過労死で異世界転生したのですがサキュバス好きを神様に勘違いされ総受けインキュバスにされてしまいました

ムーン

文字の大きさ
281 / 604

だからこれは自慰に過ぎない

しおりを挟む
お世辞にも広いとは言えないシャワールームで先輩と抱き締め合う。俺の腕は先輩の首に、先輩の腕は俺の首に回り、互いの身体を擦り合わせる。

『やっぱさ、人間とは違うよな……すべすべ』

「インキュバスですからねっ……でも、先輩、先輩の肌も……すべすべしてますよ」

流石は十代男子だ。オーガのアルマとは違う。流石にシャルには劣るだろうか、カタラはどうだろう。カタラは水の精霊を呼んで保湿の手伝いをさせていたりするからな。

『はぁ……こんな風呂の入り方したかったよ』

「店では冷たくしてすいません……やっぱりその、夫が……」

『あんなに男はべらせてるのに夫のこと気にしてたのか』

「ぅ……いや、だって……ぅぅ……」

確かにその通りなのだが、彼らとはアルマが出会う前に会っていたのもあって、浮気だけど浮気じゃないなんて勝手な感覚がある。
俺がネメスィ達と寝る度に、いや、話すだけでもアルマが嫉妬しているのは分かっている。結婚しているのに……と納得もいかないだろう。ネメスィ達がそれぞれ俺を略奪してしまいたいと思っているのも察している。

「みんな……好きなんですもん」

『俺のことは?』

「好きですけど……店には、その、最初っからスパイとしての用事しかなかったわけですし、これ以上増やしたらややこしいですしぃ……」

好意の度合いで言えば、他の四人に比べて先輩への好意は薄い。いや、そもそも恋愛的な感情なんて向けていないかもしれない。

『今は?』

「……好きですよ」

死なせてしまった罪悪感と、歳下っぽさを持つ彼を甘やかしたい庇護欲、それが先輩への好意の正体なのかもしれない。

『インキュバスで、しかもハーレム作ってるようなのだったとはなー。新人教育やってる時は全っ然、本っ当に全く思わなかったな』

「すいません……幻滅しました?」

『……ま、多少は』

けど──と先輩の手が俯いた俺の顎を持ち上げる。

『好きなことには変わりないし、結婚したいよ』

もう片方の先輩の手は俺の左手と絡み合い、薬指と中指の付け根で指輪に触れてくる。

『……嬉しかったよ、サク。結婚するって言ってくれて、旦那様って呼んでくれて……本っ当に嬉しかった!』

左手を持ち上げられ、手の甲に唇を触れさせられる。

『俺のものになるって、ずっと一緒だって言ってくれて……本当に、嬉しくて。報われたなって、死んだ甲斐あったなって……思ったんだ』

「そんな……俺は、あの時っ……」

嘘をついた。既婚者だから先輩とは結婚出来ないことも、そこまで好きになっていないことも、先輩のものになる気なんてないことも、全て隠して「旦那様」と慰めた。

『嘘でもよかったんだよ、あの時の俺は。ま、生き返った今となったら……約束と違うじゃんってなるけどさ』

「…………ごめんなさい」

『いいって。俺はこうして生きてるんだから、な?』

いつの間にか俺達は体を擦り合わせて洗うことを忘れていた。互いの顔や手に触れて見つめ合っているだけだ。けど、それでよかった。

「……指輪を渡せたわけでも、結婚式を挙げたわけでも、新婚生活が出来たわけでもないのに……どうして先輩は報われたって思えたんですか?」

『え、分かんない? サクが好きだからだよ』

「言っただけでまだ何もしてなかったのにっ……」

『……未練がないってわけじゃないよ、でも…………分かんないかなぁ、サク……好きってさ、そういうもんだと思うんだ』

無邪気に微笑む彼は何故か悲しく思えた。悲しそうな顔をしているわけでもなければ、ちゃんと生き返ってここに居るのに、俺は悲しさが止まらなくなった。

「先輩っ……先輩、ごめんなさい……ありがとうございます」

『…………なぁ、サク。本当は分かってるんだろ?』

今度の笑顔は悲しげだ。けれど、俺にはその理由が分からない。

「……はいっ! 先輩が俺のこと好きだってよく分かってます。ただちょっと自分に自信がなくて……すいません、なんか先輩の愛を疑ってる感じになっちゃって」

『サク……俺は』

「はい、大丈夫ですよ先輩。俺には夫が居ますし、弟とも関係があります。関係を表す言葉は見つかりませんけど、あの三人ともと関係があります。すっごいビッチなんですよ、俺……でも、五人も居るけど、ちゃんと先輩のこと幸せにします。六人順番でってなるとちょっと待たせちゃうかもしれませんけど」

『…………幸せに、かぁ……俺が言ってやりたかったな』

先輩の視線は俺の指輪に注がれている。先輩が俺に買っておいてくれたらしい結婚指輪だ、死ぬ前に渡されたかったなと思ってしまう。

『指輪もくれないで、こんっなに可愛いサクを店に売り渡すような鬼畜なんかよりって……思ったのになー? ベタ惚れなんだもんなぁサクってばさ……俺の入る余地ないなって感じ』

「そんな、先輩……潜入してた理由は話したじゃないですか。それにベタ惚れって、まぁ、惚れてますけどぉ」

思わず赤くなってしまう顔を頭羽で隠す。小さな羽では目元しか隠せず、先輩に顎を支えられて強引に唇を奪われてしまう。

「んっ……せ、先輩?」

『……むーかーつーくー』

頭羽をどかして見つめた先輩はムッと拗ねたような表情だ。

『俺は短小だし早漏だし体力もそこまでだけどさぁー……お前の夫は超巨根だし超絶倫だけどさぁー! 俺は精通する前からあの店居たんだからな、テクニックなら負けない自信がある!』

先輩は一体何年あの店で働いていたのだろう。

『ほらサク、倒れないように壁にもたれろよ』

「な、何する気なんですか……?」

石鹸を擦ると手に絡む泡立つ寸前のぬるぬるとした液体。先輩はそれを俺の胸に塗りつけた。

「ひぁっ……! せ、先輩……俺、胸はっ、ぁ……!」

細く器用な指先で先端をつまみ、くにくにと弄る。

「は、ぁあんっ……! ぷるぷるするのっ、ゃあっ……!」

乳首の根元をぎゅっとつまんで手を揺らし、尖った先端をぷるぷると震えさせる。乳頭を意識させられてジンと痺れるような感覚を与えられた直後、乳頭を引っ掻かれて絶頂を迎える。

「ひんっ……!?」

『お、イった?』

「はい……ぁひっ!? ひっ、ぁあっ、あぁあああっ!」

絶頂を肯定すると先輩の指先が乳首を押し潰した。深爪気味に整えられた爪が乳頭に突き立ち、乳輪よりも下へと押し込んでいく。

「ぁ、ぁああっ……! なにっ、なにこれぇっ……やらぁっ、ぁ、胸、いま、らめなのぉっ……!」

無理矢理陥没させられた乳首は沈んだ先で先輩の指にぐりぐりと押し回されて悶えている。

『押し込むの嫌?』

「ぃやっ、やらぁあっ……」

『じゃ、引っ張り出しとくよ』

乳首を押し潰していた指が離れる。一時的な陥没から戻り、ぷるんっと揺れた。直後、先輩の指に掴まってぎゅっと押し潰され、指の間でぐりぐりと弄られなら引っ張られた。

「あっ、ぁああっ!? やっ、ぁあっ、伸びる、伸びちゃうっ……乳首伸びるっ、やらぁっ!」

『伸ばすのも嫌? 分かったよ、じゃあここだけやっとく』

パッと手を離されて両乳首が元の長さに戻る。いや、まだ微かに三角に膨らんでいる。引っ張られた痕跡を俺の許可なく見せている。

「ん、んんっ……んぅぅっ……!」

人差し指の先端で乳輪をくるくるとくすぐるように弱々しい愛撫を受け、俺が再び乳首を弄るようねだるのには数分もかからなかった。
しおりを挟む
感想 156

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 毎日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

一人の騎士に群がる飢えた(性的)エルフ達

ミクリ21
BL
エルフ達が一人の騎士に群がってえちえちする話。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!

ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。 牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。 牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。 そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。 ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー 母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。 そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー 「え?僕のお乳が飲みたいの?」 「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」 「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」 そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー 昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!! 「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」 * 総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。 いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><) 誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。

寝てる間に××されてる!?

しづ未
BL
どこでも寝てしまう男子高校生が寝てる間に色々な被害に遭う話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

処理中です...