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インキュバスらしさを手に入れた

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後孔を掻き回していた指を抜き、腸液で濡れたその指で尻肉を引っ張り、ほぐれた穴を更に拡げてネメスィが服を脱ぎ終わるのを待つ。
上着を脱ぎ、鎖帷子を脱ぎ、薄い肌着は脱がずにベルトに手をかける。留め具を外すカチャカチャという金属音は俺の下腹を疼かせる。

「……サク、もう一度確認する。お前は魔神王に誓ったんだろう? あのオーガとの生涯を」

魔神王に誓った……? あぁ、婚姻の話か。あの時はよく分かっていなかった、いや、今でも理解はできていない。前世でも未婚だったのに異世界の婚姻関係がどういうものなのかなんて分かる訳がない。

「姦通だ。サク、お前は夫と魔神王を裏切るんだ。それでいいんだな? 魔神王との契約を破るんだな?」

「……アルマと結婚した後、アルマとしたのよりアルマ以外の男とした方が多い。ネメスィとだって何回かした」

契約を破った代償なんてものはなかった。俺は魔神王をこの世の支配者の座から引きずり下ろすために送り込まれた転生者だ、女神の使いっ走りだ、そんな俺が魔神王を恐れるなんてバカらしい。

「ごちゃごちゃ言ってないで早くしよ」

勃起しているネメスィの陰茎に尻尾を巻き付けて引っ張るとネメスィは荒っぽく俺の尻尾を解き、俺の腰を掴んで引き寄せた。

「ぁ……早くっ、早くぅ……」

ネメスィは膝立ちになっている、俺は腰をその高さまで持ち上げられている。だから身体に微妙な負荷がかかっていて、その負荷にネメスィの身勝手さを感じて、乱暴に抱かれることを期待して、きゅんきゅんと下腹が疼く。

「ぁ、あぁっ、はぁんっ……あぁっ、きたぁっ……! これしゅきぃ……」

ぐしょ濡れの穴は簡単にネメスィの陰茎を飲み込んだ。

「前より……キツい、な……しかも動いている」

自分でも分かる。ネメスィの陰茎をしゃぶるため腸壁がぐねぐねと蠢いている。けれどそれはネメスィへの媚びではなく、自身が快楽に溺れたいからやっている。

「…………よく濡れて、よく締め付けて……背徳感にでも酔っているのか?」

「突いてっ、突いてぇっ、早く突いてよぉっ、ごんごんしてぇ……?」

ネメスィの左手が俺の右足の断面を掴み、自身の胸元まで持ち上げ、俺の身体を捻った。ネメスィの足の間に俺の左足が入り、身体を横にさせられる。

「ひぁあっ!? ねじれりゅっ……やぁあっ……ぁ、あっ……ねめしぃ? これでするの?」

足を交差する体勢で挿入されると反った性器にこれまでとは別の箇所を擦られるようになり、新鮮で深い快楽を得られた。

「不貞を働き悪びれない淫乱には躾が必要だな」

「え……? ぁ……ひぁあんっ!?」

パァンッ! と大きな音を立てて尻を叩かれ、身体を反らし、慣れていない角度の陰茎に自分から腸壁を擦り付ける。
俺の身体を横にさせたのは尻を叩きやすくするためだったらしい。

「は、ぁっ……痛い、よぉ…………」

右足を掴まれて持ち上げられ、ろくに身体を動かせない。そんな状態で叩かれては抵抗なんてできない。

「ぁんっ! あぁっ! 痛いっ! ひぃいっ! お尻っ、お尻痛いぃっ! やだっ、叩いちゃやらぁっ!」

「何を言う。馬にも勝る巨根のオーガが居るのに俺にねだったんだ。叩いて欲しかったんだろう?」

「ひゃんっ! 痛いっ……ぅんっ、痛いの、好きなのぉ……ぁひんっ!」

叩かれる度にごりごりと腸壁を擦られ、絶頂が近付いてくる。

「ぁひっ! ひぁあっ! ひっ、ひんっ……!」

「サク……お前は俺の物だっただろ? チョーカーを受け取ってくれたじゃないか。俺の物になってくれると……そういう意味だったろう、あれは」

「ぁうっ、痛いっ、ひぃいっ! イくっ、叩かれてイくぅうっ!」

一際強く叩かれて身体が勝手に跳ね、反り返り、絶頂を叫ぶ。

「ぁ、あっ……はぁっ、イっちゃった。叩かれてっ、イっちゃった……ぁんっ! あぁっ! もっとっ、もっと叩いてぇ……」

真っ赤に腫れているだろう尻を叩かれて、どうして快楽を覚えてしまうのだろう。ヒリヒリと痛んでいるのにどうして次をねだってしまうのだろう。
痛みさえも快感になったからだ。

「……サク、お前は酷い魔物だ。人間を殺すよりタチが悪い、何人もの男を惚れさせて、好きだと言っておいて…………だから俺の手が折れるまで叩いてやる」

「あぁんっ! 痛いっ、痛いのっ、きもちぃいいっ! ひぃっ、ぅう……ああっ! はっ、ぁ……また、イっちゃったぁ……」

叩かれるのは嫌だったはずなのに、何故か大好きになってしまった。
アルマ以外の男に抱かれると罪悪感を覚えていたはずなのに、何故か欠片も悪いと思えない。
女神のせいだ、女神が俺を狂わせたんだ、俺が最低な奴になった訳じゃない、俺は悪くない……

「サク、謝れ。俺が稼ぎに行っている間に盗まれたこと、俺の物でありながら勝手に他の男と婚姻を結んだことを……ちゃんと謝れたら中で出してやる」

「ぁ……中出し? うんっ、中に出してぇっ、すぐ謝るからぁっ」

「早く謝れ」

「うん……ごめん、ネメスィっ……!? ひぃんっ! 今もっ、叩くの……? あ、えっ……ご、ごめんっ、ネメスィぃいっ! ひっ、ひぃっ、痛いぃ……」

精液を人質にされてはどんな要求だろうと従わなければならない。

「……俺を気持ち悪いと罵ったことを、謝れ」

「しょんなことっ、言ってなっ、ぁああっ!? ひっ、痛いっ、強ぃいっ! わかった、あやまりゅっ、ごめんなしゃいっ、ごめんなひゃぃいっ!」

冤罪だろうとも快楽で蕩けた頭はすぐに命令に従ってしまう。

「ああぁあっ! 痛いっ、ぅああっ、ごめんなしゃいっ、ねめしぃっ、ごめんなひゃぃいっ! ひっ、あっ、ぁあっ、またっ、またイっちゃうっ! ねめしっ、ねめしぃ……」

不意にネメスィの手が止まり、掴まれていた右足が下ろされ、今度は脇の下を両手で支えられて抱え上げられた。向かい合う形で挿入されたまま抱き締められ、角度が変わったことでまた新鮮な快楽に身体が悦ぶ。

「…………サク」

間近で見るネメスィの顔はファンタジー世界らしく怖いくらいに整っている。帯電しているように輝く金の瞳には俺だけが映されていて、瞬きの後には一筋の涙を零した。

「……………………愛してる」

その涙の意味を考えられないまま、もう少し叩いて欲しかったななんて思いながら、ようやく始まった腰振りに甘えた喘ぎ声を上げる。

「ぁんっ! ああっ、ねめしぃっ……きもちぃっ! そこっ、そこ好きぃっ、もっと突いてっ……!」

首に腕を回して抱き着いて、膝上までしかない足もぴったりとくっつけて、全身でネメスィに甘える。

「好きっ、しゅきぃっ、ねめしぃ好きぃっ! もっとごんごんしてっ、もっと激しくぅっ! めちゃくちゃにしてぇっ!」

「サクっ、サク……お前は本当にっ、酷いな……最悪の魔物だ……!」

骨が軋むほど強く抱き締められたかと思えばどくどくと精液が流し込まれ、脳に多幸感という名の霧がかかる。

「サク……謝るお前が可愛すぎて、叩く度に射精するお前が愛おしくて、たまらない。ダメだな、諦める気だったのに……今すぐお前を連れてお前の夫から逃げてしまいたい。あぁ、大丈夫……そんなことはしない、お前は夫と居るのが一番なんだ。俺みたいな気持ち悪い化け物なんか、お前は嫌いなんだよな」

珍しくも射精を終えた後も抱き締められたままだ。

「俺は、お前の便利なエサで構わない。二度とお前の前で溶けたりしない……だから、サク。気持ち悪いなんて言わないでくれ、嫌わないでくれ、サク……好きなんだ、好きだ……愛してる」

腕の力が緩んだかと思えば唇に唇が押し付けられ、条件反射で口を開いて舌を突き出した。
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