだ。

「定点モノっていいよな……!」

「俺は今日は疲れたんで、アキくん抱いてあげてくださいっす」

「そうするよ」

レイにベッドを使ってもらい、俺とアキはリビングのソファで行為に及んだ。



レイとの玩具プレイのおかげか、昨晩は搾り尽くされるほどではなかった。腰の痛みはあるものの背筋を伸ばしていられている。
三人で優雅に朝食を取り、二人に見送られて出発。各駅で彼氏達と合流し、話しながら学校へ。何気ない時間が最高に幸せなのだと俺はとっくに気付いている。

(今を大切に、ですな)

授業中は妄想をやめて真面目に過ごす。期末テストで挽回しなければ赤点を取って彼氏達との時間が減ってしまう、それだけは嫌だ。

(カンナたその真面目な横顔イイですぞ~……ハッ! またよそ見を。うぅ、美少年が視界に入るのが悪いのでそぉ)

今日は実技の授業はない。十分ずつの休み時間に彼氏を一人一人呼び出して性的に戯れているとはいえ、美しくない中年の話を座りっぱなしで聞くのは苦痛だ。

「やっと昼休み……この両手に花、いや花が両手から零れる快感ったら! 人生の勝者って気がするよ」

いつもの場所に向かう俺の両腕はカンナとハルに抱きつかれて塞がっている。

「水月、最近購買のパンばっかりやのぉ」

屋上への扉の前に到着して床に胡座をかき、昼食を開封しているとリュウが箸で俺のパンを指した。

「あー……作るの面倒臭くてな」

レイとアキのためなら凝った料理も作れるけれど、自分のためだけどなると途端に面倒臭くなってしまう。

「足りるんですか?」

「ギリギリ。そういえばシュカは自分で弁当作ってるんだっけ? すごいなぁ……尊敬するよ」

「あげませんよ」

弁当箱を少しだけ俺から遠ざける。

「狙ってないよ。ごちそうさま……さて、生徒会室行かなきゃな」

「……ごちそうさまでした」

三つの空の弁当箱を前にして手を合わせるシュカを横目にパンの包装ビニールを丸める。

「行ってくる。仲良くしてろよ」

リュウの頭をぽんと撫で、カンナとハルは肩を撫でる。シュカの腰に腕を回して生徒会室へと向かう。

「生徒会室ってどこだっけ」

「はぁ…………案内しますよ」

しっかり目を合わせた上でわざとらしくため息をつかれた。ちょっと傷付く。

「そういえば生徒会長、今朝から早速王子とか若様とかあだ名つけられてましたよ」

「はは……似合うな」

マンガやアニメなどでは生徒会は絶対的な権力を持っており、学園の裏の支配者だったりするのだ。生徒会長ともなればラスボスだが、実際は雑用係だ。王子だなんて見た目には似合ったあだ名だが、そんな優雅な学校生活は送っていないだろう。

「ここですね」

「ありがとなシュカ。ふぅ……よし…………鳴雷です、失礼します」

深呼吸してから扉を叩き、室内へ。ネザメは上等な椅子に腰掛け、机に肘をついて手を組んでいた。亜麻色の髪が背後のカーテンから透ける陽光に照らされてキラキラと輝いている。

(司令ポーズ……! うーむ、生徒会長って感じですな。おや? 年積たんが居ませんぞ。机の下に居て会長の会長をしゃぶってたりなんてHAHAHA)

ネザメは組んでいた手をほどき、右手を机の下にやり、少し間を置いて立ち上がった。俺の妄想に信憑性を与えるような動作に感謝しつつ、微笑む彼に微笑み返した。

「いらっしゃい、呼び立てて悪かったね」

「いえ」

会長は机の前に回り、机に尻を少し乗せるようにしてもたれ、俺を見つめてにっこりと微笑んだ後シュカに視線を移した。

「会いたかったよ鳴雷くん。それに鳥待くん……君は副会長だったね、生徒会は隔日放課後に業務がある。頻繁に顔を合わせることになるだろう……ミフユともね。ミフユ! 挨拶なさい」

「…………副会長の年積 三冬だ」

机の影からひょこっと現れたのはカンナよりも背の低い少年。眉にかかる程度の短い黒髪で、若干くせっ毛。キッとこちらを睨む大きな猫目と太短い眉が特徴的な可愛らしい子、年積だ。

(やっぱりちっちゃ……! むほほ合法ショタ最高ですな……高校生だから合法じゃないけど。あ~かわゆいゆい、ヒンヒン鳴かせてやりたいですなぁ)

年積はずっと俺を睨みつけている。そろそろ機嫌を直して欲しいものだ。ネザメと二人まとめて抱いてやりたい。

「どうも、鳥待 首夏です。それで、会長……私と水月のセックスを見たいという話でしたが、副会長と一緒に見学ですか? それとも2×2? 私達の隣でヤったり?」

「きっ、貴様ぁっ! この無礼者! ネザメ様を下衆で下品で下劣で下等な貴様と同じにするな!」

「……ぁ? んだとチビっ……!」

「ミフユ、やめなさい。言葉が過ぎるよ」

「シュカ、やめろ。落ち着け」

真面目な優等生の仮面は剥がれやすい。短気なシュカの前に腕を突き出して軽くなだめた。しかし今のはよかったな、俺と会長が計らずして似たような言動を取った、これは高得点では?

「シュカの無礼を詫びます。しかし、シュカとの行為が先約だったので……ここでしても構わないという話だから来たんです、昼休みは短い、用事があるなら早くしてもらいたいんですが……」

「鳴雷一年生貴様! ネザメ様の命令は全てに優先する、先約だの条件だのとふざけるな!」

「……ミフユ」

深いため息をついたネザメが机から離れ、俺を睨んでいる年積を呼ぶ。

「ネザメ様っ……!」

年積が振り向いた瞬間、ネザメはパンッ……と年積の頬を叩いた。

「黙りなさい、ミフユ。これは命令だよ」

「…………」

年積は叩かれた頬を押さえ、目を潤ませながら頷き、三歩後ろに下がって歯を食いしばり、俺を睨んだ。

「な、何も……叩かなくても」

「すまないね、ここには一人で来るつもりだったんだけど……ミフユを振り切るのは難しくて。いや、言い訳だね、本当に申し訳ない」

「…………と、年積先輩、大丈夫ですか?」

「ミフユのことは気にしなくていいよ、それより行為の場なんだけれど……当然ながらベッドなんてないからね、ソファか、僕の椅子でも……床だとしても絨毯を敷いてあるから隠れて行うよりもずっといいと思うよ」

「ありがとうございます。会長の椅子でしたいですね……水月、しましょう」

俺は叩かれた頬を押さえたまま泣いている年積が気になるのだが、シュカもネザメも気にしていない。シュカにぐいぐいと押されて生徒会長の椅子の方に連れて行かれてしまった。

「ネザメ様っ、その椅子は……!」

「僕の命令は全てに優先する、君が言ったことだろう? 僕がいいと言うまで声を発するな」

「…………」

慕っているのだろうネザメに冷たく接されて、それでもネザメの命令を遂行しようと年積は両手で口を押さえ、静かに泣いた。
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