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第四章
118『脅かすものたち』
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善良な旅の冒険者を装ったアンナリーナたちは、次々と難易度の高い依頼を成功させながらドピタに滞在していた。
ギルドとの関係も良好で、デンシャルなどは単純に、この関係を喜んでいた。
「私の考えていること、これからやろうとしていることを知ったら……どんな顔をするかしらね?」
「所詮は他国の話だ。
冒険者ギルドとしては、いらぬ犠牲を出したくない……それしかないんじゃないか?」
長く冒険者をやって来ているテオドールはギルドの考え方にも詳しい。
ギルドとしては自国が抱えている冒険者が、やはり一番かわいい。
おそらくだが今、この国のギルドは隣国方面への依頼を凍結しているはずだ。
「じゃあ……そろそろ始めてもよさそうだね」
それから間も無くして、隣国の王都に至る街道のあちこちで【死の軍団】が現れた、と言う噂が広まった。
それは昼夜を問わず、旅人たちの前に突然姿を現わすのだ。
……ある商人は証言する。
昼間だったにもかかわらず、深い森に隣接する街道を隊商の一員として馬車を走らせていた。
いつしか周りを霧に包まれ、前後の馬車とも距離を空けてしまったその時、彼と彼の馬車に乗っていた者たちは見た。
初めは前方に現れた全身黒ずくめの人物が馬車の前に立ちはだかり、御者が慌てて手綱を引く。
馬が立ち上がるようにして急停止し、御者は怒鳴るように叱責した。
「この馬鹿野郎! 死にたいのか!」
「死にたい?
ふふふ……私はもう」
男が目深にかぶっていたフードを、勿体ぶった所作であげていく。
その、認識できるようになった姿は。
「とっくに死んでいるよ」
現れたのは骸骨だった。
「ひゃああーっ!!」
御者の絶叫が響き渡り、馬車の窓が顔を出した商人が見たのは、馬車を取り囲むスケルトンの軍団だった。
また、ある者は中継地で野営している深夜、生きた心地のしない恐ろしい目に遭った。
それは交代で見張りをしていた時、急に霧が押し寄せて来て、異様な気配に警戒していた時、鎧などの金属げ擦れる音や軍靴の足音がしてきて、忘れることの出来ない体験をした。
「誰だ!?」
ヌッと現れたのはミノタウロスだった。
それは見るからに立派な鎧を纏い、大剣を背負っている。
だがよく見ると、そのミノタウロスの顔は骸骨で、後ろに従うのはミノタウロスのグールだった。
「ぎゃーっ!ぎゃーーっ、ぎゃー!!」
混乱して、たたらを踏んだ男は足をもつらせて焚き火に突っ込んでしまう。
「ぎゃああー!!」
そこでようやく気づいたパーティーの者たちが起き出してきたが、すでにミノタウロスの姿はなく、グールの腐臭すらしない。
見張りの男が居眠りして夢でも見たのだろうと片付けたが、男は未だに混乱の極みにある。
こうした事が少しずつ積み重なっていき、王都では噂が広がっていく。
そして初めは目立たなかったが、王都への物資が滞るようになり……
「いい感じになってきてるじゃん」
今のところ、一切人死には出ていない。
「じゃあ、次の手行っちゃおうかな」
小さくて軽い、アンナリーナの身体が持ち上げられ、テオドールの膝に乗せられる。
「熊さん」
仲の良い、主人とその伴侶を、従魔たちが見守っていた。
ギルドとの関係も良好で、デンシャルなどは単純に、この関係を喜んでいた。
「私の考えていること、これからやろうとしていることを知ったら……どんな顔をするかしらね?」
「所詮は他国の話だ。
冒険者ギルドとしては、いらぬ犠牲を出したくない……それしかないんじゃないか?」
長く冒険者をやって来ているテオドールはギルドの考え方にも詳しい。
ギルドとしては自国が抱えている冒険者が、やはり一番かわいい。
おそらくだが今、この国のギルドは隣国方面への依頼を凍結しているはずだ。
「じゃあ……そろそろ始めてもよさそうだね」
それから間も無くして、隣国の王都に至る街道のあちこちで【死の軍団】が現れた、と言う噂が広まった。
それは昼夜を問わず、旅人たちの前に突然姿を現わすのだ。
……ある商人は証言する。
昼間だったにもかかわらず、深い森に隣接する街道を隊商の一員として馬車を走らせていた。
いつしか周りを霧に包まれ、前後の馬車とも距離を空けてしまったその時、彼と彼の馬車に乗っていた者たちは見た。
初めは前方に現れた全身黒ずくめの人物が馬車の前に立ちはだかり、御者が慌てて手綱を引く。
馬が立ち上がるようにして急停止し、御者は怒鳴るように叱責した。
「この馬鹿野郎! 死にたいのか!」
「死にたい?
ふふふ……私はもう」
男が目深にかぶっていたフードを、勿体ぶった所作であげていく。
その、認識できるようになった姿は。
「とっくに死んでいるよ」
現れたのは骸骨だった。
「ひゃああーっ!!」
御者の絶叫が響き渡り、馬車の窓が顔を出した商人が見たのは、馬車を取り囲むスケルトンの軍団だった。
また、ある者は中継地で野営している深夜、生きた心地のしない恐ろしい目に遭った。
それは交代で見張りをしていた時、急に霧が押し寄せて来て、異様な気配に警戒していた時、鎧などの金属げ擦れる音や軍靴の足音がしてきて、忘れることの出来ない体験をした。
「誰だ!?」
ヌッと現れたのはミノタウロスだった。
それは見るからに立派な鎧を纏い、大剣を背負っている。
だがよく見ると、そのミノタウロスの顔は骸骨で、後ろに従うのはミノタウロスのグールだった。
「ぎゃーっ!ぎゃーーっ、ぎゃー!!」
混乱して、たたらを踏んだ男は足をもつらせて焚き火に突っ込んでしまう。
「ぎゃああー!!」
そこでようやく気づいたパーティーの者たちが起き出してきたが、すでにミノタウロスの姿はなく、グールの腐臭すらしない。
見張りの男が居眠りして夢でも見たのだろうと片付けたが、男は未だに混乱の極みにある。
こうした事が少しずつ積み重なっていき、王都では噂が広がっていく。
そして初めは目立たなかったが、王都への物資が滞るようになり……
「いい感じになってきてるじゃん」
今のところ、一切人死には出ていない。
「じゃあ、次の手行っちゃおうかな」
小さくて軽い、アンナリーナの身体が持ち上げられ、テオドールの膝に乗せられる。
「熊さん」
仲の良い、主人とその伴侶を、従魔たちが見守っていた。
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