魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第四章

117『依頼達成となんちゃって油淋鶏』

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 半日ほどの時間でしっかり依頼を片付けてきたアンナリーナたちに、周りはしばし無言だ。

「とりあえず、依頼を受けていた件の討伐数は12羽。
 それでですね、そのうちの1羽を泳がせて、群の巣……営巣地を潰して来ました!」

 獲物はどこに出しましょう?と微笑む少女が勇者に見えてきた。
 デンシャルは慌てて、先だってと同じ処理場に一行を案内する。
 まずはテオドールとイジのアイテムボックスから10羽のヒュリポンが吐き出されてくる。そしてアンナリーナが1羽出して、依頼は完了となる。

「まさかこれほど短時間で依頼を完了されるとは思いませんでした。
 報酬ですが、今回もとても状態が良いので改めて鑑定させて下さい。
 これの預かり票、今すぐ書かせていただきます」

 丁寧すぎるほど丁寧な対応にアンナリーナの方が恐縮してしまう。
 これはギルド側の打算が主なのだが、今はお互いがwin-winなので良いのだろう。

「それから、先ほど仰った営巣地についてですが」

 大判の地図が出されて、アンナリーナはそれに見入る。

『ナビ、この地図コピー出来る?』

 念話で話しかけると即座に返事が返ってきた。

『はい、マップに転載しました』

『ありがとう、これからも地図を見ることがあれば、コピーをお願い』

『承知しました』

 この、しばしの遣り取りののち、アンナリーナは地図の一点を指し示した。

「大体、このあたりだと思います。
 表から見ると凹凸の影に隠れて見えにくいのですが通路があって、中に巣があったんですよ。
 全部で58羽いて、卵は18個ありました。
 一応、すべて素材として持ち帰りましたが、これも買い取っていただけますか?」

 実はヒュリポンの風切り羽は王侯貴族や富裕層の使う羽ペンの素材として人気がある。
 肉は多少大味なのだがモモ肉などは脂がのっていて、グリル焼きなどが美味しい。
 卵の殻はなんと細工物の素材になると言う。

「ではこちらの納品は明日にしましょうか?
 うふふ……面倒おかけしてごめんなさい」

 今回のアンナリーナたちの活躍で、この町から一番近い営巣地が潰された事でヒュリポンの襲撃が減る事になった。
 偶然とはいえこれからの危険が減る事をデンシャルは素直に喜んだ。

 それからアンナリーナたちはまた依頼を選んで帰っていく。

「一体、何なんだ、あの連中は……」

 どこまでも常識はずれなパーティーの、後ろ姿を見送った。



 アンナリーナたちの馬車が閉門ぎりぎりに外に出ていく。
 それを不安げに見送る門番の兵士に笑いかけて、アンナリーナたちは闇の中に消えていった。
 そして走ること半刻ほど。
 辺境都市から一番近い中継地に馬車を止め、アンナリーナは御者台から飛び降りた。

「さて、みんな出てきて!
 大急ぎでご飯の支度をするよ!
 今日は鳥肉がたくさんあるから……
 ちょっと揚げ物にしようかな。
 アンソニー、お願い!」

 馬車から次々と現れる、アンナリーナの家族たち。
 素早く作業台が出され【解体】されたヒュリポンのモモ肉が厚さ1cmほどに切り揃えられ、大振りなまま塩胡椒をして、粉をまぶし揚げていく。

 アンナリーナはアンソニーとともにかけダレを作っていた。
 長ネギのみじん切りを、砂糖、醤油、酢、おろし生姜、ごま油と混ぜて、揚がった鳥肉をざっくりと切って、それにタレをかけたら出来上がり。
 なんちゃって油淋鶏である。
 それに【異世界買物】で買ったたらこソースを使ったたらこパスタ。
 マヨネーズとミルクを混ぜたドレッシングでベビーリーフとりんごのサラダ。ハムとゆで卵のポテトサラダ。
 ローストビーフのベリージャム添え。
 バターたっぷりのロールパン。

 それぞれが自分の仕事をして、中継地は賑やかな声が響いている。
 最近は夕食の時の飲酒も本人の自覚に任されており、ガムリなどはすっかりこの生活が気に入ってしまっていた。

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