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ep10.
ep10.『聖母と道化、その支配人』River②
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店員に案内され、俺達は西館のフロアに向かう。
西館と東館は連絡通路で繋がっている。
内装は比較的新しく小綺麗にはされているが、建物自体は相当年季が入っているように思えた。
さっきエレベーター内の表示で確認したが西館にはフォーマル服や婦人服、着物のフロアもあるようだ。
「こちらへ」
受付に案内された西館五階はイベント用のスペースのようだった。
ガランとした広いフロアにいくつかのカフェテーブルや椅子、ベンチと自動販売機が置かれている。
イベントの無い平日は休憩場所として使われているようだ。
ベンチに座って手持ちの荷物から小さな水筒を出し、くつろいでいた様子の高齢女性は俺達を見るなり飲み物を飲み干し水筒を鞄に仕舞った。
高齢女性はエスカレーターの方にゆっくりと歩いて行き、視界から消えた。
場違いな雰囲気の俺達に気を遣ったのかもしれない。すまんな、見知らぬ婆さん。
俺達はカフェテーブルのある席に向かい合わせに座った。
どうぞ、と言いながら受付の女性が紙コップに入った飲み物を持ってきてくれた。
取っ手のある樹脂製のフレームの中に紙コップがすっぽりと入れられている。
普段はコーヒーなんかを来客に出しているんだろう。
だけど、俺達に出された飲み物は冷えたリンゴジュースだった。
「もうしばらくお待ちくださいね」
受付の女性はそう言うとチラリと水森唯の姿を見る。
俺と水森唯は無言のままリンゴジュースを飲んだ。
受付女性がフロアから姿を消し、そのまま沈黙は続いた。
ジュースを飲み干した後、なんと言おうかと俺は頭をフル回転させる。
しかし、意外にも先に口を開いたのは水森唯の方だった。
「……どうしよう。どんな人かしら。私のお祖父さんって────────────」
うまくやれるかしら、と水森唯は呟く。
「大丈夫だ。お前ならちゃんと出来る」
家族をもう一度やり直すんだよ、と俺が言うと水森唯は目を見開いた。
「……っ!」
振り向くといつの間にか───────────俺の背後にスーツを着た男性が立っていた。
西館と東館は連絡通路で繋がっている。
内装は比較的新しく小綺麗にはされているが、建物自体は相当年季が入っているように思えた。
さっきエレベーター内の表示で確認したが西館にはフォーマル服や婦人服、着物のフロアもあるようだ。
「こちらへ」
受付に案内された西館五階はイベント用のスペースのようだった。
ガランとした広いフロアにいくつかのカフェテーブルや椅子、ベンチと自動販売機が置かれている。
イベントの無い平日は休憩場所として使われているようだ。
ベンチに座って手持ちの荷物から小さな水筒を出し、くつろいでいた様子の高齢女性は俺達を見るなり飲み物を飲み干し水筒を鞄に仕舞った。
高齢女性はエスカレーターの方にゆっくりと歩いて行き、視界から消えた。
場違いな雰囲気の俺達に気を遣ったのかもしれない。すまんな、見知らぬ婆さん。
俺達はカフェテーブルのある席に向かい合わせに座った。
どうぞ、と言いながら受付の女性が紙コップに入った飲み物を持ってきてくれた。
取っ手のある樹脂製のフレームの中に紙コップがすっぽりと入れられている。
普段はコーヒーなんかを来客に出しているんだろう。
だけど、俺達に出された飲み物は冷えたリンゴジュースだった。
「もうしばらくお待ちくださいね」
受付の女性はそう言うとチラリと水森唯の姿を見る。
俺と水森唯は無言のままリンゴジュースを飲んだ。
受付女性がフロアから姿を消し、そのまま沈黙は続いた。
ジュースを飲み干した後、なんと言おうかと俺は頭をフル回転させる。
しかし、意外にも先に口を開いたのは水森唯の方だった。
「……どうしよう。どんな人かしら。私のお祖父さんって────────────」
うまくやれるかしら、と水森唯は呟く。
「大丈夫だ。お前ならちゃんと出来る」
家族をもう一度やり直すんだよ、と俺が言うと水森唯は目を見開いた。
「……っ!」
振り向くといつの間にか───────────俺の背後にスーツを着た男性が立っていた。
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