漆黒の大魔将軍は勇者に倒されたはずでした!?

武家桜鷹丸

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第三章 半世紀後の世界。

世界の危機。

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 大黒林から南にある小国ハコダンテ。
 その城で今、王と臣下達が朝から会議を開いていた。

「では大臣、今朝の報告について詳細を。」

 王に言われ大臣はの一人が返事と一礼してから話す。
 事の始まりは数日前に観測所が大黒林側の方向で目撃した黒い閃光である。
 そこから別の場所で土煙らしきものが上がり何かが弧を描いて飛んでいくのを望遠鏡で見ていた者が確認している。

「つまり大黒林で戦闘が起きたということか?」
「あそこには確か調査隊を送っていたがまさか……」
「そのまさかです。観測した日から調査隊との連絡が途絶えました。」

 報告に臣下達がざわつく。
 大黒林はまだまだ魔獣の巣窟な為に調査隊には国が出す最新の装備を出して向かわせたはず。
 だがその調査隊を全滅させた魔獣が現れたということは国にとって危険視したければならない事態か議論する必要があった。

「ならば観測所では今も監視を続けているのか?」
「そ、それが、監視を続けることが出来なくなりました。」

 返ってきた言葉に王が何故と聞けば報告書を持つ大臣は冷や汗をかいて恐る恐る言った。

「観測所が…消えてなくなってしまったからです。」

 大臣の口から出た報告によってざわめきが驚きに変わる。
 観測所が消えたというあまりにも唐突な話に何人かが詳細を聞けば大臣は目撃者の証言報告を語った。


 最初の観測から二週間と少し経った日のこと。
 あれから全く大黒林で変化がなかったことで観測所の人々も気が緩んでいたのかもしれない。
 すると森の一部で光りが漏れ出るのを確認した。
 兵士の1人が下にいる上官に知らせる為に螺旋階段を下り半分を過ぎたまさにその直後だった。
 背後、というより真上からきた光によって薄暗い中がはっきり見えるくらい数秒間照らされ轟音が鳴り響いた。
 光がなくなった後に身を伏せていた兵士は何が起きたのかと上を見た時に驚愕した。
 兵士の視線の先には曇1つない青空が見えたのだ。
 まるでそこだけ切り取られたかのように観測所の上部が消えてしまっていたのだと報告書の最後に書かれていた。

「よって被害は建物の消失と兵士二名の死亡となります。」
「一体どういうことだ!?まさか魔獣から先制攻撃されたというのか!?」
「わかりませんが跡形もなく消し去るほどの攻撃が可能な魔獣だと想定した場合、その魔獣はギルドの規定で言うところのに匹敵すると思われます。」

 告げられた階級に何人かが息を飲む。
 勇者が魔王を倒し魔族の進行を阻止してから実に半世紀。
 その間に世界では冒険者ギルドが誕生し、魔獣の種類や強さによって階級を付けることで対策を練れるように仕組みが出来ていた。
 災害級とは階級の上から三番目に位置する存在で百人規模の軍隊で対応することが前提条件だと言われている。

「王様!これは一刻を争う事態です!ここは魔獣が森から出る前に全て焼き払った方がよいかと!」
「森を焼き払うだと!あそこの木々は我が国の数少ない資材なのだぞ!貴公は薪無しで国民に冬を過ごせというのか!」

 軍人と大臣との間で言い合いが始まってしまう中で王は額に手を当てて考え込む。
 都以外の民に被害が出ないようにする為にはやはり軍を率いて大黒林に向かうべきかもしれない。
 しかし自分の国は小国。大軍で挑み、万が一半壊でもしたらその後の防衛力への影響はとても大きなものとなるだろう。
 ならばここはまず魔獣の調査をしギルドに応援を頼む方が得策かもしれない。

「…まずはを中心とした調査隊を森に向かわせ魔獣の正体を確認してからギルドに応援を頼む。これが今の最善であろう。」

 王の言葉によって大臣と軍人は納得したように頷いてみせる。
 確かにその方法なら兵士をあまり減らすことはないし、要らぬ食い扶持を減らせて一石二鳥である。

「ではすぐに部隊を編成させましょう。奴隷隊の装備はいかがいたします?」
「奴隷に与える鉄などもったいないが簡単に死んでは困る。最低限の装備だけは着けさせておけ。」

 王の指示に軍人はすぐに返事をしてからその場を後にした。
 大臣達もギルドへの連絡等の話し合いを始める中で王は天井を仰いで思う。

(ああ勇者様、聖女様、あれから半世紀にしてまたこの国に危機が訪れようとしています。どうか、どうか我が国に聖なる光の加護があらんことを……)
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