魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第四章

164『お礼と考察』

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「先日はお世話になりました」

 アンナリーナはテオドールを伴い、シャルメンタルの執務室を訪れていた。

「いやいや、リーナ嬢。
 こちらこそ迷惑をかけて、誠に申し訳なかったな。重ねて謝罪する」

 忌々しい憲兵隊隊長は更迭となった。
 一つの考えに囚われて、他に目を向けられないままでは、捜査に支障を来たすだけでは済まない。

「まあ、疑われても仕方がないと思います。第一発見者を疑え、というのは捜査の定石ですしね。でも、迷惑ですが」

「困ったものだよ。
 ……ずいぶんと捜査が遅れてしまった。

 これは済まない。立ったまま愚痴を並べてしまったね」

 シャルメンタルはアンナリーナたちに席を勧めた。
 執務室には客人用の応接セットがあって、アンナリーナはシャルメンタルの対面のソファーに腰掛けた。

「改めて。
 先日は保証人になっていただき、本当に助かりました。
 お礼、と言っては何ですがこちらをお納めください」

 アイテムバッグから取り出したのは、500mlのペットボトルが2本ほどの箱だった。

「劣化するので、なるべく早くアイテムボックスに収納して下さい」

 アンナリーナにそう言われて、怪訝そうなシャルメンタルは蓋を開けてみて……次の瞬間、目を見開いて瓶を取り出した。

「こ、これは……」

「あら【鑑定】を持ってらっしゃるのですね。
 はい、それは【アムリタ】です。ただし “ 劣化版 ”ですけどね」

「【アムリタ】……嬢ちゃんが再現させたのか」

 もう体面的な言葉遣いは剥がれ落ち、素になったシャルメンタルは取り繕うこともしない。

「“ 劣化版 ”ですよ。
 どうしても手に入らない素材があって、それを手に入れる為に旅をしているのです」

「それでも凄い……
 アムリタは古代エレメントの秘薬だ。
 それで、肝心な効果のほどは?」

「ヒト族とドワーフでテストしました。
 四肢の欠損と眼球の再生は確認しています」

「そりゃあ、凄い!!」

 思わず立ち上がったシャルメンタルは、その場で踊りださんばかりの勢いだ。

「ただ、おそらく欠損して時が経てば経つほど、確率が下がって行くと思います」

「いや、それでも欠損が再生するなどと……これはいつでも手に入るのか?」

「次からは買って下さい。
 ……でも、お高いですよ?」

 もちろんシャルメンタルとしても、そのあたりは理解している。

「き、金子で……無くした腕や足が再生出来るなら」

「1本金貨10万枚です」

「……嬢ちゃん、それ安すぎるわ」

「えっ? そうですか?」

 目からウロコがぽろりのアンナリーナだった。



「ところで襲撃犯の捜査はどうなってますか?」

「俺んところも畑違いなもんで、あまり詳しい話は入ってこないんだかな、難航してるな~」

 さもありなんである。
 アンナリーナたちにかまけて、初動捜査を怠ってしまい、跡を追えなくなっていたのだ。

「私たちが現場に到着したのは襲撃からほぼ1日経っていたのですが【索敵】しても何も引っかからなかったのですよ」

 索敵の範囲やその精度については、あえて聞かない。
 それがマナーだと、魔法職であり教育者であるシャルメンタルはその場で話を流した。

「襲撃者……おそらく盗賊団でしょうが、略奪した物品の他に人質も連れているはずなんです。
 私は、詳しい人数を聞いてないのですが、その人たちを連れて一体どこに消えたのか。
 ……その命を奪ってアイテムボックスに入れているなら別ですけど、そんな事をする意味がないですし」

 短時間で人質を隠すアジトがあるのだろうか。
 もしそうなら不自然に人がかたまっている場所を感知できるはずなのだがそれもなかった。
 アンナリーナ以上の魔力を持つ者が盗賊団にいるとは思えないので、結界に阻まれている、ということはないはずなのだが。

「あ、ひょっとして……」

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