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弟ニーのちハグタイム
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同じ家に住んでいるのなら、それも同じ部屋で寝泊まりするのなら、裸とまではいかなくともそれなりに肌が見られると思っていた。しかし、アキは着替える際は必ず洗面所兼脱衣所に入って扉を閉めてしまうため、これから二晩目を過ごす今もアキの顔と手以外の肌をろくに見られていない。
(ガード硬すぎません? 家族にも肌は見せないって文化なんでしょうか……いえ、わたくしもアキきゅんの前では着替えないようにしていますな。同居開始直後の異父兄弟なんてそんなもんですよな)
俺が目の前で着替えたりすればアキも俺の前で着替えるようになってくれるだろうか、なんて考えつつも別室で寝間着に着替えて部屋に戻った。
「にーに、寝るです?」
「あぁ、もう電気消すぞ」
電灯のリモコンを手に取り、ふと思い出してベッドの横に正座をし、前髪をかき上げる。
《何してんの兄貴……あっ、俺が昨日お祈り騙ってキスしたからか? 騙されやすいんだなー……詐欺とかには気を付けろよ。これ毎晩しなきゃいけねぇのか? 面倒くさ……》
何やら呟いた後、アキは十字をかいてから俺の額にちゅっとキスをしてくれた。
《ま、兄貴にキス出来んのは役得かな。ハグもしたいなぁ……人肌恋しいっつーかさぁ、寂しいんだよな》
「ありがとうな、アキ」
《ヘラヘラ笑いやがって。なんで何も面白くないのに笑うくせにスキンシップはあんまりねぇんだよ日本人、バランスおかしいだろ》
「おやすみ」
「……おやすみ。です」
電気を消して布団に潜って十数分、俺は「明日はテストなのだから十分な睡眠が必要だ」と思いつつも眠れないでいた。理由は単純明快、欲求不満だ。
ほぼ毎日シュカかレイを抱き、リュウやカンナにしゃぶらせ、一日に三回以上は必ず射精していた俺には、二日の禁欲すら辛い。
(テストがガチで近くになると誰も会ってくれませんし、レイどのも今忙しいみたいですし、パイセンはテストの結果出るまで会うのはともかくお触りは禁止……そもそもアキきゅんが部屋に居たら彼氏連れ込めませんぞ)
ひとまず今日はトイレで抜いてこよう。そう考えて起き上がった直後、俺は最低の発想をする。
(……今てぃんてぃん痛いの、アキきゅんのせいなんですよな。責任取ってもらったりとかって……出来ちゃう感じです?)
俺にとって一番大切なのは周りの美少年が幸福を感じること、その幸福が俺の努力などの上に築かれていることだ。俺の性欲を満たすのは二の次、だから強姦なんてしない。
(ちょっとだけ……ちょっと、オカズになってもらうだけ)
本来なら本人を目の前にしての自慰すら相手を傷付け汚す行為だからと忌避するだろうに、絶倫の俺にとって二日間の完全禁欲は俺の主義を容易く曲げた。
「……よし」
万が一アキが目を覚ました時に言い訳が出来るよう、下着とズボンは一切ズラさらないことにした。咄嗟に履き直して……なんて上手くいく訳がないからだ。
どうやって自慰をするのか? 簡単だ、コンドームを陰茎に被せて下着の中に手を入れ、扱くだけ。射精したらトイレに行ってゴムを捨てるだけ、ティッシュなんていらないし、精液が飛び散ってしまっていないか確認する必要もない。
(完璧ですな。ではいざシコシコタイム!)
ベッドの方を向いて胡座をかき、ベッドに顎を乗せて大きく息を吸い、陰茎を扱く。
「すぅー……はぁ……すぅーっ……はぁ…………ダメだ」
シーツの洗剤の香りしかしない。もう少しアキに近付かなければ。
「アキきゅん……」
右手を下着の中に入れたまま膝立ちになり、ベッドの側面に陰茎の先端を押し付けて擦る。もちろんコンドームと下着とズボン越しに。
「はぁっ、はぁ……すぅーっ……はぁ……」
何も見えない暗闇の中、上体を少しずつ傾けていく。鼻先をくすぐられ、アキの髪が触れたのだと察したら、その場で上体を止めて深呼吸をし、アキの匂いを堪能する。
(アキきゅんアキきゅん……わたくしと同じシャンプーの匂いしかしませんがっ、それでも二日出してないわたくしにとっては……!)
間違ってもアキに触れないよう、左手はベッドのシーツをぎゅっと掴んでいる。まるで生娘の初夜のように。
コンドーム越しの陰茎は我ながら太くたくましい。どくどくと脈打っているように感じる。射精寸前になって俺は手の動きを緩め、パンパンに膨れた自身の陰茎の形を改めて確かめた。
全体的に太いが、特に根元近くの太くなった部分は片手では握れない程だ。逆に根元は少し細くなっている……かな? カリも高い、これで美少年のナカを掻き回すのを想像するだけで出てしまいそうだ。
「……にーに?」
そろそろ自分を焦らすのをやめようかと思った瞬間、可愛らしい声が聞こえた。
《何、ハァハァ言っちゃって、キモいぞ。どうしたんだよ》
真っ暗で何も見えない。けれど、アキがもぞもぞと起き上がったのは分かる。流暢なロシア語は理解どころか聞き取るのも難しい。
「にーに……Ты мастурбируешь?」
自慰をしていたなんて分からないはずだ。下着もズボンも脱いでいない。右手は今外へ出したし、ゴム越しだから匂い移りもないはずだ。
ベッドと布団の間に置いてあったリモコンを拾ったアキが点灯させた明かりの下、俺は自分に「大丈夫」と言い聞かせ続けた。
「にーに、びょーき、ですか?」
「んっ……? あ、熱が出てるとかじゃなくて……大丈夫、ちょっと……いや、大丈夫だから」
ズボンを履いていたって勃起には気付かれるだろう。今はベッドに腰を押し付けて何とか隠しているが、早く縮ませないと……でも、射精寸前で焦らしてあるものを今更萎えさせるなんて出来るのだろうか。
《なーんかやばそうな顔してんなぁ、顔赤いけど熱出してるとかじゃねぇのか? 夜中にむっくり起きて……んー? 何だろ、どうしたんだろ》
何か呟いている。聞き取れない。バレたのか?
「……にーに、するです?」
何を? と顔を上げるとアキは両手を大きく広げていた。
《ハグしたら落ち着くって、な? スキンシップ少ねぇから鬱多いんだよ日本人は。遠慮すんなよ兄貴、兄弟だろ?》
するかと聞かれただけだ、何をするのかは言ってもらえていない。アキが覚えていない日本語が該当するのか? それとも「する」だけで表現出来ていることなのか?
(……OKサイン?)
自慰に気付いていて「抱いてもいいよ」と言ってくれているのでは? ありえない、だが、その可能性に気付いてしまった男の理性は弱い。
「アキ……!」
両手を広げているアキに抱きつく。その瞬間彼の細さや柔らかさ、それでもしっかりと存在する筋肉と骨の男らしさ、シャンプーやボディソープの香りの影に微かに残る彼自身の匂い、触れ合った頬の柔らかさと滑らかさ、大量の情報が流れ込み、立ち上がろうとしてベッドの縁に陰茎を擦り、射精した。
《やっとハグ出来た……なんか達成感あるな、これで本当に兄弟になれたって感じ?》
アキは俺の背をぽんぽんと叩いている。その仕草で俺はアキの思考を察した。
(まさか……オナバレしそうでビビってる顔見てメンタル危険域だと勘違いして、ハグでちょっとなだめてあげようとか……そんな感じですかな? アキきゅん)
アキの背を軽く叩き、ハグを終えて満足げな顔を顔をした彼に礼を言い、トイレに向かった。
(ガード硬すぎません? 家族にも肌は見せないって文化なんでしょうか……いえ、わたくしもアキきゅんの前では着替えないようにしていますな。同居開始直後の異父兄弟なんてそんなもんですよな)
俺が目の前で着替えたりすればアキも俺の前で着替えるようになってくれるだろうか、なんて考えつつも別室で寝間着に着替えて部屋に戻った。
「にーに、寝るです?」
「あぁ、もう電気消すぞ」
電灯のリモコンを手に取り、ふと思い出してベッドの横に正座をし、前髪をかき上げる。
《何してんの兄貴……あっ、俺が昨日お祈り騙ってキスしたからか? 騙されやすいんだなー……詐欺とかには気を付けろよ。これ毎晩しなきゃいけねぇのか? 面倒くさ……》
何やら呟いた後、アキは十字をかいてから俺の額にちゅっとキスをしてくれた。
《ま、兄貴にキス出来んのは役得かな。ハグもしたいなぁ……人肌恋しいっつーかさぁ、寂しいんだよな》
「ありがとうな、アキ」
《ヘラヘラ笑いやがって。なんで何も面白くないのに笑うくせにスキンシップはあんまりねぇんだよ日本人、バランスおかしいだろ》
「おやすみ」
「……おやすみ。です」
電気を消して布団に潜って十数分、俺は「明日はテストなのだから十分な睡眠が必要だ」と思いつつも眠れないでいた。理由は単純明快、欲求不満だ。
ほぼ毎日シュカかレイを抱き、リュウやカンナにしゃぶらせ、一日に三回以上は必ず射精していた俺には、二日の禁欲すら辛い。
(テストがガチで近くになると誰も会ってくれませんし、レイどのも今忙しいみたいですし、パイセンはテストの結果出るまで会うのはともかくお触りは禁止……そもそもアキきゅんが部屋に居たら彼氏連れ込めませんぞ)
ひとまず今日はトイレで抜いてこよう。そう考えて起き上がった直後、俺は最低の発想をする。
(……今てぃんてぃん痛いの、アキきゅんのせいなんですよな。責任取ってもらったりとかって……出来ちゃう感じです?)
俺にとって一番大切なのは周りの美少年が幸福を感じること、その幸福が俺の努力などの上に築かれていることだ。俺の性欲を満たすのは二の次、だから強姦なんてしない。
(ちょっとだけ……ちょっと、オカズになってもらうだけ)
本来なら本人を目の前にしての自慰すら相手を傷付け汚す行為だからと忌避するだろうに、絶倫の俺にとって二日間の完全禁欲は俺の主義を容易く曲げた。
「……よし」
万が一アキが目を覚ました時に言い訳が出来るよう、下着とズボンは一切ズラさらないことにした。咄嗟に履き直して……なんて上手くいく訳がないからだ。
どうやって自慰をするのか? 簡単だ、コンドームを陰茎に被せて下着の中に手を入れ、扱くだけ。射精したらトイレに行ってゴムを捨てるだけ、ティッシュなんていらないし、精液が飛び散ってしまっていないか確認する必要もない。
(完璧ですな。ではいざシコシコタイム!)
ベッドの方を向いて胡座をかき、ベッドに顎を乗せて大きく息を吸い、陰茎を扱く。
「すぅー……はぁ……すぅーっ……はぁ…………ダメだ」
シーツの洗剤の香りしかしない。もう少しアキに近付かなければ。
「アキきゅん……」
右手を下着の中に入れたまま膝立ちになり、ベッドの側面に陰茎の先端を押し付けて擦る。もちろんコンドームと下着とズボン越しに。
「はぁっ、はぁ……すぅーっ……はぁ……」
何も見えない暗闇の中、上体を少しずつ傾けていく。鼻先をくすぐられ、アキの髪が触れたのだと察したら、その場で上体を止めて深呼吸をし、アキの匂いを堪能する。
(アキきゅんアキきゅん……わたくしと同じシャンプーの匂いしかしませんがっ、それでも二日出してないわたくしにとっては……!)
間違ってもアキに触れないよう、左手はベッドのシーツをぎゅっと掴んでいる。まるで生娘の初夜のように。
コンドーム越しの陰茎は我ながら太くたくましい。どくどくと脈打っているように感じる。射精寸前になって俺は手の動きを緩め、パンパンに膨れた自身の陰茎の形を改めて確かめた。
全体的に太いが、特に根元近くの太くなった部分は片手では握れない程だ。逆に根元は少し細くなっている……かな? カリも高い、これで美少年のナカを掻き回すのを想像するだけで出てしまいそうだ。
「……にーに?」
そろそろ自分を焦らすのをやめようかと思った瞬間、可愛らしい声が聞こえた。
《何、ハァハァ言っちゃって、キモいぞ。どうしたんだよ》
真っ暗で何も見えない。けれど、アキがもぞもぞと起き上がったのは分かる。流暢なロシア語は理解どころか聞き取るのも難しい。
「にーに……Ты мастурбируешь?」
自慰をしていたなんて分からないはずだ。下着もズボンも脱いでいない。右手は今外へ出したし、ゴム越しだから匂い移りもないはずだ。
ベッドと布団の間に置いてあったリモコンを拾ったアキが点灯させた明かりの下、俺は自分に「大丈夫」と言い聞かせ続けた。
「にーに、びょーき、ですか?」
「んっ……? あ、熱が出てるとかじゃなくて……大丈夫、ちょっと……いや、大丈夫だから」
ズボンを履いていたって勃起には気付かれるだろう。今はベッドに腰を押し付けて何とか隠しているが、早く縮ませないと……でも、射精寸前で焦らしてあるものを今更萎えさせるなんて出来るのだろうか。
《なーんかやばそうな顔してんなぁ、顔赤いけど熱出してるとかじゃねぇのか? 夜中にむっくり起きて……んー? 何だろ、どうしたんだろ》
何か呟いている。聞き取れない。バレたのか?
「……にーに、するです?」
何を? と顔を上げるとアキは両手を大きく広げていた。
《ハグしたら落ち着くって、な? スキンシップ少ねぇから鬱多いんだよ日本人は。遠慮すんなよ兄貴、兄弟だろ?》
するかと聞かれただけだ、何をするのかは言ってもらえていない。アキが覚えていない日本語が該当するのか? それとも「する」だけで表現出来ていることなのか?
(……OKサイン?)
自慰に気付いていて「抱いてもいいよ」と言ってくれているのでは? ありえない、だが、その可能性に気付いてしまった男の理性は弱い。
「アキ……!」
両手を広げているアキに抱きつく。その瞬間彼の細さや柔らかさ、それでもしっかりと存在する筋肉と骨の男らしさ、シャンプーやボディソープの香りの影に微かに残る彼自身の匂い、触れ合った頬の柔らかさと滑らかさ、大量の情報が流れ込み、立ち上がろうとしてベッドの縁に陰茎を擦り、射精した。
《やっとハグ出来た……なんか達成感あるな、これで本当に兄弟になれたって感じ?》
アキは俺の背をぽんぽんと叩いている。その仕草で俺はアキの思考を察した。
(まさか……オナバレしそうでビビってる顔見てメンタル危険域だと勘違いして、ハグでちょっとなだめてあげようとか……そんな感じですかな? アキきゅん)
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