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第三章
2『冒険者ギルド』
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冒険者ギルドとは、アンナリーナが前世でラノベから知識を得たように、現代日本の人材派遣会社に近いものだ。
依頼人から仕事を受け、その冒険者のレベルによって仕事を斡旋し、仕事の成功や失敗を判断し、報酬を支払う。
この時に手数料を取ることと、冒険者から買い取った素材の利益で冒険者ギルドは経営されている。
そしてもう1つ。
これはこの世界独特なもので【専任制度】というものがある。
この制度は冒険者全員に当てはめられるものではないのだが、1人のギルド員が冒険者の専属となり、彼、彼女らが請け負う仕事を管理し、記録も管理するものである。
ラノベなどでも、同じ【専任】という言葉を使うが、あちらはただ、その人物を独占的に受け持つというだけのもので【専任制度】とはまったく違う。
ゆえに、この制度を使うのは長い間、信頼度を高めあったもの同士が結ぶのだが……何事も悪い方に抜け道がある。特にギルドが問題視しているのが、初めてギルドで登録する、見るからに世事に詳しくなさそうな新人に対して、言葉巧みに誘導し、最初から【専任制度】を結ばせるギルド員がいる事だ。
何しろ専任になれば、その冒険者のギルドカードの記録を管理する事が出来る、イコール、ギルドに預けられている金額をいじる事が可能なのだ。
いや、本来ギルドに収める手数料を上乗せし、差額を懐にしまい込む事も出来る。
そしてこの女、アンナリーナに声をかけたミルシュカも、その常習犯だった。
『主人様、何が良くないものを感じます』
『私もよ……このひととは距離を取った方が良さそうね』
「新規登録ならこの用紙に記入して下さいね。
あ、読み書きは出来る?」
「はい」
愚問である。
アンナリーナは隅から隅まで用紙を読み【解析】までかけてみた。
『これは最初から、あのひとが【専任】になる申込書のようね。
【専任】……【専任制度】って何かしら?』
瞬時にナビが仕事をしてくれた。
【専任制度】についての説明の他に、ギルド員による不正の可能性についても言及する。
『これは……あのひと、その気満々じゃない?』
『そうですね。主人様を世慣れない子供と見くびったのでしょう』
新人とはいえ、毎日依頼を受ければ馬鹿にならない。
それにレベルアップしていけば、1回の依頼料自体跳ね上がっていくのだ。
「あの、私は討伐系の依頼は受けないと思います。元々、採取系の依頼でやっていこうと思っているので。
出来れば【鑑定】持ちの方を紹介していただけませんか?」
そうでないと、二度手間でしょ?
と、微笑まれて、ミルシュカはぐうの音も出なかった。
【鑑定】という言葉に反応して、カウンターの右奥の席にいたドミニクスは顔を上げた。
「このギルドの鑑定士は私だが、何か?」
ミルシュカが誰かと遣り取りをしていたのは知っていたが、それがまさかこんな子供だとは思わなかった。
ギルドでは基本、準成人前の12才から登録出来るのだがこの少女はそれに達しているかも怪しい見た目だ。
「今、この方ともお話していたのですが、私は討伐系の依頼は受けずに採取系で行きたいと思っています。
それで出来れば【鑑定】持ちの方と懇意にしたいと思うのです」
アンナリーナは慎重に、ミルシュカの方から自分の身体の正面が見えないか確かめて、ドミニクスに向かってローブの合わせを開いた。
一瞬固まった表情を瞬時に戻して、ドミニクスは今までつけていた帳簿を閉じて立ち上がる。
「そこでは書きにくいでしょう。
鑑定室に低い机がありますから、こちらにいらっしゃい。
……この方の新規登録は私がします」
最後の一言はミルシュカ及び受付嬢全員に行った言葉だ。
そしてミルシュカは悔しそうに睨みつけている。
だがドミニクスは、このギルドで【ギルドマスター】【サブギルドマスター】の次に権限のあるNo.3なのだ。
ミルシュカがどう逆らおうと、元々後ろ暗いところのある彼女には勝ち目はない。
アンナリーナは知らずとはいえ、最良の選択をした事になった。
鑑定室のドアを閉めたドミニクスの声は震えていた。
「や、薬師殿……?」
「えーっと、そうみたい……ですね」
実はこの辺境伯の領都、国内で2番めに大きなこの都市でも薬師は、今現在年老いたものが1人いるだけ。
そこに現れた救世主とも言える存在だ。
「それで、新規登録という事ですが」
「この用紙は使いたくありません。
新しいのを下さい」
アンナリーナに渡された用紙を見て、ドミニクスは顔を顰めた。
巧妙に仕込まれた【専任】の選択に虫酸が走る。
すぐに代わりの新規登録用紙を差し出し、アンナリーナはそれを受け取った。
依頼人から仕事を受け、その冒険者のレベルによって仕事を斡旋し、仕事の成功や失敗を判断し、報酬を支払う。
この時に手数料を取ることと、冒険者から買い取った素材の利益で冒険者ギルドは経営されている。
そしてもう1つ。
これはこの世界独特なもので【専任制度】というものがある。
この制度は冒険者全員に当てはめられるものではないのだが、1人のギルド員が冒険者の専属となり、彼、彼女らが請け負う仕事を管理し、記録も管理するものである。
ラノベなどでも、同じ【専任】という言葉を使うが、あちらはただ、その人物を独占的に受け持つというだけのもので【専任制度】とはまったく違う。
ゆえに、この制度を使うのは長い間、信頼度を高めあったもの同士が結ぶのだが……何事も悪い方に抜け道がある。特にギルドが問題視しているのが、初めてギルドで登録する、見るからに世事に詳しくなさそうな新人に対して、言葉巧みに誘導し、最初から【専任制度】を結ばせるギルド員がいる事だ。
何しろ専任になれば、その冒険者のギルドカードの記録を管理する事が出来る、イコール、ギルドに預けられている金額をいじる事が可能なのだ。
いや、本来ギルドに収める手数料を上乗せし、差額を懐にしまい込む事も出来る。
そしてこの女、アンナリーナに声をかけたミルシュカも、その常習犯だった。
『主人様、何が良くないものを感じます』
『私もよ……このひととは距離を取った方が良さそうね』
「新規登録ならこの用紙に記入して下さいね。
あ、読み書きは出来る?」
「はい」
愚問である。
アンナリーナは隅から隅まで用紙を読み【解析】までかけてみた。
『これは最初から、あのひとが【専任】になる申込書のようね。
【専任】……【専任制度】って何かしら?』
瞬時にナビが仕事をしてくれた。
【専任制度】についての説明の他に、ギルド員による不正の可能性についても言及する。
『これは……あのひと、その気満々じゃない?』
『そうですね。主人様を世慣れない子供と見くびったのでしょう』
新人とはいえ、毎日依頼を受ければ馬鹿にならない。
それにレベルアップしていけば、1回の依頼料自体跳ね上がっていくのだ。
「あの、私は討伐系の依頼は受けないと思います。元々、採取系の依頼でやっていこうと思っているので。
出来れば【鑑定】持ちの方を紹介していただけませんか?」
そうでないと、二度手間でしょ?
と、微笑まれて、ミルシュカはぐうの音も出なかった。
【鑑定】という言葉に反応して、カウンターの右奥の席にいたドミニクスは顔を上げた。
「このギルドの鑑定士は私だが、何か?」
ミルシュカが誰かと遣り取りをしていたのは知っていたが、それがまさかこんな子供だとは思わなかった。
ギルドでは基本、準成人前の12才から登録出来るのだがこの少女はそれに達しているかも怪しい見た目だ。
「今、この方ともお話していたのですが、私は討伐系の依頼は受けずに採取系で行きたいと思っています。
それで出来れば【鑑定】持ちの方と懇意にしたいと思うのです」
アンナリーナは慎重に、ミルシュカの方から自分の身体の正面が見えないか確かめて、ドミニクスに向かってローブの合わせを開いた。
一瞬固まった表情を瞬時に戻して、ドミニクスは今までつけていた帳簿を閉じて立ち上がる。
「そこでは書きにくいでしょう。
鑑定室に低い机がありますから、こちらにいらっしゃい。
……この方の新規登録は私がします」
最後の一言はミルシュカ及び受付嬢全員に行った言葉だ。
そしてミルシュカは悔しそうに睨みつけている。
だがドミニクスは、このギルドで【ギルドマスター】【サブギルドマスター】の次に権限のあるNo.3なのだ。
ミルシュカがどう逆らおうと、元々後ろ暗いところのある彼女には勝ち目はない。
アンナリーナは知らずとはいえ、最良の選択をした事になった。
鑑定室のドアを閉めたドミニクスの声は震えていた。
「や、薬師殿……?」
「えーっと、そうみたい……ですね」
実はこの辺境伯の領都、国内で2番めに大きなこの都市でも薬師は、今現在年老いたものが1人いるだけ。
そこに現れた救世主とも言える存在だ。
「それで、新規登録という事ですが」
「この用紙は使いたくありません。
新しいのを下さい」
アンナリーナに渡された用紙を見て、ドミニクスは顔を顰めた。
巧妙に仕込まれた【専任】の選択に虫酸が走る。
すぐに代わりの新規登録用紙を差し出し、アンナリーナはそれを受け取った。
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