魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第四章

122『アンナリーナ製薬工場』

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 ギルドにあった瓶とそれを入れる木箱をあるだけ回収し、アンナリーナとテオドールが馬車経由でツリーハウスに戻って来た時、もうすでにセトと、イジはジルヴァラを連れて魔獣の森へと飛び出して行っていた。

「ちょっとみんな集まって!
 もうセトたちから聞いているかもしれないけど、これから指名依頼で受けた大量の調薬を始めます。
 直接の手伝いはアマルとアラーニェ、熊さんは総括を、それとデラガルサの分が出来たら届けに行って、向こうの状況を調べてきて欲しいの」

 テオドールは頷き、アラーニェはアマルとともに調薬室に向かっていった。

「それとガムリ、あなたガラス工芸のスキルを持っていなかったかしら?」

「手慰み程度なら、やったことがあるが」

「なら、ポーション瓶をお願い。
 最初は私が見本を見せるわ」

「承知した、用意するのは石英だけでいいのか?」

 ガムリのために準備している倉庫には鉱石のほかに石英も備蓄されていた。

「スキルで生成するから炉は必要ないわ。場所は……」

「リーナさん、倉庫にはまだまだ余剰のスペースがある。そこでやろう」

「じゃあ準備をお願い」

 木箱はツァーリに頼んでみた。
 彼はダンジョンの村で家を建てていたので木材を扱うことが出来る。
 その彼に木箱の現物と大工道具、そして木材を与えると、目を爛々と輝かせ始めた。
 アンナリーナも今初めて知ったのだが、ツァーリは木工を好むようだ。
 彼には今度木工細工のスキルを与えても良いと思う。

「ご主人様、切り出すのに木片が散らばるので、外でやってくる」

 ツァーリは軽々と材料を持つと、外に出ていった。

「さて、調薬室にいきます」


 先に行っていたアラーニェとアマルが素材の下ごしらえをしていた。
 大量の、採取したてのサラン草を【洗浄】して【乾燥】させる。
 そのあと【粉砕】してアンナリーナが調薬していくのだ。
 すでにガムリは瓶の作成を始めている。
 あとは流れ作業のように調薬を進めて行くだけだ。
 前世の医薬品製造工場もかくやとばかりの製造スピードに、デラガルサの分を取りに来たテオドールもびっくりしてしまう。

「まぁ……とりあえず俺はデラガルサに行ってくるわ」

 ポーションを5箱を台車に乗せて、直通の扉のある部屋まで運んでいく。



「マチルダさん、久しぶりです」

 ポーションの搬入はしても、滅多に顔を出さないテオドールが奥から姿を現した。

「テオドールさん、本当にお久しぶりですね。今日はリーナさんは?」

 マチルダはつけていた帳簿を閉じてテオドールに向き直った。
 そして下働きの女に茶を用意するように言う。

「それで、今日はどうなさいました?」

 マチルダは上品な老婦人だ。
 白灰色の髪を結い上げ、地味だが上質なドレスを着て、かくしゃくとしている。
 その、細くて皺のある指で紅茶を淹れテオドールに差し出した。

「最近のデラガルサの状況を知りたくて。何か変わったことはないか?」

「そうですね。
 噂ではダンジョンの魔獣が巨大化していると聞きました。
 ……当然、強化されていて今まで通っていた攻撃が無効になって、怪我人も増えているんです」

 マチルダの表情は暗い。

「ここもか……」

「ここも、ですか?」

「ああ、今あちらこちらで魔獣が増加していて……ダンジョンが出来たところもある。
 リーナは今、ギルドからの依頼でポーションを作っているが、話によってはこちらに、さらに融通しても良いが?」

 今日初めて、マチルダに笑みが見えた。

「よろしくお願いします」

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